010、野良ダンジョン
校庭のダンジョンには連日調査隊が入っていった。
あまり詳しいことは報道されないけれど、
「まあアイテムや硬貨などがあるでしょうね。罠もあるかもしれませんが」
と、ライカは語っていた。
「この感じだとさほどレベルが高くないですから、大したこともないでしょう」
「しかし、あんなもんが出てくるとは……」
「ダンジョンはこちらでは珍しいもののようですねえ」
「向こうじゃ珍しくなかったの?」
「ええ。エルフヘイムではあまり見ませんが、外界ではごく普通に出現します。人間などは、よくダンジョンに入ってアイテムや硬貨を取っているそうですよ」
「いよいよRPGの世界だ……」
校庭のダンジョンは海外にもニュースとして流れ、色々言われているらしい。
変な意見では、
「これは原発の放射能汚染の結果だ!」
と騒ぐ国もあった。どういう理屈やねん。
やがてダンジョンの囲いはフェンスに代わり、警備員が配置されるようになる。
連日マスコミやら野次馬が学校の周りに集まり、えらい騒ぎ。
学校の方はいい迷惑だろう。
しかし、世間が校庭ダンジョンでわいわい言っている矢先――
第2のダンジョンが出現した。
場所は、東京・銀座のど真ん中。
校庭のものと似たような形状の箱型物体が、でんと現れたのである。
場所が場所だけに、騒ぎはさらに大きくなった。
交通規制が大規模に行われ、ここにもマスコミが集まってくる。
やがては警察のみならず、自衛隊まで警備に駆り出され始めた。
「希少価値があるだろうから、えらい騒ぎようですなあ」
俺とライカはテレビを見ながら、事態を見守っていた。
「どうにかならんもんかなあ」
「野良なので、ダンジョンマスターがいませんからねえ……。まあ最深部のダンジョンコアを潰せば、消えるというのが定石なのですが」
と、そこでライカは困った顔で、
「でも、あの騒ぎの中を侵入して、ダンジョンを潰すというのはどうですかね」
「目立つなあ。まずいなあ」
俺も困って、腕組みをしてうなるばかり。
「それに、ダンジョンが消えれば中のモンスターやアイテム類も外に放り出されます」
「すると、もしやったら銀座のど真ん中に……」
「まあ、そういうことです」
どっちにしろ、えらいことになるのは避けられないらしい。
「まあ、こっちには優れた火薬武器がありますから、モンスターにもそこそこ――」
対抗できると思いますよ、ライカは肩をすくめた。
「まあ、それも低レベルなものに限りますが……」
「近代兵器VSモンスターって字面は燃えるんだがなあ……」
俺は所在ない気持ちで、スマホを弄っていたが、
「うん?」
よく利用しているSNSに妙なものがアップされていた。
多分中高生あたりの少年たちが、スマホで撮った映像らしいのだが。
<いえーい。ただ今ダンジョン探索中で~す!>
<うわあ、何か電灯みたいなのあるし……。ここ、マジでどこ?>
映像を見た俺は、思わずテレビ画面の警戒厳重なダンジョンを見た。
おバカな子供が入り込めるような隙はない。
じゃ、これはどこで撮ったものだ?




