終末の序曲~8
長く空いてしまってすみません。
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「ええ~今回は一年組勝利おめでとう!三年組は残念でした!次頑張ってください!!」
俺は妹を連れてパーティーに来ていた。なので義父さんと義母さんは今頃二人きりで食事をしているはずだ。
「今回の合戦はいろいろなことがありましたが。そんなことは忘れて今日ははしゃいじゃってください!それではパーティ~スタート~!」
さっき妹は友達のもとにむかった。俺は今壁に寄りかかっている。ここなら人も少ないし、あまり目立たたない場所をえらんでいるのでさっきのように絡まれることもないだろう。絡まれないように俺は気配まで隠しているのだ。生命力と同期している魔力を隠すと、誰かいるけど全く気にならないといった感じになるらしい。たとえ誰かいるとわかっても全く気にならない、何となく見逃してしまう。そんな感じらしい。目の前で注視でもされない限りはバレないだろう・・・
久々に結構力使ったら結構疲れたな・・・眠い。そんなことを考えていたら声が聞こえた。
「なあ、卯月の弟弟子ってどこにいるんだ?」
俺のことを探しているらしい。しかし本当に眠いな・・・このまま寝てしまおうか・・・
「ああ、あいつはこういうところでは気配消して壁際とかにいるよ。人に絡まれるのが嫌らしいよ。」
「その気配消すレベルってどのくらい?」
「ほぼ完全。目の前で注視でもしない限り見つけられないよ。」
「完全ってマジかよ・・・それじゃ全然見つからねえじゃねえかよ・・・」
「ああ、見つけ方にはコツがあるんだ。壁に手を付いて擦りながら歩いていくんだ。それで大体見つかる。それが恥ずかしくて嫌なら妹さんを見つけて呼んでもらうしかないね。」
「見つけ方まで知ってんのかよ。」
「まあね、この方法でも逃げられちゃうこともあるんだけどね・・・ん?あれ妹さんじゃないか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(眠っています)
俺が眠っていると誰かに肩を叩かれた。
「兄さん、起きて」
香菜か。俺はそのまま隠していた気配を解き。目を開く。寝ていたらしい。
「どうした?」
俺が気配を解いたら驚いた声が聞こえた。
「うおっ!出てきた!出てきたぞ!」
「まあ、落ち着きなよ」
どうやらいきなり出てきた俺に驚いているらしい。まずったかな・・・
「兄さん何も食べてないみたいだったから。食べ物、持ってきたの。」
「ああ、悪いな。」
わざわざ持ってきてくれたらしい。ていうかよく見つけられたな・・・
「兄さんは良かったの?」
「ん?何が?」
「あんなに目立つことしちゃって」
どうやら俺のことを心配していたらしい。これは悪いことしたな・・・
「いや、いいんだよ。そのうちバレるしな。それより悪かったな、心配かけちゃって。」
「だって兄さん戦闘のこと以外はからっきしなんだもん、人との話し方とか勉強とか。おまけに滅茶苦茶不運だし。」
「はは、それは悪かったな。反省します。」
ややふざけた感じで返すと妹が真面目な感じで返してきた。
「ホント?ホントのホントに?」
「あ、ああ。」
その真剣さにやや気圧されながら返す。
「じゃあ明日、お兄ちゃん私とデートしてね。」
「ああ、いいよ。」
「ヒューヒュー!良かったな水雪の妹さん」
立石か。おい、なぜそこでお前が顔を真っ赤にしてるんだ?デートつったって俺の役目なんてせいぜい荷物持ちだろうに・・・
「や、やめてくださいっ!」
「香菜が嫌がってるから立石、もうやめろ。」
「ヘーイ」
そのまま立石のことを紹介し、香菜、立石、俺の三人で話していると、卯月の集団が近づいてきた。
「水雪、今日はおめでとう。」
「ありがとうございます。兄さん。」
卯月と話していると見覚えのないやつが割り込んできた。
「なあ、俺は千葉拓也ってんだ。よろしくな!」
「よ、よろしくお願いします。」
そのハイテンションさにやや気圧されながら返す。随分とテンションの高い人だ。その陽気な性格にあったオレンジの髪を持つ世間ではイケメンと呼ばれるような人だ。
「いや、悪いな祐理、千葉が話しをしたいってうるさくてな。」
「千葉だけじゃない・・・私も・・・私、霧島静香・・・よろしく。」
「よ、よろしくお願いします。」
今度は幽霊のように現れた人に対して驚いてしまう。その艶やか黒い髪を膝に届くほど伸ばし、やや前髪が長い少女だ、その前髪さえ上げればかなりの美女だろう。
そしてその真ん中にいるのが俺の兄弟子、卯月海斗だ。黒髪黒瞳で、見たらだれもが振り返るような美少年だ。もう信者すらできてしまうほどに・・・
「いや~、今日はすごかったな。またやろうぜ。」
あれ?俺はこの人と闘っただろうか?
