僕の日常
僕は小高い山のてっぺんの草原に立っていた。爽やかな風と、優しい光が僕の心を洗い流してくれているようだ。ここからは壮大な大海原が見え、上を向くと、吸い込まれるような雲ひとつない青空が広がっている・・・
「なんだ、夢か。」
あんまり寝てないせいか、重い体を気だるそうに起こす。
「さてと、今日も頑張ろう。」
今日もまた一日が始まる。
僕はごく一般的な高校生だ。名前をカズヤという。僕はみんなと同じような日常を過ごしているつもりだ。だが、僕には取り柄がない。運動オンチだし、勉強も人並みだ。
だが、こんな僕でも夢がある。そう、ゲームの主人公になることだ。
しかし、この夢を人に言うと、笑われる。まぁそれはしょうがないか。この夢のせいで、中学では一時期いじめられていた時もある。
でも僕は屈しない、この夢を果たすまで・・・
ある学校からの帰り、少し俯きながら歩いていた。その日は宿題が多かったからだ。
今日はついていない。なぜなら、今日は大事なクエストが出る日。
「クエストと勉強どちらを優先しようか」
そう思いながらしばらく歩いていると、道の隅に何か落ちていた。それは『ボタン』だった。側面には「押すな」と書かれた、あたかも怪しいボタンだ。
普段は気にも留めないのだが、この日は特にイライラしていたのと、触ったらやばそうだったから、そこらに落ちていた木の棒で押してみることにした。
強く押さないといけないみたいで、木に力を込めるとすぐ折れてしまった。このもどかしさで余計腹が立ち、素手で押した。
ポチッ
目の前が真っ暗になった!
「・・・ここは」
少し寒いくらいの風が吹いていた。心なしか身が軽くなった気がした。
目をさますと、ここは眩いばかりの光が差し込めた。地面は草原で吸い込まれるような青空、何か見たことのある風景だった。
軽い体を起こすと、一人の少女が立っていた。