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ラストワールド  作者: 落葉颯花
終末の序曲~始まってしまった『終わり』
10/20

終末の序曲~10 追想2

主人公の仲間達が全員チート入ってます・・・

融合魔法は現在解明されているのだけでも四種類ある。


一つは「光魔法」火魔法と水魔法を完全に5:5の割合で混ぜることで発動する。光魔法は文字通り光を放つ魔法である。光魔法は消滅の概念を操り、触れた者を消滅させる。

二つ目は「闇魔法」土魔法と風魔法を同じように混ぜることで発動する。闇魔法は破壊の概念を操る。有機物なら腐り、無機物なら砕ける。

三つ目は「収束魔法」大人数の魔力、多種多様な魔力を一点に集め、ただ開放する。この魔法は魔法ではあるが、魔法障壁は全く効果がない。

四つ目はほとんど解明されていない「花魔法」この魔法は同時に五大魔法と呼ばれる五属性を同時に発動することが条件となる。上級の魔法兵士でも三属性が限界と呼ばれているので、かなり難易度は高い。割合は特に関係なく、人それぞれらしい。この魔法は、人によって色というものが決まっており、効果が違う。例えば「青」は他の魔法を侵食し、無効化、もしくは弱める、強める、等ができる。このように花魔法の効果は総じて強いものが多いが、弱いものもあるので本当にピンキリである。



現代の魔法武器の主流は柄だけの物だが、魔法武器はそれだけでは無い。神社に祀られていた御神刀や、遺跡から発掘された剣など魔法技術が確立されるまでは博物館などで飾られているだけだった物は、魔法技術が発展することでその真価を発揮した。

その古代の遺産は、現代で作られる魔法武器の性能を軽く凌ぎ、強力な魔法を発動する媒体にもなり得た。その古代の遺産は「法具」と名を定められ、あらゆる人の手に渡った。

かく言う今俺が使っている刀、「永華」もその一つだ。この刀は家で家宝として置いてあった刀で、かなり強力な能力がある。それは、この刀より発される「斬撃」の概念を持つもの全てに魔力を付与する、と言うものだ。物に魔力を流すか強化魔法でしか魔法を使えない俺にとっては相性はピッタリだった。今まで剣を振って真空刃で攻撃しても魔力の宿った攻撃しか効かない魔物には攻撃が通らなかったのに、この刀のおかげで通るようになったのだ。

ただ、「法具」は現代の魔法武器のように魔力を流さない時は重みが無くなる、と言った能力が無いのでいちいち持って歩かなければいけないのがたまに傷だが・・・・



************************

        

「魔殺二天流  天降り!」


空高く舞い上がり、敵陣の真っ只中に落ちる。

振り下ろした剣によって狼のような魔物が頭を一刀両断にされる。


「キイッ」


いきなり現れた敵に戸惑うかのように人型の魔物が驚くが、すぐにそれは悲鳴に変わる。

なぜなら自分も一刀両断にされていたからだ。「天降り」は一瞬の内に何度も剣を振り下ろす技。主に空中から地面に降りる際に使われる。


「ふう・・・これで少しづつ敵を減らしていく、ね・・・・」


左手に持った刀を肩に担ぐようにして持つ。


「敵、全然減ってないじゃん」


朝日の魔法は思ったより敵が障壁を張るのが早かったせいであまり敵を減らしていなかった。

         

「はあ・・・滅閃 乱斬」


転歩九式で移動しながら敵を切り捨てる。それを連続で三回。


「全然減らないぞ・・・これ・・・」


するとやや近くから声が聞こえた。

   

「破魔豪天流 豪刺閃!」


凄まじい速度で俺の目の前を何かが通り過ぎる。


「あれ?水雪さんじゃないですか。」


「碧・・・それ何だ?焼き鳥?」


「え?これですか?」


碧が持っている刀に焼き鳥のように魔物が連なって刺さっていた。


「アハハハハ、焼き鳥ですか、なかなか面白い表現ですね。」


碧は俺と同じ刀使いだった。さっきの技は確か突進系の技だったはずだ。敵を貫いてそのまま敵を何体も貫いたからあんなことになっていたんだろう。


「フワーハハハハハハ!!危ないぞ!ミーンチ」


「うわっ」


「あぶねっ」


「シールド!!」


俺達がさっきまでいたところを魔力の壁のようなものが突っ切っていった。あの話し方あとおそらく大貴だろう。ミンチシールドってネーミングセンスがないと思う。


「ハーハッハハハハハハ!!」


そのまま大貴はどっかに行ってしまった。

技名通りに魔物はミンチになっていた。タワーシールドで突進して魔物を潰していたが盾ってあんな使い方だっただろうか・・・?


