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末っ子エミリアーナ  作者: ぱんどーる


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13

我が国のアンジェリア王女殿下と、イーブンの第2王子殿下だったイライアス王太子殿下が婚約した。


2人に揃って言われたことは、私がキューピットらしい。

私にその自覚はありませんが?


アンジェリア王女殿下とは私が6歳の時に、お祖父様の屋敷で初めてお会いして以来、親しくさせていただいている。


「弟2人だったから、妹が欲しかったのよ!」


歳は私よりも5つ上で、明るく、元気で、好奇心旺盛な方。


「でもエミリアーナの姉はダメね。楽しく過ごそうって気持ちがひとつも感じられないのよ。顔合わせのお茶会はとても苦痛な時間だったし、なるべくならもう会いたくないわ」


うん、わかる。

1度で姉を理解してしまうなんてさすがだわ。


それからはアレクシス王太子殿下と弟のアーノルド王子殿下、エル兄様、メイも一緒に、お祖父様の屋敷で皆でマジメに勉強もしたし、遊びもいたずらも全力でやった。

いたずらの指揮を率先してとっていたのは、アンジェリア王女殿下だった。


お祖父様にドッキリ作戦が成功した時は、皆でハイタッチをして喜んだが、怒ったお祖父様に全員正座をさせられ、「ばっかもーん」と特大の雷が落ち、長い説教をされたこともあった。


アンジェリア王女殿下とアリア叔母様のお店に行くことになった時は、


「前からこういうのが着てみたいけど、王宮だと人が多いから言いづらかったの。 私の一言でその商会の今後も決まってしまうこともあるかもしれない。実際にお母様の発言で勢いをなくした商会もあったのよ」


と、ご自分でスケッチしたデザインを持って店に行った。


「ふふ。斬新なデザインばかりだけど、たとえばここをこうすればパーティーでも使えるし、ここの色をこっちに使ってみたら雰囲気が変わると思わない?」


「素敵!!」


2人は意気投合し、アイデアが溢れ、話が止まらなかった。


「妹ができて嬉しかったけど、姉も欲しかったのよ!」


「ふふ。私も末っ子だったから、2人も妹ができてうれしいわ! 夜更かしだけはダメよ?」


その後、2人は姉妹のような関係になって美容についても意気投合していた。


私がローレンス伯父様と他国に行く時、アンジェ様はお父様の国王陛下に私も一緒に行きたいと話をしたが、警備の問題やその他諸々の事情で許可はおりなかった。


「お許しがでなかったから、残念だけど諦めるわ。エミリアーナ、毎日手紙を書いてくれる?出さなくてもいいの。あなたが帰ってきてから受け取って、古い順に読むつもりだから。

あっ! 日記でもいいわね! 私が日記帳を用意するわ。それを一緒に持って行ってちょうだい」


出発前に、日記を手渡され、

「いい?忘れずに書くのよ?楽しみに待ってるわ。でも夜更かしはダメよ?」


アリア叔母様の真似をするアンジェ様が面白かった。


イーブンで伯父様に王宮を案内してもらった時に、王子殿下達と会い挨拶をした。当時のお二人は学園入学前で、一部の高位貴族との関わりはあるが、低位貴族の関わりは全くなかった。子爵令嬢の私は珍しかったらしく、伯父様を通してお茶会に誘われた。


第1王子殿下はしぶしぶ席について、そのまま最後までひと言も話さなかった。第2王子殿下のイライアス様は、アンジェ様と同じで好奇心旺盛な方でたくさん質問された。

緊張したお茶会になったが、なんとか乗り越えた。

姉と同じにおいがした第1王子殿下の名前は覚えられなかったし、覚えるつもりもなかった。


その後、なぜか定期的に手紙が届き、イーブンに行く度に第2王子殿下イライアス様に呼び出されお茶をすることになった。2回目以降、第1王子殿下は不在だったが、前回があからさまな態度だったので、いなくてホッとした。


7歳から続いてるお茶会は、回数を重ねる度に互いに遠慮というものがなくなり、

「エミリアーナ、お前、子爵令嬢といっても王子達が従兄弟だったのかよ。なんか騙された気分」


頬杖をつきながら、少しすねた顔をしてクッキーを掴み、私の口に放りこむイライアス様。


「あむ・・・もぐもぐ。おいしいっ。 騙してないので変な気分にならないでください。ベリーのも食べたいです」


なぜかいつも、お菓子の皿はイライアス様の手もとにあり、私が手を伸ばしても届かない位置に置かれている。


「ははっ。本当にこのベリーが好きだな。ほら」


「あむ。もぐもぐ。ん~おいしいっ。大好き」


「・・・だいすき」


「はい、1番好きです」


「・・・いちばん・・すき」


「?」


イライアス様も制限があり、気軽に他国に行けない方なので、私の国の話や、他の国を巡っての感想をいつも興味深く聞いていた。

たまに変になるけど。



私の日記を読んだアンジェ様が


「・・・惚れられてるわ。大人達に相談しないといけないわ」


アンジェ様がぶつぶつと何か言っていたが、聞き取れず「え?」と聞いても「何でもないわ」と返された。



イーブンに行く時に

「第2王子殿下に会ったら必ず伝えてちょうだい。話し合いの結果、国から出す事はありませんとね」


「?」


「そのまま伝えてくれればいいわ。どんな反応したか日記によろしくね」



イライアス様に伝えると、何ともいえない顔をして「そうか」と返事をした後、考え込み、しばらく黙っていたが、クッキーを私の口に運ぶ手が止まることはなかった。


その後、両者から伝言を頼まれることはなく月日が流れたが、イーブンの学園の卒業式でハプニングがあった。


なんと! 第1王子殿下が、卒業生、在学生、保護者達がいる中で、婚約者に婚約破棄を宣言した。しかも腕には子爵令嬢をぶらさげてである。その子爵令嬢は第1王子殿下の婚約者にいじめられ、辛い思いをしたと涙を流し叫んだそうだ。


調査の結果、婚約者にはアリバイがあり、子爵令嬢の言葉は偽りだと判明。大勢の前で宣言をしてしまった第1王子殿下の言葉を取り消すことはできず、王家側の有責で婚約解消となり、第1王子殿下は無期限謹慎処分となった。


そこで繰り上がったのがイライアス様。


第1王子殿下の婚約者だったご令嬢と婚約をするのが、色々とムダにならず良いのだろうが、イライアス様は待ったをかけた。

兄が失脚し、残るは自分しかいない為、失敗は許されない。兄の婚約者と何度か茶を飲むことはあったが、相性が良いとは思えない。自分が相性が良いと思える相手と婚約したいと、アンジェ様の名を挙げた。


イーブンでは、アーブンの第1王女殿下と繋がりがあったのか?と、ちょっとした騒ぎになったらしい。

我が国アーブンでも交流がないと思われていた方から釣書が届き、イーブンの騒動も知ることになって少しザワついたが、アンジェ様は驚いた様子もイヤな素振りもみせず、「私、嫁ぎますわ」と皆の前で言い、スムーズに婚約が整った。


そうしてアンジェ様とイライアス様の婚約発表をかねた夜会が両国で開かれることになった。


我が国で開かれた夜会で長兄エイドリアンと対面した。

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