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末っ子エミリアーナ  作者: ぱんどーる


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学園生活も残り1週間と終わりが近づいてきた。


マリアンナ様はエル兄様が卒業したら、あっさりとカーブンに帰られた。えっ!? 私の事も好きだったんじゃないの? クラスの皆様の前で、私への愛も叫びましたよね? なら、せめて一緒に卒業しましょうよぉ!


・・・なんてグチグチ言っていた時もあった。


エル兄様は卒業後、お父様の商会の手伝いをしながら子爵位を継ぐ予定でいたが、国王陛下を始めとした権力者の方々から、「おいおい、待て待て」とストップがかかった。


そして話し合いの結果、ローレンス伯父様の後を継ぎ、外交官になることが決まった。たぶんその肩書きをもってマリアンナ様と婚約するのだろうと私は思っている。その準備でマリアンナ様も帰国したのだろう。だって普通に商会で働き始めようとするエル兄様に対して、権力者の方々の慌て方が凄かったから。まぁ、お相手は王女殿下だし、こちらアーブンで生活することになるならローレンス伯父様の爵位も継いで公爵になるのかな?なんて私は予想している。


エル兄様はお父様の商会にも顔を出しながら、ローレンス伯父様と諸外国を渡り歩き、とても忙しくしているので、この1年はほとんど会えていないし、手紙すら届かない。


おーい、シスコーン!!

ブラコンがシスコン不足で泣いてるぞ? 悲しんでるぞ?

手紙すら書けない状況なのかぁ?


なんて屋敷で1人でグチグチ言ってたら


「これを機にファザコンなんてどう?」


恥ずかしそうに言ってきたお父様がちょっと気持ち悪すぎて、はしたないがダッシュで自分の部屋に逃げ込んだ。



「エミリアーナお嬢様、旦那様はまだめそめそと泣いておられますよ。ああなられると面倒なんで、嘘でもあの場では肯定してさしあげればよろしかったのに。あといつものようにトレバー家のお祖父様からお届き物がありましたのでこちらに置いておきますね」


嘘でも肯定してしまったら、その後がどうなるか想像できるから、嘘はつけないのよ! って言い返そうとしたら、すでにメイドはいなかった。

ま、我が家は少数精鋭なので、皆やる事が多く忙しい。

うむ、仕方あるまい。


そんなことよりもと、届いた荷物を開ける。


「あはっ、やっぱりお祖父様のセンスは最高だわ!」


学園に入学してからハマっているマスコット人形作り。これはお祖父様とお話をしている時にアイデアが浮かんだ。


その時は高価な物を買うお金がない中、いつもお世話になりっぱなしのエル兄様の誕生日プレゼントで悩んでいた。


そんな時にお祖父様が「僕との合作にする?」と言ってきた。内容を聞いてみると、お祖父様が描いたエル兄様の肖像画に私が色を塗る、という話だった。

ふむふむ、なるほどぉ、と想像してみた正直な私の感想は、はてさて16歳になる青年が、リアルな自分の肖像画(妹が塗った色付き)を貰って喜ぶだろうか?


マリアンナ様なら大喜びしそうだけど。


そこから始まって色々と話をしたが、いい案が浮かばずにいた時、お祖父様が、


「妹がこんなに悩んでいるんだ。おい、お前が良い案を出せ」と自分が描いた絵に向かって言い始めた。


お祖父様の手元を見ると、エル兄様を2頭身にした絵を描いていた。エル兄様によく似ているし、その上とても可愛い。

肖像画よりも気に入ったので、可愛い2頭身のエル兄様をハンカチに刺繍しようとした。だが、いざハンカチに刺繍をしてみると、私が下手なのか2頭身エル兄様の可愛さが表現できなかった。


お祖父様にも笑われて、

「エミリアーナが下手なんじゃない。ハンカチの隅では小さすぎるね。ハンカチの全面に刺繍をするか、テーブルクロスくらいの隅じゃないとムリかもね」


なんて話をしていた時に、たまたまアリア叔母様が実家であるトレバー家に用事があり帰ってきた。私達の話を聞いたアリア叔母様は、

「人形にしてみたら? たぶん絵よりももっと可愛くなると思うわ」


アドバイスに従って、試しに作ってみたら、本当にキュートなエル兄様が出来上がった。


当日エル兄様にプレゼントしたら、

「男がマスコット人形をぶら下げて歩くのか?」


少し微妙な顔をされたが、そこはさすがのシスコン。ちゃんとバックにつけて学園に通ってくれた。


結果として、マスコット人形をぶら下げていたエル兄様は広告塔になった。エル兄様を目撃した人達から口コミでマスコットの話が広まった。私にたくさんの依頼がくるようになると、お父様とエル兄様は商機を見逃さず、商会で売り出すようになった。


特にアンジェ様とイライアス様の、婚約記念カップルマスコット人形は爆売れ。私だけではとても間に合わず、アリア叔母のお店に依頼してからは、大量生産が可能になった。

イーブンでも大好評だった。


そして今日届いた、お祖父様が描いた2頭身キャラになった方は、先日発表されたアレクシス様の婚約者のシャーリーン様。


「姉上と同じではつまらないからな。赤子位の大きさにして作ってくれ」


おめでたい発表があり、更に人形作りも忙しくなって、マリアンナ様が帰国してしまっても、エル兄様が妹を忘れても、学園生活を乗り越えられた。


私の考えだが、権力者の方々がノリノリでも、エル兄様がマリアンナ様のアプローチをかわしているのは、我が家が財政的に余裕がないからでは?と思うのだ。


ふっふっふー、

だが安心したまえ。エル兄様の不安は私が取り除いてみせよう。エル兄様が私を忘れている間に、兄想いの私がガッポガッポ稼いでおくから。私のことは忘れたまま外交官として存分に手腕を振るいたまえ。


はっはっはー、

ブラコンを甘くみるなよ?

皆が驚くような盛大な結婚式を開いてやろうではないか。



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