「コロナランス!」


遠くから朝日が攻撃している。今度はさっきの魔法障壁を警戒して先ほどの魔法を収束したものに変えている。

雨のように炎の槍が降り注ぎ、魔物を消し炭になっていく。

朝日の魔法は威力が普通の魔法兵士と段違いだ。普通はあれだけ魔法を放っていたら軽く魔力が枯渇しているはずだ。

何か残っている奴らは全員とんでもないのが多いな・・・・・


おっと、考えてばっかりいては駄目だったな。

            

「魔殺二天流 奥伝の一 風飛沫!!」


辺り一帯で血飛沫が舞った。



******************



朝日の魔法が魔法障壁に塞がれた後・・・


「どうします?流石にあの数を殲滅するのには時間がかかり過ぎます。」


「朝日はあの魔法障壁を破れて、しかも高殲滅力を持った魔法って使えないか?」


「う~ん、できないことはないけど・・・・・・死ぬかもしれない。俺、まだ死にたくないよ?」


「ホント~?まだ何か隠してな~い?」


「いや、まだ隠している技はあるさ、でも確実性のない技ばかりなんだ」


「どうする~?」


蒼夜の問いに皆が沈黙する。


「・・・・・・・・・・・・・・・」


「フワーハハハハハハ!先ほどの魔法障壁はおそらく一人で行っている!そいつを潰せばいいではないか!ハーッハッハッハッハッハッハッハッハッハゲホッ、ゲホッ」


なかなかまともなことも言うんだな・・・・・むせたけど・・・・

大貴は悪役失格だな・・・


「そうだな、大貴の言った通り魔法障壁を作った奴さえ潰してくれればこっちでやれる。ただ張った奴がどこにいるか分かんないから探すしかないな・・・」


「それは前衛組でやろう。見つけたら速攻で潰す。そしたら全力でお前の後ろまで下がればいいんだな?」


「ああ」


「よし、じゃあやるか」


そんな軽いノリで始めた捜索だが・・・






「探すにしてもこの数じゃなあ・・・・」


自分でも結構は減らしたはずだが未だに魔物が海のようになっている。その上数の差がありすぎるので少しづつ後退している。大分防衛壁に近づいてしまった。このまま行くと朝日の殲滅魔法も使えなくなってしまうだろう。


「おーい、全員集まってくれなーい?」


朝日が後ろの方で手を振っているのが見えた。


「戻れったって囲まれてんだよ・・・まあ、周りの敵減らして飛んで戻るか。」


刀を納める。

       

「魔殺二天流 振天」


高速で刀を抜刀する。振り抜いた時の遠心力を止めずにそのまま一回転。周囲の魔物が絶命する。


「転歩 飛天十式」


転歩で宙に一瞬で移動する。飛天と言うのは空中に上がるための転歩だ。宙に上がった俺はある魔物を発見した。

形は人型。座禅のような体勢で宙に浮いている。


――こいつか――――


その魔物と宙で目が合った。


その魔物はこちらに向けて笑みをこぼした気がした。



******************




朝日のところに来たがもう全員が集まっていた。


「あ、戻ってきたか。祐理で最後だぞ。」


「ああ、で?何だよ集まれって」


「いや、一回誰かに思いっきり飛んで奴を探して欲し「見つけたぞ」くて、って、え?」


「人型の奴だった。見た目だけで分かるほど魔術師って格好をしていたぞ」


見つけた奴の特徴を説明する。説明が下手で悪かったな!


