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第7章:実需という名の分厚い盾

作者:三澤賢司
最新エピソード掲載日:2026/10/08
霞が関の特別審議室。ホワイトボードに描き殴られたデリバティブの数式と金利のシーソー図の横で、若手官僚は住宅ローンの統計資料を閉じ、主席主計官に向き直る。国債先物オプションや金利の修羅場が持つスリルと危険性を認めつつも、国家のマクロ経済サーモスタットには投機的な荒波だけに頼らない「実需のキャッシュフロー」が不可欠であると説く。
オプションやCDSなどのデリバティブがゼロサムゲームの危うい虚構のエネルギーであるのに対し、人々の住まいを裏付けとした不動産ローンは、どんな大嵐が吹こうとも毎月確実に返済金が振り込まれる「絶対になくならない分厚い盾」である。民間が抱えきれない超長期のリスクに対し、住宅金融支援機構(JHF)の機能を拡張して全国の不動産キャッシュフローと国家の財政プールを直結させるのだ。
金融工学という機動的なステアリングと、実需キャッシュという強固なエンジンを政府系金融機関の内部で一つに統合すること――それこそが、国家の財政と市場のダイナミズムを融合させる「Asset-Flow Cycle」の真髄であった。ディープな夜の闇のなかで、統合型循環サイクルの全貌がいよいよ核心の制度設計へと動き出す。
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