012、ダークエルフだ!
ダンジョン探索動画は確かに大きな反響を呼んだ。
しかし、すぐに消されてしまった。
よくわからんが、何々の法律違反とからしい。
アップ主の少年たちにもついても、退学になったとか引っ越したとか。
何やら剣呑な噂がネットで流れている。
テレビでは、
・政権の圧力がかかった。
・言論弾圧の前触れ。軍靴の音がする!
・政府はダンジョンについて説明責任がある。
との論調をコメンテーターが熱心にやっていた。
特に多いのは、
<これは人類史的には稀有な大発見ですよ。これを一国で独占する、あるいは日米だけで独占というのは、これ、どう考えても通りにあってないですよ。こういうことこそね、世界的に、国際的に開放して、世界中で研究するべきじゃないでしょうか>
というような国際人めいたものだった。
また近隣の国からも、ダンジョンの調査を求める声や人間がどんどんやってきている。
これに対して国はあくまで慎重論を変えずに、やっていく方針を示していた。
ネットでは、地方などでダンジョンを探す人間が増えているとのことだった。
「これはどうにかできるもんなのかな?」
俺はネットであれこれ検索しながら、首をひねっていた。
「ダンジョンのアイテムやモンスターの素材を独占したいというのは、まあ自然な発想だとは思いますね。しかし、ダンジョンは自然発生するものですし。全部を管理なんて無理でしょ」
ライカはネット麻雀をしながら言った。
「しかし……」
ふとライカは麻雀する手を止めて、天井を見上げた。
「どしたの?」
「いえ。こうなってくると、多分ダンジョンだけではすまんでしょうねえ……」
「あ、そうか。モンスターが外に……」
「それもあるのですが……」
「?」
俺はそんなライカを奇異に思いながら、いつものSNSを見ていたが――
異様に動画視聴数の多いものがあった。
タイトルは、『アレクトちゃんのダンジョン紹介!』。
またダンジョン? 柳の下のドジョウかよ、とそこを開いてみると……。
<はーい、皆さまこんにちはー! アレクトちゃんでーす>
映ったのは、角のはえた女の子だった。
青い肌。黒い目に赤い瞳。青黒の髪の毛をポニーテールにしている。
頭には赤黒い角がはえ、八重歯が目立った。
何だ、これは……。CG……じゃない? いや、特殊メイクか。
その特徴的容姿に加えて、ものっそい美少女だった。ライカに勝ると劣らない。
声も下手なアイドル声優そこのけのな美声で、聞いているとゾクゾクする。
<今回は皆さんに、今話題のダンジョンについて解説しちゃいまーす>
「何じゃ、これは……」
「ダークエルフですね」
気づいたのか、いつの間に横にいたライカが言った。
「え?」
言われてみれば、動画の美少女は他の特徴に加えてエルフ耳でもあった。
「ダークって、これ……」
「わたしたちエルフには3種の他により上位にたつ、ダークエルフという闇の力を宿したより上位の種族がいるのです」
と、ライカは説明するのだった。