「へ~、そうなんだ~。ところで見つけた後どうする気だったの~?」


「あれ?なんの話だっけ?ってごめんなさい!覚えてます!覚えてますから!」


あの優しそうな碧が刀に手をかけて殺気を放っていた。怖っ


「ひいっ。い、いやですね、ちょっと作戦をですね・・・」


敬語になっちゃった。


「あのですね、実は僕の花属性がですね。転移もどきが使えるんです。ハイ、それでまず何人かを上に上がらせてですね、ハイ、自分の魔法でそいつの周りの敵を殲滅しようって話しです。ハイ」


気持ち悪い敬語になっちゃった。どうしましょうこの朝日、無性に斬りたくなってきた。


「ヤバッ、なんか殺気放ってるのが増えた!もうどうすればいいんだ・・・え?このままで良い?はい、分かりました。」


ようやく戻ったか・・・


「・・・・・・それでいいのか?・・・・・・」


「いいんじゃないですかね、転移のこと以外は特に問題点はありません。」


「ハーハッハッハッハッハッハッハ、吾輩も意義無―し」


「いいんじゃないか?飛ばすのは俺と碧と岳斗さんでいいか?」


一応確認を取ったところで大貴が歌いだした・・・・え?・・・・


「ワーガハ~イーは~~~♪」


何となく雰囲気的に俺が答えた。


「オペラ歌手張りの声をだすな。まあ、朝日が攻撃中に攻撃されたらたまったもんじゃないから守ってやってくれないか?」


「うむ!引き受けたぞ!」


そしたら今度は蒼夜が歌いだした。


「お~れは~?」


「大貴の真似をするな。なぜかクオリティが高いのはスルーするぞ」


「え~」


「はあ・・・何で俺が仕切ってんだよ・・・はいはいわかったよ。なんか遠距離武器が使えるみたいだから朝日が一掃した敵がすぐに元に戻らないように食い止めてほしい。」


「は~いよ~」


やべえ・・・どんどんレベルが上がってる・・・・


「これでいいだろ、じゃ、いくか・・・」



***************



「ふう・・・よし、転移魔法、行くぞ。」


「ところでお前の花って色なんかあるのか?転移ができる花属性なんて聞いたことないぞ?」


「そりゃそうだ、前例が無い色だからな。俺は勝手に星属性って呼んでるけど。」


「なぜ星?」


「なんとなく、だよ・・・ま、そんなこと今はいいさ、じゃ、いくよ?」


格好いいからとか言うかと思ったんだが・・・なんとなく、か・・・・


「頼む」


「頼みます」


「・・・・よろしく・・・・・」


全員の準備が整ったところで朝日が魔法を発動した。


「転移!」


三人がブラックホールのようなものに飲み込まれる。


「成功だな」


三人の転移は成功した。後は自分の仕事をこなすだけだ。


「やるか・・・」


あれを発動するには詠唱をしっかりしなければいけないだろう。やらなければ自分がどうなるか分からない。


力を込めるように敵に向かって手をかざす。


『空照らす星 天照らす星

 その絶対なる力をこの世に顕現し

我が手より出でよ』

「ラストスターノヴァ」


自分の前にかざした手に花属性の魔力が集まる。虹のような、または宇宙のような色をしたそれは大きな光条となって放たれる。


それは・・・消えゆく星の断末魔のような光だった。


星の断末魔は己だけが消えるはずがないと虐殺を開始する。


だがその光条も途中で阻まれる。おそらくあれが自分の魔法を防いだ奴のはずだ。今は自分の防御に専念しているのか「ラストスターノヴァ」が防がれている。


「押し開く!!」


「ラストスターノヴァ」がゆっくりと右に動いていく。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


そのまま「ラストスターノヴァ」は射線上にいた魔物を消滅させていく。