「あれ?すいません。自分と千葉先輩って闘いました?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「アハハッ、祐理は人の顔覚えるの苦手だから覚えてないと思うよ。」
卯月が愉快そうに笑っている。
「えっ!すみません。使っている武器と戦闘のスタイルさえ教えていただければ思い出せると思います。」
「う~ん?なんか釈然としないけど。まあ、いいよ。武器は短剣二本で、戦闘スタイルは・・・?」
「ガンガン突っ込んでくるタイプだよ。」
卯月からの助け舟。
ああ、あの十強の短剣使いか・・・
「ああ、思い出しました。魔法使いの人と連携攻撃かけてきた人ですよね。」
「本当だ・・・・いきなり思い出しやがった・・・」
そんな感じで話していると、ふと思い出したように卯月が切り出す。
「そういえば今日はよく右手だけで勝ったね。左手で振ったほうが圧倒的に強いだろうに」
俺は今日右手で刀を振っていた。本来刀は両手で握るものだが魔殺二天流では片手で握ることを推奨している。なんでも常に余裕を持って戦えるように、らしい。それゆえに魔殺二天流を習い始めた時点で利き手を決めなければいけない。その利き手でしっかり振れるようになった時点で二刀流を習えるのだが・・・
「まあ、左手でなんか振ったら余計に目立つでしょうから。」
俺はお箸を持ったりするのも左手なので最初の時点で左手を選んだ。ゆえに刀を振るなら一番左手で振るのがいいのだが、俺は左手で刀を握っていると上手く手加減ができなくなってしまうので戦闘でも非常時以外は基本的に右手で握っている。そのおかげで二刀流のときにあまり違和感がなくなってきているのだが、やはり左手で振ったほうがしっくりくる。
「はは、そうだね。左手で振っていたら祐理は今日動く必要すらなかっただろうね。ん?ああ、これは秘密にしときたかったのかい。ごめんごめん。わざとじゃないんだ。」
最悪だ・・・最低でも香菜と卯月以外の三人には聞かれたぞ・・・
「はあ?!動く必要すらなかったって。今日のあれでも手抜いてたのかよ・・・」
案の定、立石が反応しちゃったじゃないか・・・・
「え?でも魔法はどうすんだよ?」
「ハハハ、まあ、右手じゃなくて左手の反応速度なら魔法も全部迎撃できたんじゃない?」
もういいや・・・
「・・・・・・・・・・・・マジかよ・・・」
その話を聞いて香菜と卯月以外は硬直してしまった。まあ、そりゃそうか・・・
だがそこは立石、すぐ立ち直り、いつもの感じで返してくる。
「うわ~マジか~、じゃあその状態で今度手合わせしようぜ。」
「別に訓練なら構わないけど・・・刃引きした剣とか木刀はなしだぞ。あくまで半実体の模擬剣でな。」
「ああ!今度頼むよ!」
こいつはいつも変わらないな~
そうしていると、静香先輩が聞いてくる。
「広範囲魔法はどうするの?」
「どうするんだい?」
卯月、説明してくれよ・・・俺にふらないでくれよ・・・
「えーとですね・・・魔法はどんな魔法も発動するときに源があります。まあ、発生する初期段階、魔力の集まり始め、魔法になる前の魔力ですね。魔法核、と言うんですが。それに何らかの方法で魔力を当てると大体の魔法はキャンセルされます。まあ、その発動するときの魔法がかなりの広範囲の場合は魔力核がいくつもある場合がありますが、自分の近くのさえ潰せば自分には当たりません。こんな感じですね。他にも方法はありますがその方法はおすすめできません。」
「そんな方法があったんだね。僕知らなかったよ。」
「兄さんには何度も見せてますけどね。」
気付いてなかったのか・・・
「ほかの方法・・・って?・・・」
「そっちの方法はですね・・・危険性が高い割には難しい技なんです。」
「静香はその方法でも聞きたいって言ってるんだよ。」
