009、校庭にダンジョン
ダンジョンのスライムは20匹目を倒した後、出なくなった。
「まあ、今は休眠に近いですな。またすぐにわき出しますよ」
ライカは笑って言ったが、俺としては出てこないほうが良い。
ちなみに、エルフ耳は目立ちすぎるので普段は人間のように変化させている。
それでも銀髪褐色の美女なので、やっぱり鬼のように目立つが。
で。
一度ライカに麻雀を打たせたが、鬼のように強かった。
アシスタントつながりの友達とかと打たせたのだが……。
ボカスカと他のメンツを喰いまくり、大勝に次ぐ大勝。
あまりに強いので、
(まさか、魔法とは使ってないよな?)
と、こっそりきいたところ――
「そのような小細工するまでもありません。しかし、なかなか奥深いゲームですね」
ライカはご満悦だった。
初めは美女のライカに喜んでいた面子も、
「次からは連れてこないでくれ!」
と、みんな半泣きになっていた。
ま、ライカは勝った分は後でみんなに酒や飯を奢って使ったしまうのだが。
彼女にとって別に金はどうでもよく、麻雀というゲームが面白いらしかった。
とまあ……。こんな平和な日が続いた後のこと。
その朝、俺はおかしなニュース映像を見た。
場所は小学校のグラウンド。
校庭のど真ん中にパリ凱旋門のパチモンみたいな物体がある。
形状は箱型。
白い煉瓦で造られたような物体の真ん中には、逆U字型の通路らしきものが。
そんなところも凱旋門っぽい。
ただ……。
通路の向こうに見えるグラウンドの風景ではなく。
どこか地下迷宮みたいな、薄暗い通路なのだった。
ネットで調べてみると、こちらでも色々話題になっている。
箱型物体は地面に置かれているというより、『はえている』らしい。
ただ、周辺を掘り返しても、何も出てこない。
子供たちは面白がっているようだが、学校も警察も手に余っている。
仕方なく、周りを囲って立ち入り禁止の看板を立てているだけ。
一度警官が数人中に入ったが、
「見たこともない生き物がいる!」
と、あわてて飛び出したようだ。
警官が撮影したという映像には、
「……スライムじゃん」
俺が何度も倒してきた雑魚モンスターの姿があった。
・未知の生物か!?
・粘菌の変種ではないか?
ネットや様々な憶測が飛び交い、テレビでは訳知り顔の学者が何か言っている。
「おや。これは野良ダンジョンですなあ?」
面白いものを見た、という顔でライカがテレビ画面を見ている。
「野良って、犬猫じゃあるまいし……」
「いや、本来ダンジョンとは自然発生するものなのです。人為的に作られる養殖ダンジョンのほうが本来珍しいものなのですよ」
「ホンマかいな……?」
「ホントです」
いつしか汗をかいていた俺に、ライカはうんうんとうなずくのだった。