「ハア、ハア・・・・・・・・まあ、こんなもんかな?」


右半分の敵は完全に消滅していた。



******************



朝日の転移によって俺達は一瞬で敵陣の遥か上空にいた。

そう雲の上に―――


「っておい!」


「アハハハハハ」


「・・・・・・・・・・」


「笑ってる場合じゃないし黙ってる場合でもねえし喋ってる場合でもねえ!」


そのまま俺達は雲に突っ込む


「寒っ」


さすがにこの高度でこの速度で動いていると俺達に冷気が襲いかかる。


「あれ?火魔法使わないんですか?」


「ん?ああ、俺、強化魔法以外は一切使えるないんだ。」


「ええ?!それであれだけ!?」


「ああ、そうだけど・・・」


「「・・・・・・・・・・・・」」


「黙ってるだけなのになぜかハモった気がする・・・・」


三人とも強化魔法で重さを強化しているので落下速度はかなり速い。


「そしてそのせいで凄く寒い」


「火魔法、かけます?」


「頼む。」


もはや凍りはじめた俺を見てさすがに助けてくれた。よかった・・・


「ところで本丸を倒すのは誰にします?僕は水雪さんでいいと思いますけど」


「・・・・・それでいいと思う・・・・・・」


どうやら二人とも俺に譲ってくれるらしい。


「分かった。二人には囮を頼む。」


「はい」


碧が了承した直後に岳斗が口を開く。


「・・・・すまない・・・・俺がいつまでも帰って来なかったらほっといてくれ・・・・」


「分かりました。」


一人の人間の終わりを彼らはあっさりと受け入れた。


「お、見えてきたな。先行するぞ、碧、足の裏、借りるぞ」


「どうぞ」


俺は頭を下にして碧の足を蹴って先行した。



*****************



あと地面まで二十メートル―――――十五―――――十!!

足を回転させてその遠心力で周りを見渡すように回る。

俺が落ちる周囲にいる敵の数―――362――

瞬間的に敵の数を数える。


「はぁぁぁぁぁぁ・・・」





一度目を瞑り、息を吐き、一気に思考速度を速める。


目を開く。


世界がブレる。


空気が重くなったかのような感覚に陥る。周囲の音が訳の分からない重低音に変わる。


そんな中でも自分の体だけは何も変わらなかった。


頭を下にしたまま抜刀術の構えをとり、もう一度目を瞑る。

後少しで―――三メートル

目を開く。

視界には線が浮かび上がっていた。その線は俺から半径十メートル内にいる全ての敵と重なっている。

刀に手をかける。

負けない――負けられない―――全てを――斬り伏せる!!

          

「鳴り響け―――空蝉」


静かに言い放つ。それは絶対の奥義の名

それは一瞬

世界は元に戻る。

視界は反転し、地面に足が着く。


瞬間、半径十メートル内の敵が――――


絶命した。


あるいは頭が切り裂かれ、またあるいは上半身と下半身が分かれていた。


「成功・・・か・・・・」


今ので自分はかなり目立っただろう。本来目立ってはいけない自分が目立ったのは理由がある。

生物と言うのは一つの驚異にはある程度までは対応できる。だが――


魔物達が怒り、悲しみ、狂気の声を上げる。

だがその声はすぐに止まった。


一つ目の驚異の後にいくつも驚異が出た場合―――パニックに陥る。


瞬間―――死の神と一匹の物の怪が舞い降りた。



****************



地面に降り立った二人で先に動き出したのは碧だった。

彼はいつもの微笑を浮かべたまま・・・喋りかけた。



「――――」


聞こえたのは何者にも理解できない死神の言葉


瞬間、圧倒的な殺気が周囲に降りた。もはや物理的な力さえ持ち得た殺気は黒い霧となって周囲一帯を覆い尽す。

        