「真似すると危ないですよ?それにこの技は使える人も限られてきます。え?それでも?まあ、聞きたいなら構いませんけど・・・その方法はですね、広範囲魔法が発動した直後にですね・・・自分に被害が及ぶ前に魔法武器で退けるんです。ね?できる人が限られてるでしょ?え?どうやるんだ?それはですね、発動状態に入ってから魔法に変わる本当に直前、もはや魔法核から魔力が広がった時点で魔力を自分から退けるんです。これ、失敗するともろにくらいますし、退けたとしてもある程度は自分にあたります。まあ、これは緊急手段ですね。」
何だか俺の手の内がどんどんバレてる気がする・・・・・?
「流石だね。対魔法に関してなら祐理の右に出る者はいないんじゃない?やっぱり魔法を使えないのは大きいかい?」
「ええ、まあ・・・」
「え?」
「え?今なんて・・・」
「ん?だから・・・魔法が使えないって・・・今日だって魔法、使ってなかったでしょ?」
「・・・・・・・・・・・・・」
全員が唖然としている。卯月は俺が隠しておきたい事を暴くのが専売特許なのだろうか?
「お前、魔法なしで先輩達を倒したのか?・・・」
「いやいやいやいや、魔法しっかり使ったから。兄さん、言い方が悪いんだよ」
「ああ、ごめんごめん。正確には空間に干渉する魔法が全く使えないんだよね」
空間に干渉する魔法とは強化魔法以外の全てを表している。兄さんの行った通り俺は強化魔法以外が全く使えない。こればっかりは生まれつきらしく。本気でまったく使えない。物に魔力を流すのは普通にできるのだが・・・
「なるほど・・・強化魔法以外が使えないんだ・・・え?でも今日空中で飛んでたよな?」
「あ、あれは・・・空中で刀を蹴っ飛ばしたんです。それで転歩を使ったから・・・」
「それでか・・・」
そんな話をしながら時間を潰していると、会場の真ん中から先生の声が聞こえた。
「え~、時間もおそいのでそろそろ帰りたい方は帰って・・・きゃ!やめてください!先生!」
「うい~、ヒック。あんだとお~。俺たちゃ最強の一年だぜ~」
その一年担当の先生は千鳥足でどっかにいってしまった・・・あの先生、今後の教師人生に響くぞ・・・ていうか誰だ酒持ち込んだやつ・・・
「え~気を取り直して。時間もおそいので帰りたい方は帰って頂いて構いません。残りたい者も九時には帰ってください。それでは、解散!」
帰っても構わないらしい。俺は妹が危ないからさっさと帰らなくては・・・
「?、お兄ちゃん今なんか凄い過保護なこと考えてなかった?」
「い、いや?か、考えてないぞ・・・」
な、なぜ・・・・
「いや、今お兄ちゃん過保護センサーが反応してさ。」
「な、なんだそれ・・・」
本当になんだそれ・・・
「う~ん、気のせいかな・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お~い、水雪。お前はもう帰るのか?」
「ああ、もう帰ろうと思う。」
「そっか、じゃ、じゃあな~」
「おう。」
「祐理はもう帰るのかい?」
「はい、もう帰ります。」
「そうかい、おやすみ~」
そんな感じで俺たちは家に帰った。その日は久々に思いっきり体を動かしたからか、俺は嫌な夢を見た・・・・
************************
ああ、なぜこうなってしまったのだろうか・・・・
体中が痛い・・・・・・
もう足が動かない・・・
もう・・・戦いたくない・・・・
俺の周りにはいっぱいた筈の仲間達は気づけば誰もいない・・・・
もう、俺しかいない・・・・・
這って動いていたらいきなり足に激しい痛みが広がった。
「グ、グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
痛い
痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
