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エトセトラボックス  作者: 鈴木真心
幸福の在り方
19/25

取るに足らない関係

昨晩、母は帰って来なかった。

当然といえば当然だが、がらんとしたリビングに、胸くそ悪く思った自分がいた。

現状で冬吾さんは母の恋人であり、泊まったのならすることなど知れている。

それがわからない程子供ではないし、出会いが出会いだからこそ、嫉妬するだけ馬鹿げていることも頭では理解していた。

眉間の皺を伸ばしながら悶々とする思考を振り払い、まだ残るアルコールを飛ばすべく、バスルームへと、足を運んだ。



「おはよう和希。昨日はどうだった?」



いつもより早く着いた会社に入れば、ちひろが笑顔で近づいてくる。

どうだったかと言えばある意味手応えはあったが、もちろん、そんなことを言うつもりはない。



「いい人だったよ、よく出来た人。」


「よかったじゃない。」



自分のことの様に喜んでくれたちひろに、少しだけまた、眉間に皺が寄った。

母に対しては感じなかった罪悪感。

ちひろに対して感じるのは、間違いなくそれだ。



「ごめん。」


「いやね、何のことよ。」



きょとんとして微笑むちひろは、良き同僚であり、良き友人でもある。



「…心配させてってこと。」



本心を言えないからだとは告げずに、また、嘘を重ねたことに。

全てに対しての謝罪を口にして、笑ったわたしは、やっぱり狡い。



「いいのよ。」



それから他愛ない話をして、ランチの約束をしてから席に着く。

昨晩片付けた筈の書類の上には、初めて目にする、わたしのものではない新たな書類が積まれていた。

思わず深い溜め息を零してから、隣の席に視線を投げる。

いつの間にか出勤していた席の主は、へらっと笑ってそれに応えた。



「…松本、どういうこと。」


「おはよう葛城。」


「おはようじゃないわよ、これ、あんたの仕事じゃない。」



よく言えば柔らかな笑みを浮かべる、悪く言えば気抜けた雰囲気の彼は、ちひろと同じく同僚の松本春日(まつもと はるひ)

地毛だという柔らかな茶色の髪をふわふわさせて、にこやかな顔でわたしに仕事を押し付ける曲者だ。



「昨日の内に仕事片付けてたみたいだから、少し、手伝ってもらおうかと。」



悪気なく笑うそれも、既に、日常茶飯事である。



「少しじゃないわよ。」



どれだけ押し問答をしたところで、結果は既に見えていた。

また溜め息を吐きながら、肩を落として、仕方ないながらも書類に目を通すことにした。



このページ自体がまた書き途中……。

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