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エトセトラボックス  作者: 鈴木真心
荻窪ブルース
16/25

4

主催の短編投稿企画『酸欠』投稿作品を転載。

企画テーマは『調味料』テーマは『味噌』でした。

今日も荻窪は晴れていた。


「味噌食べたくなる空じゃないですか?」

「青いのに?」

「青は味噌ですよ」


そもそもが味噌食べたくなる空ってのがよくわからないが、深雪は味噌を食べたいらしい。

てか、味噌食べたいって何だ。


窓から覗く空は青い。

そして、冷蔵庫をがさがさと漁った深雪を視界の端に捉えていれば「じゃーん、味噌でーす」とか言って、本当に味噌達が登場を果たした。


「味噌『達』ね」

「味噌です」

「複数系でしょ、てか何で味噌がそんなに」


いつの間にか同居人と化していた深雪は、いつの間にか冷蔵庫を掌握していた。

そして、いつの間にか味噌コレクションをしていたらしい。


「で、何作ってくれんの」

「食べ比べじゃだめですか」

「味噌の?」

「味噌の」


何で味噌だけなのと聞いたら、味噌って高いんですよと当然に返される。


つまり、


「味噌に食費をはたいたわけね」

「だって味噌ですよ」

「そりゃ味噌だけども」


調味料として活躍してこその味噌だとは思うが、しかし、空の青に立ち向かわんばかりのそれらは、深雪の前で堂々として見えた。


たかが味噌なのに。


しかしながら、これだけの味噌ならば、深雪がその頭上に掲げる味噌より内容は濃いことだろう。


「人生って深いね」

「何の話ですか」

「味噌の話」

「ニュアンスが……」

「味噌の話だよ」


言い切る。


「腹減ってきたじゃんか」

「味噌がありますって」


あんたにもあればよかったのに。


そうは言わずに食べた白味噌は、思ったよりも濃厚だった。


「甘く見てた」

「意外と濃厚じゃないですか?」

「あんたと違う」

「だから、何の……」

「味噌の話だよ」


絶対違うと首を捻る深雪と味噌を見比べて、食べた白味噌は、何と驚きの八百九十円だった。


「高い!」

「白味噌バカに出来ないですから」

「あんたと違う」

「だから何が……」


さて、明日からの飯をどうしようか。


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