表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
末っ子エミリアーナ  作者: ぱんどーる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/25

3

翌日、子供達4人を父の所へ連れて行く事にした。


馬車の中で、1人浮かれて言葉を発してるのは長女のエーメリーだけ。そして誰もエーメリーの言葉に反応しない。長男エイドリアンは、下の2人を気遣うこともなく、進行方向の窓際をすぐ陣取った。足を組み、頬杖をつきながら外の景色を眺め、少しニヤついていて怪しい。エルウィンは妹のエミリアーナに乗車の際は手を伸ばし気を配っていたし、今もしっかりとエミリアーナと手を繋ぎ、2人とも静かにしている。


どうしてこんな不穏な状態になってしまったのだろうか。


昨日の提案を聞いた僕の兄は、先に父の屋敷に向かっていて説明をしてくれている予定だ。


そして僕達が不在の間、屋敷の使用人達の聞き取りをしてくれているのは妻の兄ロデリックだ。彼は、公平な目を持ち、更に真実を見抜く力があり、かつ相手が誰であろうと容赦をしない人間だ。1日あれば、屋敷の現状は曝け出されると思う。


屋敷に到着すると、父と兄が出迎えてくれた。


長男が我先に馬車から飛び降り、続いて長女が降りようとして、父と兄の後ろに控えていた使用人に向かって、手伝いなさい!と声を張り上げている。


これだけで、まだ顔が見えない父と兄がどんな表情をしているか想像ができる。僕も流石に恥ずかしくなってきた。


次に僕が降り、エルウィンとエミリアーナの手助けをする。2人とも僕に笑顔を見せてくれるわけではないが、きちんと「ありがとうございます」と感謝してくれた。


長男と長女はこちらを気にする事もなく、父と兄に駆け寄って早速甘えていた。挨拶くらいはちゃんとしてくれたよな?不安だ。


エルウィンがエミリアーナの手を引き、てくてくと歩く後ろ姿を見ながら僕達も父と兄のもとへ向かう。


「お祖父様、伯父様、お久しぶりです。今日はご招待していただきありがとうございます」

「お祖父様、伯父様、会えてうれしいです」


そう言って、エルウィンとエミリアーナは礼をとった。


父は腕に絡みついていたエーメリーを優しく剥がしてから、2人のもとへ歩いて行き、膝をついて2人をまとめて抱きしめた。


「久しぶりだな。なかなか顔を見せないから心配したぞ。 2人ともきちんと挨拶できて偉いぞ。エルウィンはちゃんと妹を気遣えて立派な兄だな。エミリアーナも体の方はもう大丈夫か?」


エルウィンがはにかみながら「ありがとうございます」と返事をして、

エミリアーナは「はい」と笑顔で返事をした。


このやりとりを見ていたエイドリアンとエーメリーは、声は出さなかったが、表情を隠すことなく、キッとエルウィンとエミリアーナを睨み、面白くなさそうな顔をしていた。


僕の兄が少しギョッとした顔をして、エイドリアンとエーメリーを見ているが、2人は全く気付いていない。


あーあ、今までは兄の前では猫かぶりしてたのにねぇ。その顔で台無しだよ、2人とも・・・。


まー、昨日の執務室での態度と発言で君達の本性は兄に全てバレてしまったけどね。一部始終を見られていたからね・・・。


僕だって今の2人の形相に内心とても驚いているけどね。


その後屋敷に入り、昼食を皆で和やかに食べてから、とても長い長い話し合いが始まり、そして今終わった。


はぁ・・・。

大人の僕でも疲労困憊のくたくたでふにゃふにゃだ。そう考えると子供達はよく頑張ったと言えるな。


ま、自分の将来に関わる事だからそうなるか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