御免なんです。
青い海、白い雲、眩しい太陽に…
「……はあ。」
溜め息混じりなあたし。
そう、来てしまいました。
むかつくほどの美人率いる『恐怖の夏合宿』に!
ああ、日差しに倒れてしまいたい。
そして救急車で運ばれて、熱中症だからすぐ帰宅しなさいとかドクターストップ掛かって、わだかまりもないままに『それじゃあ仕方ないよね』的な空気で意気揚々とこの場を去れるのに!
「まだそんなこと言ってるの、あかりさん。」
出た。
「言ってませんが。」
「モノローグで。」
だから、お前はエスパーか。
「毎回読まないでよ、プライバシー侵害しまくりだよそれ。」
「だだ漏れなんだもん。」
にっこにっこと相変わらずなエフェクトを飛ばすは、事の元凶、久留米航太。
あたしは極力関わりたくないから自力で行くと言ったのに、無理矢理サークルメンバーの車に押し込まれた挙げ句、ちゃっかり隣に座りやがって、根掘り葉堀り根掘り葉堀り…
「お前は何なんだ!」
「まあまあ。」
何がまあまあなのか!
何が!!!!!
いっそのこと、こいつのエフェクトで倒れたらいいのに、あたし。
「……はあ。」
「溜め息吐くとしあわせ逃げるよ。」
「…もう逃げてる。」
あんたの所為で。
見上げた空はやっぱり青く、少しだけ、これからに涙した。
「何あいつ。」
「航太にべたべたしちゃって。」
冷たい視線と大いなる誤解には、まだ、気付くことなく。