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初投稿です!
人物描写をしてません。自由に想像しちゃって下さい。
え?手抜き?
ソ、ソンナコトナイヨ? ミンナガイロイロソウゾウシテクレタラウレシイノデス。
放課後の教室。
開いている後ろのドアから中へ入ると、それぞれの机の上に置かれたプリントの束から、順番に1枚ずつ取って歩いている生徒が声をかけてきた。1年生3組の教室には仲本由佳と俺、西崎遼太の他には誰もいない。
「お帰りー。お疲れー」
その言い方は素っ気なく、全く気持ちがこもっていない。まぁ、どうでもいいのだろう。仲本さんの動作は止まることなく、10種類のプリントが揃うと集めた束が交互になるように別の机の上に重ねて置く。
整然と重なった40人分の束がもうすぐ出来上がる。
「途中なのに悪かったな」
俺は急いで仲本さんの後ろに行き、同じように机の上のプリントを1枚ずつ取って歩く。今日は運悪く日直当番だった為に、面倒な作業を担任から押し付けられた。
「別にいいよー。西崎君も大変だねぇ。モテ男は辛いよ、ってか?」
仲本さんは振り返るとわざとニヤニヤとした顔を俺に見せ、また前を向いてプリントを取っていく。
「もうウンザリしてるんですけど」
大げさ気味にため息をつくと、仲本さんが置いた束の上に、俺が作った束を90度向きを変えて置き、再び1枚目のプリントを取り始める。
「この時期に告白してくる子なんて、みんな自分に自信持ってる可愛い子ばっかりじゃん。適当に気に入った子と付き合っちゃえばいいのに」
あっけらかんと言い放つ。俺がどうしようと全く興味がない証拠だ。まぁ、実際関係ないしな。
仲本さんとは名簿順が前後なので、日直のペアに決められているだけだ。
ただ、普段の仲本さんは俺に対して鬱陶しいくらい話しかけてきたり、近くでわざとはしゃいだり、話す時に嬉しそうに顔を赤らめたりする事は全くない。男女問わず、そして贔屓なくサバサバした対応をする。
俺の中では珍しく好印象の人物だ。しかし、そこに恋愛感情なるものは発生しない。
4月に高校に入学し、部活動紹介、新入生オリエンテーション合宿、そしてGWが終わると、行事がちょっと落ち着いた感じになる。
新たな学校生活にも慣れて余裕が出てきたら、次にくるのは恋愛事だろう。受験で恋愛から遠ざかってた奴も勉強から解放され、リア充になるべく相手を探し突撃してくる。
まっ先に狙われるのは男女問わず、顔の造りがいい奴だ。性格は問わない。とりあえず顔。ひたすら顔。あとは、女子なら胸のでかさ。男子なら高身長。このオプションがついてれば、突撃してくる人数もさらにアップだ。
というわけで、今年の一年生の中で真っ先にターゲットにされた俺は、連日の告白攻撃に疲れていた。他の奴らよりちょっと顔のバランスがとれてて、ちょっと背が高いだけなのに。
「毎回律儀に断ってるらしいけど、他校に彼女でもいるの? それとも、今は恋愛に興味なし?」
10枚一束の作業が終わり、束を積み重ねた机の椅子に座る。そこから一束取るとトントンと軽く揃え、ホッチキスで端を2箇所とめていく。
質問形式の会話は、会話を続けさせる基本だ。黙って作業するのもつまらないからなのだろう、仲本さんは話題を変えない。
俺は仲本さんの座っている席の前の椅子に横向きに座った。プリントを一束とり、同じようにホッチキスをとめていく。
「俺だって、彼女作ってリア充したいよ。でも、現実は理想とかけ離れ過ぎてて」
友達とつるんでるのも楽しいけれど、やっぱりカップルを見ると羨ましいと感じるお年頃。
「ほぉ~」
仲本さんは目線はプリントに向いたままだったが、ニヤけた中年親父みたいな表情をした。
「聞きたいねぇ。モテモテ西崎君の理想像」
なんでそんな事までさほど親しくもない仲本さんに話さないといけないのか、と思ったが冊子作りというのは、どうでもいい会話でもしておかなければやってられない単調な作業だった。仕方がないので俺は日頃思っている事を口にする。
「まず第一に、同じ学校じゃない事。中学の時に適当に付き合ったら、なんか大変だった」
「あ~。外野の嫉妬がすごそうだね。彼女になった子は色々標的にされそうだし」
仲本さんは納得するように頷いている。
「第二に、俺が好きになった子。知らない人間といきなり付き合うのって、新鮮と言うより面倒なだけだったから。第三は、大人しくて真面目な子。クラスカーストの一軍って、友達ならいいけど彼女には個人的に無理。縁側で並んでお茶すするような、日々穏やかな関係がいいんだよ。ドロドロした情熱とか刺激とかいらねぇし」
うんうん、と頷いていたはずの相槌がなくなった。黙々とプリントをホッチキスでとめている。集中しすぎてるのか?俺はここまで口に出した手前、全部ぶっちゃける。
「第四は、香水つけるやつ。きつい柔軟剤とか制汗スプレーも苦手。そういう女子が隣にきたら、吐きそうでヤバい。第五は~」
「うん。もういいわ」
言いかけてたのに、サクッと無理やり終わらされた。聞きたい、って言うから答えたのに、酷くないか?その態度。
「何だよ。人が折角答えてんのに」
ちょっとムクレながら文句を言うと、仲本さんはプリントの作業を止め、俺と目を合わせてきた。
「あのさぁ、確かに聞きたい、って言ったけど、もうちょい現実的な理想をお願いしてくれるかな?」
言葉使いは荒くないけど、声質が「お前うぜー」と語っている。まぁ、その前に眉間にシワを寄せてる表情で、何かよろしくないのだとわかるんだが。でも、なんで?