「狂い咲けぇ!!死花葬送!!」


死神の鎌が振るわれた。

死神の鎌は全ての命ある生物の肉体も魂も―――全てを刈り取った。




岳斗が動き出す。

その動きは―――まるで全てを喰らう物の怪が動き出す瞬間のよう。


「ガ、ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


一匹の物の怪の叫び声が響き渡る。

物の怪は背負っていた巨大な剣を取り出す。常人には持ち上げることすらできないような剣を彼物の怪は何も持っていないかのように振り回す。

物の怪は剣を振り回す。その度にいくつもの命が引きちぎられる。

物の怪が魔物を持ち上げる。魔物は必死の抵抗を図るが、全てが無駄に終わる。


その魔物は、死の間際になって理解した。


抵抗など、意味はない。我々は、敵対する相手を間違えたのだ。敵は敵対するべきものではなく。信仰するべき神のような至上の存在なのだと。


物の怪は魔物の頭を握りつぶした。


握りつぶした魔物の頭の欠片を口に放り込みながら彼は狂気の笑みを浮かべた。



**********************



「うわ~、派手にやってるね」


遠目に見ても分かる程、二人は暴れまわっていた。


一人は圧倒的なまでの殺気を撒き散らし、

また一人は狂気を撒き散らしていた。


「ホントだな、ありゃ地獄絵図だ」


「ホントだよ~、ねっ!!」


蒼夜が右手のブーメランのような物を投げる。それは凄まじい速度で回転しながら魔物達を切り裂く。しかも、本来ブーメランとは円状に回って戻ってくるものなのだが、このブーメランは違った。まず一体の魔物の急所を的確に切り裂くと近くの魔物へいきなり方向転換、その魔物の急所を切り裂くと、また・・・・とそれを繰り返す。しかも速度が尋常ではない。彼の手からブーメランが離れてから一秒も経っていないと言うのにブーメランは既に十体以上の魔物を死に追いやっていた。


「よっと。」


彼の元にブーメランが戻ってくる。戻って来た時には既に数百体の魔物が絶命していた。


「すげえ・・・」


朝日は蒼夜以外にもブーメランの使い手を知っている。そのブーメラン使いは結構な使い手で、蒼夜のブーメランの技術はその者に迫るほどだろう。だが、その程度だ。そのブーメラン使いは確かに強い。だが、水雪や碧と比べると、その足元にも及ばないだろう。なのになぜ朝日が凄いと評したのか?それは蒼夜の戦い方にある。そのブーメラン使いは何十年も修行してその域まで至ったと言う。蒼夜はこの年でその領域に至っている時点で凄まじいが、蒼夜の凄まじさはそんなものではない。彼は今ブーメランを使っているが、さっきは剣、その前は弓、投剣、はたまたワイヤーのような武器まで使いこなしていた。中には似通ったような武器もあったが、全然使い方が違うような武器や、使い方を覚えるのにも何十年もかかるような物まであった。しかも、その全てを完璧に使いこなしていたのだ。さすがに刀で水雪とかよりも強いようなことはなかったが、普通の人と比べれば頭一つ抜けるだろう。彼はあらゆる武器を達人の域で使いこなしていた。


「あ~、数、多っ!!」


「だよな・・・」


ただいくら蒼夜が強いと言っても神級魔法レベルで殲滅できるわけではないので敵を殲滅するにまでは至らない。しかも、敵は少しづつではあるが増えているようだ。


「いっそあいつらごと殲滅しようかな・・・」


なんて危ないことを考えていると、何かが吹っ飛んできた。


「ゲボォッ」


それは大貴だった。


「おい!大丈夫か?」


ゆっくりと大貴が立ち上がる。とりあえず大貴の体を確認する。


「チッ・・・・・殺す・・・・・・・・・・・・確実に殺す」


いつもと明らかに違う大貴。そして、彼の体には右腕がなかった。


「な!?どうしたんだよ!?それ!?」


「ハーッハッハッハッハッハッハッハッハッハ、なーに大丈夫さ!ハーハッハッハッハッハ」


いきなり態度が急変する。その急さについていけなかったが、とにかく治療を優先することにした。


「お前、強化魔法に自信あるだろ。速く右腕繋げたらどうだ?」


強化魔法は自分の再生能力を「強化」すれば傷を治せる。強力な強化魔法なら離れた体の一部をくっつけることは容易だ。


「ウム!そうであるな!」


そのまま近くに落っこっていた右腕を繋げ始める。


「ところでどうしたんだ?お前のあの強化魔法とあの盾ならよっぽどのことがなければ貫かれないだろ?」


「ああ!だが貫かれてしまったのだ!なぜかな?ハーッハッハッハッハッハッハ!」


それだけやばい奴がいたのだろう。


「で?そいつはどうしたんだよ」


「ウム!今あそこにいる奴だ!」


大貴が指さした方向には体長50メートルには届くのではないかと言う程でかい巨人がいた。


「マジっすか・・・・」


「あれ、やだなあ・・・」


俺達が倒す算段を立てているところを、大貴がさっきのような雰囲気を纏いながら制した。


「あいつを・・・・あいつを殺すのは・・・俺だアァァァァ!!」


大貴が盾を捨てる。


ズゴオッ!!