激しい痛み・・・・・・・・・・・・
激しい痛みに自我が保てなくなる。
俺はなんでここにいるんだ?・・・・
いや・・・・・・・・・・・・・もとより俺とはなんだ?・・・・・・・・・・・
俺とは・・・・・・・・・・・・・・・なんだ?・・・・・・・・・・・・
痛いって・・・・・・・・・・・・・・なんなんだ?・・・・・・・・・・・・
何もわからなくなった末に、俺はなにかを見た・・・・・・・・・・・
俺と言う何かの足に食らいつく何か。
俺と言う何かの中にある謎の衝動。
ああ・・・・生きたい・・・・
生きたいって・・・なんだ?・・・・
何かが何かに語りかける・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・何も考える必要はない・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・自分がなにか?痛いとはなにか?生きたいとはなにか?
・・・・・・・・・そんなことはどうだっていい・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・ただ行えばいい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・何かが自分と分かっているなら・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そのなにかがしたいことをさせてやればいい
やりたいことをすればいいと言うなら・・・・・
俺は・・・・・・・・・・・
「生きたい!」
たとえ自分が何かわからなくても・・・・
たとえ俺がなんだとしても・・・・・・・
生きたい
無駄だってわかってる。
俺の手持ちのナイフなんかで・・・・・・・・・・・
生き残れるはずがない・・・・・・・・・・・・・・・
「それでもっ!!俺は!!」
「生きたいんだあああああああああああああああああああああ!!!」
俺の足に食らいついているなにかにナイフをふりおろす。
このナイフがただのナイフだって?
今このナイフが今の俺には全てを打ち砕く最強の剣にしかみえない。
そうとも・・・・
この剣さえあれば・・・・
俺はなんだって・・・・
「できるはずだあああああああああああああああああああああ!!!!!!」
なにかの頭に何度もナイフを振り下ろす。
何かが邪魔だと言うように俺のナイフを喰らおうとする。
俺の剣がやつの口の中に入り・・・・・・・・・
やつの頭を貫いた・・・・・・・・・
やつはピクリとも動かなくなった
俺もピクリとも動かなくなった。だが自然と口から言葉だけは出る。
「ああ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もっと生きたかった・・・・・・・・・・・・・もっと・・・・・・・・・・・・・・・あいつらと・・・もっと・・・・もっと・・・・・・・・あいつと一緒に・・・・・・・・」
ついにこの何かは動かなくなりつつあるらしい。
このなにかは最後の力を振り絞り・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・生きたい・・・・・・・・・・・・・・・
思考して何かとともになにもかも消えた・・・・・・・・・・・・
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「うわあああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「きゃあっ!」
思いっきり起き上がった。
今のは・・・・・・・・・・なんだ?・・・・・・・・・・誰かの・・・記憶か?・・・・・・・・
