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末っ子エミリアーナ  作者: ぱんどーる


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長兄が感情を爆発させ、夜会を騒がせてしまった。


アンジェ様とイライアス様が自分達に注目を集めさせている間に、別室に移動した。機転を利かせてくれた行動に大感謝。


父や伯父様達も合流し、事情を説明して、マリアンナ様に皆で謝罪した。


ご本人は、

「大丈夫ですわ。私の前でエルウィンとエミリアーナをバカにした言葉にイラッとしてしまって、私も意地悪な発言をしましたから。ふふ。

それよりもエルウィン、この件で迷惑かけたと責任を感じて私の想いに応えるような野暮なマネはしないでくださいまし。皆様も一緒です。よろしくて?

さぁ、私の件はこれでおしまいにして、他の対応にあたってくださいまし」


「ありがとうございます」と大人達は頭を下げ、それぞれ動き出した。


格好いいわぁ、マリアンナ様。私なら惚れてしまうわぁ。



あれから長兄は貴族牢に入れられた。

しきりにナターシャ様のことを気にしていたらしい。もちろん婚約は解消された。それからナターシャ様にはとても残念だが、ドレスから出ていた肌にはガラスによる切り傷の跡が残ってしまった。顔や首、手など、貴族令嬢としては致命的な傷を負ってしまった。


我が家の男性陣の見舞いは断られ、私が1人で伺う事も断られた。アンジェ様からの申し入れに対しては、伯爵家も断ることができず、アンジェ様に声をかけられた私も同席した。


ナターシャ様のお母様はナターシャ様をお産みになった後、次のお子を望めない体になってしまった。それを知った親戚が自分の子供達を唆したおかげで、ナターシャ様は幼少期に伯爵家当主を狙う従兄弟達にイジメを受けていた。ナターシャ様がご両親に相談し、隠れて現場を確認したご両親は、親戚に制裁を下し、周辺は静かになった。その後は男性が怖くなってしまい、屋敷から出ることなく静かに暮らしていたが、ふとこのままではダメだと思い、両親に当主教育を受けたいと訴え、励むようになった。


男性不信は改善されないままだったので、学園に通う事は怖かったが、入学式で長兄と出会った。ナターシャ様の話を文句を言わず、最後まで聞いてくれてから、短い言葉だけどきちんと返事をくれる。笑うことも少なかったが、怒ることもない。ナターシャ様にとってはそんな長兄がとても素敵にみえてしまったらしい。


だが、今回の件を伯爵家は当然許すはずはなく、婚約解消となってしまった。ナターシャ様はそれでもあの長兄が良いらしいが、騒ぎの大きさから自分の意見は通らないと分かっているので何も言わず、当主の判断に任せている状況。


ナターシャ様は我が家に対して文句もなく、貴族として致命的なケガを負ったことを嘆くわけでもなく、ただ長兄との婚約がなくなってしまった事を悲しんでいる。


長兄とは6歳から15歳まで1度も顔を合わせなかったのに、どうしてあの時私達に近寄ってきたのだろう。どうしてあの場で感情を爆発させてしまったのだろう。

こんなに長兄を想ってくれる人がいたのに、ケガをしたナターシャ様を見て、長兄本人もあんなに動揺してたのに、どうして・・・。


とにかくこちらからは謝罪をするしかった。

ナターシャ様は、これから先お父様からエイドリアン様の状況は教えてもらえないだろうから、たまに教えて欲しいと言われ、手紙で報告することを約束して見舞いは終了した。


アンジェ様も何とも言えない顔をしていた。


「本当にバカな男ね・・・」


本当にその通りだ。




そして現実はとても非情だ・・・。




シャーン伯爵家から高額な慰謝料請求がきた。


借金返済を終え、エル兄様、私と続けて学園に入学した費用も3年分まとめて払い、これから貴族らしく生きて行けるとお父様とエル兄様と笑いあったところで、また借金返済生活が始まることになった。


学園では、長兄が私の事をキズモノと叫んでいたとこで、周囲から人がいなくなったがそれでも何も気にならない。マリアンナ様も何も気にすることなく、共に過ごしていたが、周囲が私から離そうと騒がしかった。


「もーう、私はエルウィンとエミリアーナが好きだからこちらに留学しに来たの!放っておいてちょうだい!」


マリアンナ様は、安易な理由をご自身でバラしてしまった。

しかも私の名前を付け足した! ずるい!


エル兄様は皆様にシスコンがバレてしまったが、こちらも何も気にすることはなく、「たった1人の妹を大切に思って何が悪い?」と堂々としているらしい。


長兄の事件があった以降も変わらず、昼食を共にしている席で、アレクシス様が笑いながら教えてくれた。


ふふ、私もブラコンだと皆の前で叫びたい気分だわ!



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