大貴が凄まじい踏み込みをする。

        

「絶天王激流 奥伝の三 死拳」

 

いつもとは打って変わって真面目な顔をした大貴がやや腰を落とした体勢を取った直後、掻き消えた。


「滅壁ィ!!」


一瞬後にその巨人の体に大貴の拳が突き刺さる。あんなものでは・・・・と思った直後、巨人が大きな壁に潰されたように潰れた。

今の技は恐らく何らかの流派の技であろう。

さっき見せたあの大貴の態度は大貴の素なのかもしれない。なぜいつも変人を騙っているか理由は分からないが。


「あ~びっくりした。ん?」


三人ほどの人影がこちらに向かってくるのが見えた。



***************



二人が暴れ回っている内に俺は奴を殺さなければいけない。パニックに陥った魔物達が逃げ出したりする中、俺は目当ての魔物を見つけた。周囲に三体程護衛がいるようだ。まずは奴らか・・・

奴ら三体の護衛を一撃で殺そうと思考した瞬間だった。俺の周囲で三度、擦過音がした。


・・・・・・・・・狙撃?・・・・・・・・・


もしやと思い護衛達を見ると、一撃で護衛達の頭を撃ち抜かれていた。


急遽予定変更―――目標を潰す。

       

「魔殺二天流 散波!!」


転歩で相手に近づき、抜刀術で一撃、そのまま二撃三撃と繋げ――ようとして失敗した。一撃目が相手に当たる直前で止まってしまったからだ。それは―――


「対物障壁!?」


魔力を高密度で集中し、物理攻撃を無効化する、と言う魔法である。魔法障壁を使っていたのでもしかしたら・・・ぐらいには思ってもいたが、まさか本当に使ってくるとは思ってはいなかった。

物理障壁を蹴り飛ばして後ろに下がる。


「チッ、これじゃだめか・・・しょうがねえ・・・」


あの感触だと間違い無く生半可な技では弾かれるだけだろう。


なら――――


刀を鞘に納める。鯉口を切る。


「転歩裏式 十二式」


免許皆伝の者に技の存在だけを教わる転歩によって敵の障壁に突っ込む。速度はざっと十式の四倍――

相手と接触するタイミングに合わせて発動する。


「魔殺二天流 終の奥義―――」


刀を抜刀する。


「神無月!!」


それは一撃、純粋なまでの一閃。極めに極め、極限にまで至った魔殺しの最後の奥義

この刃の先にあるものは全てを一刀のもとに斬り伏せる。

神無月によって障壁ごと魔物を斬り捨てる。


「ふうーー・・・終わったか・・・」


後は朝日にやってもらうだけだ。戻らなくては―――と思ったところで思い出す。あの狙撃は―――?と。

狙撃がとんできた方向を見る。視界を強化すると、こちらから目測でも4キロは離れている場所で対物狙撃銃アンチマテリアルスナイパーライフルを構えている男がいた。あちらもこちらの視線に気がついたのかこちらに笑みを向けていた。俺も笑みで返しながら思う。

まだ俺達みたいな馬鹿がいたのか――――

思わず笑いながら俺は碧達のもとへ走った。



*******************



俺達三人は以外とすんなり戻って来れた。途中で蒼夜の技で道を開いてくれたおかげで帰りは楽だった。碧達は、俺が二人のもとに行った時には碧が岳斗の暴走を抑えていたのでなんとかなった。