さっきの強烈な夢のせいか意識がはっきりしない。
なんとかしなければと辺りを見回す。するとベットの下でもぞもぞ動く・・・・・・・・・妹がいた・・・・・
「何やってんだ・・・・・」
なんか頭を抑えて悶絶する香菜。おお、なんかいつもの調子にもどったぞ。
もしかして俺がうなされてるのを心配してくれたのか?・・・
「悪いな、心配かけて・・・」
「う、うんっ!そう!そうだよ!じゃ、じゃあ私は出るね!」
なんかいつもと違う・・・何かあったのか?・・・・
「どうしたんだ?香菜。大丈夫か?」
出ようとする香菜を先回りして顔を覗き込む。
「ふみゃっ!」
変な声を出して凄いスピードで出て行ってしまった・・・・
何があったんだ?・・・・
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その日はいつもより早起きだった。兄とのデートと言うことで少々舞い上がっていたのだ。そんな感じでややテンションが高い状態で今日の用意をしているときだった。隣の部屋から唸り声が聞こえたのは、自分の隣の部屋は兄の部屋だ。今日のように兄はたまに寝ているときに大声を上げることがある。兄の話を聞いたところではなんでも誰のものか分からない記憶のようなものを見るらしい。夢だとは思うのだがあまりにも夢の割にははっきりしすぎているのだ。それに夢は時間が経つと自然と忘れてしまうが、兄はこの手の夢だけはいつまでたっても覚えているのだ。
「お兄ちゃん、大丈夫かな・・・・」
気になって見にいくと予想通りにうなされていた。ただ今日のうなされようはいつもよりかなりひどい。やや顔を近づけて揺する。
「お兄ちゃん!起きて!お兄ちゃん!」
思いっきりゆするが起きる気配は無い。大丈夫だろうか・・・・
いったん揺するのをやめると、兄がパっと目を見開いた。良かった、と思った瞬間兄が凄い勢いで起き上がった。
「きゃあっ!!」
思わず悲鳴をあげてしまう。
兄は気付いていないようだがさっき兄が起き上がったときに額と額をぶつけている。額にズキズキと痛みが広がる。お兄ちゃん石頭・・・
「何やってんだ・・・・・」
何やってんだってお兄ちゃんがぶつかって来たんでしょ!・・・まあ、無意識だけど・・・
「悪いな、心配かけて・・・」
「う、うんっ!そう!そうだよ!じゃ、じゃあ私はでるね!」
なんだか心配していた気持ちと怒りで変な受け答えをしてしまった。それに今更気づいたが起きて心配してきてしまった時に寝癖を直していないことに気づく。恥ずかしくて逃げるように兄の部屋を立ち去ろうとすると兄が声をかけてきた。
「どうしたんだ?香菜。大丈夫か?」
「ふみゃっ!」
恥ずかしくて変な声を挙げて逃げてしまった・・・
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「ごめんって、朝は悪かったって」
今香菜とデートと言う名の買い物をしているのだが朝の一軒のせいで香菜の機嫌が非常に悪い。何度も謝っているのだが・・・
「ふんっ!」
こんな感じだ・・・
はあ・・・今日は朝から最悪だ・・・
しかし朝のあの夢は本当になんだったんだ?俺が見た夢の中でもかなり訳がわからない方だぞ、あれ。今まではたくさん死体が転がっていたりゆっくりと自分に鎌が刺さってきたりとまあ穏やかなものはなかったがあそこまで何が何だかわからないのはなかったな・・・
夢の中で何もかもわからなくなって本当に自分がなにかわからなくなりかけた・・・・・と、考えていると今度は起きているのに夢の中に引きずり込まれるような感覚。咄嗟に香菜を見ながら声をかける。
「ごめんって、反省してるから」
ふう・・・本当に香菜を見て安心するのはなんでなんだ?唯一の肉親だからか?
