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末っ子エミリアーナ  作者: ぱんどーる


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8

『エミリアーナ、これも食べてみろ』

そう言って、スプーンですくってあーんされる。

『あむ、んっ! おいしい!』

『ははっ、だろ? お前の母親も大好物だった。顔だけじゃなく、味覚も同じだな』


お母様もこのプリンが好きだったと聞いて、更にプリンが好きになったし、本当においしくて顔がニマニマしてしまう。


外交官のローレンス伯父様と自国アーブンから出て、イーブンからエーブンに渡り、今はカーブンに滞在している。


ローレンス伯父様は、滞在しているその国の言葉しか話さない。

分からない言葉があっても、教えてもらえず、そのまま話し続ける。ホテルに帰ってから、悔しくて辞書を引いたり、アーブン語がわかるホテルの従業員の手があいてそうな時に、ペコリと頭を下げて教えてもらったりしながら、昼間の伯父様が何を言っていたかを調べる日々を過ごしていた。不思議なことに、こちらが教えてもらう立場なのに、ありがとうと伝えると、なぜか飴やチョコをもらい、ニコニコしながら頭をなでられる日々も続いた。

ここを出る時に、絶対になにかお礼をしたい。


私がこんなに必死になる原因もローレンス伯父様。

だって伯父様は、何でもない顔をして、各国の王族や要人達に、お母様の娘だと言って私を会わせるのだ。


お母様はとても素晴らしい人だったとお祖父様から聞いていたし、天国のお母様が恥ずかしい思いをしないように対応したいし、ローレンス伯父様もガッカリさせたくないしで、とにかく日々必死だった。


そんな日々の中でよく顔を合わせる外交官に、ローレンス伯父様は私のお母様の事が大好きだったと聞いた。気持ちを伝えたが、お母様はお父様の手をとったそうだ。今でも君のお母様のことが忘れられないから、独身のままかもしれないねと言われてびっくりした。


え・・・。

お母様・・・。

皆、お母様を褒めるけど・・・。

男の人を見る目はなかった・・・??


私なら間違いなくローレンス伯父様の手をとりますが?

私がおかしいわけじゃなくて、世間の皆様もそうだと思いますが???


そんな話を聞いた夜、どうしても聞いておきたくてローレンス伯父様にお母様の事を聞いてみた。


「俺の方が先にジェシカに出会って、惚れたんだけどな・・・」


伯父様は少し、下を向いてから


「悔しいが、感情が出せなかったジェシカを泣かせたのも、笑わせたのも、怒らせたのも、幸せにしたのも全部アイツだ。俺も必死に頑張ったが・・・完敗だったな」


お母様はあんなお父様のどこを好きになったの?


「・・・お母様、見る目なさすぎ」

「ぶはっ。 だよな?」

「うん」


伯父様に抱き上げられる。


「お前は失敗するなよ?」


真剣な顔で言われる。


「・・・うん。自信はないけど頑張る」

「はは。 俺とロデリックがいるし、エルウィンもいる。ちゃんと見極めてやる。まあ、ガキだからまだまだ先の話だろうがな」

「っていうか、私は結婚しないよ?」

「周りがほっとかないぞ」

「そんなことはないと思うけどな・・・」


俺に対して何を言ってるんだコイツ?みたいな顔をしているエミリアーナだが、すでにイーブンの王子に気に入られ、エーブンの外交官からは息子と婚約させたいと言われ、このカーブンでは王女に気に入られてる。更に俺の兄の長男、長女とも関係は良好で仲良くやっている。今でこの状態だ。今後はもっと言い寄る奴が出てくる可能性が高いのに、まったく呑気な奴だ。


まっ、簡単には渡さんが。


それにしてもエーメリーとは大違いだ。


アイツは言葉が通じない事に、顔を真っ赤にして怒り、紹介した相手が格上だと知ると媚を売り、格下だと知ると見下す。

あの2人の娘なのは揺るぎない事実なのに、疑問に感じる時も多々ある。

父上にあれだけ言われたのに努力をしない。既に報告は上がっていると思うが、早めに見切った方がいいかもな。


エイドリアンは必死に努力をしているが、アイツの腹の中は怒りで埋めつくされている感じだ。なぜ王族の血が流れているのに子爵位なんだ。同じように王族の血が流れている自国の従兄弟や他国の王子達と、なぜ扱いが、なぜ身分が違うんだと、いまだに納得してくれない。こっちがいくら説明しても本能が理解したくないと拒むから、理解できないままなのだろう。

本人は腹の中をうまく隠しているつもりだろうが、皆にバレてるからな。


それでもちゃんと努力しているから見守っているが、腹の中の怒りの爆弾が、いつか爆発してしまうのではないかと心配なところだ。


エルウィンに関しては、上を目指してる訳ではなく、全てがエミリアーナの為だからな。完全なシスコンだ。

このシスコンと、結婚はしないと言う末っ子の成長が、驚くほどに早い。


さすがに王位はムリだと判断したのか、俺の公爵家を継ぎたいと言いだしたエイドリアンと、いまだに王妃になれると思っているエーメリー。弟妹の競争相手にまったくなっていないほど差が広がっている状態だが、兄姉の望むモノは相変わらず高いまま変わらないのだから頭が痛い。


そんな事を考えていると、俺の膝の上いたエミリアーナはウトウトと頭が揺れはじめた。


ははっ、可愛いな。起こさないよう気をつけながら寝室に運び、ベッドにおろし頭をなでる。


なあ、ジェシカ

お前の容姿にそっくりな末っ子は、誘拐され、ひどい目にあったが、お前と違って表情も感情も無くさず、己の父を選んだお前のことを見る目がないと言ったぞ。


俺を選んでくれていたら・・・ってのはナシだな。

とにかく、こんなにも可愛い姪っ子を残してくれてありがとう。ちゃんと成長を見届けるから心配しないでくれよな。








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