「お、魔法障壁使う奴やってくれたの?」


「ああ、間違い無くな」


俺に聞いてようやく安心したのか安堵をすこし漏らす。


「よし!じゃあちょっと予定が変わったけど皆行ってくれ、出来れば都市内部に入ってくれると嬉しい」


「お前は?」


「俺がこれから使う魔法はちょっと特別でね、俺には一切ダメージが無いんだ」


「そうなのか?ならいくぞ」


「ああ、行ってくれ」


そのまま俺達は朝日を残して都市に走った。




「さて・・・やるか・・・・お願いだから・・・・もってくれよ俺の体・・・」


そんなつぶやきを俺は聞いた気がした。



******************



「さて・・・・やりますかね・・・・」


俺が今から試そうとしている魔法は禁忌級の魔法だ。最初はもう少し弱い魔法でやろうと思っていたのだが、魔物があまりに増えすぎてしまったのだ。それに大貴にダメージを与えられるような魔物の反応が何体かいた。あのレベルだと俺が最初に使おうとしていた魔法だと仕留め損ねる可能性がある。だから、やむなくこの魔法を使うことにした。この魔法は結構有名な魔法だ。第二次人魔大戦時に、陥落しそうになったイギリスを守りきった英雄が使ったことで有名な魔法だ。俺なりのアレンジは入っているが、もとはあの伝説の魔法だ。

俺は覚悟を決めると手を空にかざし、詠唱を始める。


『一つの星の終わり 星の怒り

 死してなお輝き続ける星の力 死して生まれる暗黒の力

 全てを集め 全てを導き 全てを消し去る』

「崩壊天体!コラプスド・オブジェクト!!」


空に大きなヒビが入り、それが一気に広がる。そのヒビが砕け、中から液体のようなものが流れ落ちてくる。それは、この世界そのもの。誰にも分からない世界そのものが流れ落ちてくる。洪水のように広がる世界。その世界は全てを死に導き、全てを消し去り、辛うじて残ったものを集め、呑み込む。

その光景は星が死に、死した後に残った莫大なエネルギーが暗黒の大渦に変わった瞬間のよう。


自分の中から魔力がなくなっていくのが分かる。少しづつ死が近づいてくるのが分かる。


やがて世界の洪水は止まる、禁忌魔法の代償として砕けたままの空を星魔法で空間に干渉し、世界をもとに戻していく。


そこで力尽きたのかゆっくりと体が後ろに倒れる。だが、それは途中で止まる。


「一番の功労者を地面に倒れさせたりしたら忍びないだろ?」


微笑みを浮かべた水雪が俺を支えてくれていた。



***********************



俺達六人はなんとか都市に戻った。そこで待っていたのは勝利の喝采と英雄の帰還―――

と言った物語の中のようなことはなかった。

そこにあったのは圧倒的強者に対する恐怖。それだけだった。


「化、化け物だ・・・・」


「ひいっ・・・こ、殺される!!」


「何であんなのが・・・・人間なんだよ・・・・」


まあ、あれだけのことをしたのだ。こうなって当然だろう。だがそれは俺達だけではないようだ。おそらくあのスナイパーだろう。上から誰かが降りてくる。そいつに皆の恐怖の念が降り注ぐ。


「おう、さっきはありがとな」


「何、当然のことをしただけだよ。」


俺はさっきの礼をした。さっきこいつがやってくれなければまだ戦っていたかもしれない。


「もしかしてずっとあそこから撃ってたのか?」


「ああ」


あっさり返される。


「そういえば後ろにいた時から何度も魔力の塊が飛んでいったのはお前か?」


ようやく話せる状況になった朝日が話しかける。


「ああ、後俺の名前は鏑木 猛。まあ、できれば名前で呼んでくれ。」


「ああ!よろしくな」


そのまま俺と鏑木は握手をした。こいつは結構信じられるかもしれない。


「しっかしさ~」


蒼夜がいつもの感じで話す。


「ここ、居づらくない?」


まあ、そりゃそうだな・・・・


「じゃあさ、残党狩りでもしに行く?」


その蒼夜の案に皆が賛成し、俺の妹が合流したことで8人になった俺達は残党狩りに出掛けた。


後にこの妹を抜いた7人組が別の名で呼ばれるようになるのは別の話。


まあ、こんな感じで俺は朝日と出会った。この後俺達7人組は一緒に行動することが多くなり、少しづつ信頼し合える仲になっていった。


次から時間軸が元に戻ります。

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