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エトセトラボックス  作者: 鈴木真心
荻窪ブルース
14/25

2

何となく考えていたことを深雪に聞いてみた。


「二十五過ぎると妖精になれるんだって」

「何の話ですか」

「処女の話」


「処女なんですか」と聞かれて「違うけど」と答えた。

処女じゃないけどセカンドに突入してだいぶ経つ。

妖精にはなれなくても、穴は塞がるんじゃなかろうか。

いや、処女膜が再生しないことくらい、あたしだって知ってるけども。


「ちなみに男だと何になれるんですか」

「魔法使いだって」

「魔法使いの方が格上じゃないですか」


確かに、妖精は魔法使いが連れてるイメージがある。

あんまり、魔法使いが妖精に連れられているイメージはないかもしれない。

こんなところでまさかの男女差別だろうか。

いや、格差?

これが男女の格差なのか。


「根本から正していかないとね、やっぱりなくならないものかね」

「何の話ですか」

「格差の話」

「魔法使いの話だったんじゃないんですか」


「まあね」と答えてから、煙草に火を点けた。

ああ美味い、煙草が美味い、人生は最高だ。


「いやはや、素晴らしい」

「魔法使いが?」

「いや、人生が」

「妖精の話はどうしたんですか」


深雪もまた煙草に火を点けたところで、妖精になった自分を考えてみた。


「気持ち悪い」

「まあ、気持ち悪いですよね」


メルヘンは似合わない。

ファンタジーも似合わない。

人生は素晴らしい、が、人生とは現実だ。


「これ、どうすんの」

「見ないで返却も癪ですけどね」


レジで誤って誰かのものと入れ替わったらしいレンタルDVDに、溜め息が出て煙が揺れた。


「『Dカップハイスクール』って」

「『にゃんにゃん言わせて』って」

「まんまじゃねえかよ」


登場する方々について、ある意味誰かの妖精なんだろうなとか、そんなことを考えてから。

あたしはやっぱり、妖精より魔法使いの方がいいよと言ってみた。


「穴が塞がらない魔法とか使えるんですかね」

「カビが生えない魔法とかね」


さて、このDVDをどうしようか。


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