014、どんどん捨てよう、さあ捨てよう
SIDE:とある兼業農家。
例の悪魔コスプレの女の動画を見た後、俺は半分気まぐれでメールを送った。
噂のダンジョンについては多少見聞きしている、眉唾ものも多い。
だから、ネタで……という気持ちだったのだが。
送って1分もたたずに返信が来た。
――メールありがとう! 最寄りのダンジョンはここだよ!
と、住所が書かれ、地図が添付されていた……。
マジか……!?
確かにうちのすぐ近所である。地図もわかりやすかった。
うちは親父の代まで兼業農家だったが、俺はそれを継ぐ気はない。
親父が認知症になって施設に入れた後、俺は家の片づけに忙しかった。
一番骨が折れたのが、農業で使って色んな資材だ。
やたら場所を食うくせに、廃業後は完全に役立たず。
役に立たないからゴミなんだが。
他にも、家に粗大ごみとしか言えない半端なものがぎっしり。
業者に始末してもらうにも、手間も金もかかる。
どうしたものかと思っていると、例の動画を見た。
でも、この情報も嘘かもしれん。
そう思いながらも俺はいくらかのゴミを軽トラに積んでその場所を目指した。
行ってみると……。
あった。
草原の中に、半分沈んで隠れているが、例のダンジョンの入り口が。
俺はゴミを一つ持って行って放り込んでみた。
中に入る度胸はないので外から観察する。
すると、動画の通りゴミは光になってきてしまった。
……こりゃあいい!
俺は気持ち良くなって、どんどんゴミを放り込んでいく。
ゴミは次々に消えていった。
トラックの荷台が空になると、俺はとんで返してまたゴミを運ぶ。
何往復かした後、ゴミはすっかり片付いてしまった。
全て光になって消え、まさにきれいさっぱり。
俺はあの動画に感謝しながら、帰路についたのだった。
数日後、古いパソコンを捨てようとまたダンジョンにいったところ。
多分近所の人間だろう。
同じく軽トラとすれ違った。
ダンジョンに行ってみると、まさにゴミが消えてなくなるところに出くわす。
どうやら、近所でも気づいてゴミ捨て場にしているらしい。
ちょっと気になってその後もしばしば行ってみると――
いつの間にかダンジョンは近所非公認のゴミ捨て場になってしまっていた。
テレビなどでは国が、
・ダンジョンには近づかない。
・見つけたらすぐに警察か役所に報せるように。
との『おふれ』を出しているようだが、俺にはその気はない。
近所の人間も同じだろう。
こんな便利でエコなものを、取りあげられてはかなわないのだ。
やがて、ダンジョンをゴミ捨て場にする業者などがテレビで取り上げられる。
「誰にも迷惑かけてないし、きれいになるし……。問題ありますか?」
と、社長は大まじめな顔でレポーターにすごんでいた。
ちょっとヤクザみたいだなあ、と思いながらも、俺も全くの同感。
ダンジョンのおかげでゴミの分別もしなくてよいし、すぐ捨てられるし。
全然いいこと尽くめではないか?