「ふ~ん、本当に反省してるの?」
「あ、ああ」
「じゃあ、誠意を見せなさい!」
「は、はいっ!」
前に卯月が尻に敷かれてるねと言っていたが本当にそんな気がしてならない・・・
そんな風に考えながらこの時間は幸せだと感じている俺がいた・・・・・・
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「で?なんでこうなったんだ?」
誠意を見せろ、と言うことで香菜に連れてこられたのだが・・・・
なんで一つのグラスに二つもストローが入っているんだ?・・・・・
周りには幾つものカップル。ところどころで甘~い雰囲気を醸し出している。どう考えても兄妹が来るところではない・・・・
「♪~」
妹は例によって上機嫌だ・・・・
まあ、妹が上機嫌ならいいか・・・・
だからシスコンなんて言われるのか?・・・・
「お兄ちゃ~ん」
「どうした?」
「ん~ん?何でもな~い」
なんか今度は今度でいつもと違う・・・・・ちなみに今日はデートと言うことで呼び方がお兄ちゃんになっている。恥ずかしいんじゃなかったのか・・・・・
「お前はこれでいいのか?」
「うん!」
おお・・・・凄い勢いだな・・・・
そんな感じで話しながらチラッと横目で近くのジュエリーショップのガラスを見る。この角度で見るとガラスの奥は見えず、反射してしまう。その反射して映し出された光景を見る。そこには通りの雑多な様子が映し出されているが、その中にやや奇妙な格好をした人が見えた。一人は真っ白な髪をしていて長い髪の先に方を結っている。顔はとてもバランスのとれた顔つきで、見た感じでは変なところはないが、サングラスを付けて、茶色の中折れ帽をかぶり、こっちを監視するような体勢でこちらを見ている。あの体勢、あの格好だけでも目立ちそうなものだが、気配を消しているのか不思議と目立ってはいない。もう一人は黒髪黒目でこちらもサングラスをかけている。こちらは気配を消しきれていないのかかなり目立っている。
「香菜」
「どうしたの?」
「いや、そこのガラスに映っているやつなんだがな・・・」
「ああ、白波さんと立石さん?」
「ああ、わかってたのか?」
「うん、白波さんはともかく立石さんはね・・・あれは目立ちすぎでしょ」
「だよな・・・」
立石よ・・・友人として少し心配になってきたぞ・・・
それで気づかないとでも・・・
「そうだ!お兄ちゃん!」
「ん?どうした?」
「あのね・・・・・」
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「ねえ、お兄ちゃんあのお店入ろう!」
「ああ、いいぞ」
香菜が俺の手を握って引っ張る。
「そんな急ぐことないだろう」
「だって~お兄ちゃんと一緒に入りたかったんだもん」
「わかったわかった、ほら、いくぞ」
「うん!」
二人で甘ったるい雰囲気を出しながら店の中に入って行く。
そのお店は・・・ジュエリーショップだ
「お兄ちゃんこれがいいな!」
「ん?これ?・・・ブフォっ」
なぜ指輪?・・・それにこのタイプの指輪って・・・
今俺達がしているのは演技だ。さっきから俺達を尾行しているあの二人が逃げるほど甘い雰囲気を出したらあっちから出てくるのではないか、と言う香菜の発想だ。他意がある気がするのは俺だけだろうか・・・
そのまま俺達は高級デパートに入る。香菜とイチャイチャしていると片方から殺気が放たれ始めた。うおっ、結構怒ってるな・・・ていうかなんであいつが怒ってるんだ?ああ、白波ってこういうことって固いほうだっけ。よりにもよって妹となんて・・・なんて感じで怒っているのか?
「香菜、そろそろ」
「えーやだ!」
「いや、いきなりそんな感じになられても・・・」
「ぶ~、ま、お兄ちゃんがそこまで言うなら」
ふう・・・二人を待ち構えるたために人気のない場所にむかう。丁度トイレや店員の控え室等があるところが通路状になっておりそこだけ周りから見えなくなっていたのでそこに入る。
丁度だれもいない。ふう・・・
「いや~昔も今もお前は人気だなあ」
声がした瞬間に警戒度がマックスになる。自分で相手の気配がわからない時点で危険な相手だ。それに余りにもいきなりだったせいで咄嗟に体が反応してしまう。隠し持っていた刀を実体化。声のした方向に全力で刀を振る。
ズドオッ
全力で強化魔法まで使用したせいで空気を引き千切り、周囲の空気を弾き飛ばした。
「うおっ!」
空振った!?今ので?
今のでかすりもせず、俺に気配すら感じさせない。さらに相手は余裕がありそうだ。もし本気で余裕なのだとしたらかなりマズイ。どうする・・・
「お兄ちゃん!?」
いつもならすんなり入ってくる妹の言葉すら耳に入らず。香菜を守ることだけに頭が支配される。
だが、相手の顔を見た瞬間に警戒が驚愕に変わった。
「あ、朝日?・・・・・・朝日・・・なのか?・・・・」
「おう」
そこには自分が昔一番と言っていいほど信頼していた友人が立っていた。
新キャラはめっちゃ強いです。