表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
第十三科学系戦術師団  作者: みずはら
[第3章]はじまり
27/64

(2)-2


「あら、拓磨が女の子の友達を連れてくれるなんて珍しいわね」

 40歳ぐらいであろうか、女性がはにかみながら、春日高校の制服を着た女性に『どうぞ』と廊下の奥へと促す。

「お母様、初めまして。桜庭かなみです」

 内心冷や冷やしている拓磨の横で、母親である由衣に、硬い表情で会釈をするエリス。

「初めまして。かなみちゃん……でいいわね?」

 居間に案内しながら、由衣はエリスの方をちらりと振り返る。

「はい。そう呼んでください」

 エリスは、にっこりと笑った。由衣は鼻歌を歌いながら、台所の奥へと消えた。

 居間のテーブル脇に腰を下ろエリスと拓磨。

 居間の端にはテレビが据え付けてあり、その脇には棚があり、色とりどりの本が並んでいる。

 何故か、2人は拓磨の家にいる。

 と言うのも、突然、エリスが拓磨の母親を見たいと言いだし、訳が分からないまま、拓磨は自分の家にエリスを連れてきたというわけだ。

「エリス。すごいね。母さん全く怪しんでいないよ?」

 ちゃぶ台の前で正座するエリスの隣で、拓磨はびっくりしたような顔でエリスを見る。

「当たり前だ。言ったであろう。学生の行動は完全に身に付いていると」

 エリスは無表情で答える。

「うん、すごいね」

 拓磨が素直に感心していると、奥から由衣が顔をのぞかせた。

「あっ、お菓子も飲み物も全部切れているわ。駄目ねぇ~。拓磨がいないと。拓磨、ちょっとお使い頼まれてくれる?」

「うん」

 拓磨は立ち上がり、由衣の元へ歩いていく。

 台所で由衣から何かを受け取ると、そのまま廊下に出て行った。

「エ……かなみちゃん。ちょっと待っててね。しばらく、母さんとご歓談でも……」

 ガラガラと引き戸を開ける音と共に、拓磨の声が居間に流れる。

「うん、風が吹くかも、気をつけてね」

 エリスが、玄関に向かって声を掛ける。

「ありがとう。強風を避けるよ」

「気をつけてね~」

 拓磨の返事に頷くエリスの越しに結衣は笑顔で声を掛けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