「はぁ? 何言ってんの?すげー現実的じゃん。贅沢な事1つも言ってないつーの。ちなみに外見はこだわらない!性格重視!めっちゃ現実的じゃないか」
急にキレる意味がわからんから、俺はもちろん仲本さんの態度に反論する。日頃女子にチヤホヤされても、ウザそうにされることなどないのだ。
はぁあ?あんたバカじゃないの?
と言われた、ように思う。実際には声に出してないけど、もう顔が……これでもかと言わんばかりに歪んでいたから。そこまでされると流石に何かしたっけ?と考え込む。
「あのさぁ、自分から告白もできないくらい大人しい他校の子と、どこに接点が? バイトは禁止だし、予備校とか塾とか西崎君行ってたっけ? まさか合コンとか思ってる?合コンに大人しい子はまず来ないから。万が一来ても、西崎君狙いの他の女子に潰されるから」
冷静に淡々と話し、目は笑っていない。
「ハイ。ソウデスネ……」
大人しく頷くしかなかった。
「でも、まぁ?」
最後の1部をホッチキスで止め終えた仲本さんは、仕上がった束の一番上に勿体ぶってゆっくりと置いた。
ん?なんかさっきの空気からいきなり変わったぞ?なんだ何だ?仕事が終わって嬉しいのか?
仲本さんは冊子の束の上に両手を置き、その上にあごをのせた。そして、そのまま下から覗き込む様に、俺の顔を見てくる。上目遣いってやつだよ。だが、その上目遣いは色気とか可愛いさとか全くない、ドヤ顔だった。
「私なら、さっき西崎君が言った理想の相手、紹介できるけどね~」
「なっ!」
散々人にダメ出ししてからの、ご褒美ちらつかせ。
一度落とされてるから、とてつもなくいい話の様に思えてしまう。
「是非紹介して下さい!」
思わず立ち上がって、直角に近い角度で礼をする。
仲本さんの口の端がわずかに上がったような気がした。
「交換条件、ってわけじゃないけど、私も紹介して欲しいんだ。1組の小河君か5組の八杉君。どっちでもいいよ?」
「は? どっちでも、って…」
俺は混乱した。確かに二人とも同中出身で仲がいいけど、言っている意味が俺には理解できななかった。どっちでもって、なんだ?
「あー違う違う」
無意識に嫌悪感が出たのだろうか。仲本さんは慌てて足りなかった言葉を告げる。
「恋愛じゃないから! 私はこの高校生活3年間でさ、色んな人脈を作っていきたいのよ。せっかく県で一番の高校に入ったんだから、たとえ高校生でも私の将来に刺激を与えてくれそうな人達と友達になりたいの!」
俺はなんだか間の抜けた顔をしていた。仲本さんと長々と話をしたのは初めてだが、ちょっと変わっている? でも、この学校には俺が知らないだけで、そういう奴が色々いるのかもしれない。
「この学校って、なかなか面白い人材がいるんだよね~。3年間なんて、あっという間なんだから、少しくらい強引でもガンガン行かないとね~」
仲本さんは立ち上がって冊子になった束を半分抱えた。今から職員室の担任の机の上に置きに行って作業の終了だ。俺も残りの束を抱えて立ち上がった。紙とはいえ、枚数があるだけになかなかの重量感だ。
「全部持ちますよ!仲本様!」
俺は何かを企んでる時代劇の商人の様な笑顔で言った。
仲本さんは悪代官の様な笑顔を浮かべると、抱えていたプリントを俺の持っている束に重ねた。お互いの利害が一致した、ということだ。
「あらそぅ?悪いわねぇ。という訳で、人とお知り合いになれる機会を、私はいつも虎視眈々と狙っているのです。ふふふ。今日の日直バンザイ!」
仲本さんは誰もいない廊下で、手を振り上げ万歳をする。
「バンザ~イ!」
流石にプリントを抱えてるので手は上げれないけど、俺も真似して声に出した。確かに日直バンザイだ! そもそもの話のきっかけを作った、名前も顔も忘れちゃった告白してきた子ありがとう!
いやぁ~ これから楽しくなりそうだ!
と、この時の俺は浮かれていた。




