あの温泉を目指して
2023年12月03日 (日) 19:34の「AIイラストいただきました」の割烹で投稿したストーリーを少し改稿して再掲しております。
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本好きの妖精である香那は、ひだまりのねこ様のファンで、今回はアップされた彼女の割烹を読んでいました。
すると、そこでは雪山の中にある温泉に行ってきたと素敵な写真と共に報告されていました。
香那は、その温泉に行ってみたいと強く思い、温泉に行こうと決意をしました。
しかし、温泉に行こうと思えば、準備が必要です。
そのため、友達であるサッちゃんとみーちゃん、ねこまろ達に、予めしておいたら良いことは何があるのか聞いてみることにしました。
すると次のような返事が返ってきました。
サッちゃん「寒いからいっちゃダメ」
みーちゃん「寒い日は、コタツにいるのが一番にゃー」
ねこまろ「行方向音痴にゃのに無謀だにゃー」
くろねこまろ「寒がりにゃのに行けるわけないにゃー」
なんと、アドバイスどころか、みんなから忠告されてしまったのです。
しかし、どうしても温泉に行きたかった香那は、みんなに「絶対に温泉に入って、お土産話を持って帰るから待ってなさいよ」と言い残して、まともな準備もしないまま、温泉に向かって旅をすることになりました。
最初は意気込んで温泉に向かっておりましたし、また新たな世界へ飛び込むのは大変新鮮でワクワクしておりました。
しかし、どこに温泉があるのかは分からないため、1日経ったところで、早くも途方に暮れてしまいました。
行きたいと言う想いだけでは、行くことはやっぱり無理なのかなと悲しくなったその時、上から澱んだ空とは正反対のとても澄んだ美しい声が聞こえたのです。
「可愛らしい妖精さん。一体こんなところでどうしたの?」
上を見上げると、大きな帽子を被り、箒に乗った美女がおりました。
「私は妖精の香那です。実は、好きな方が行った温泉に私も行きたくて目指していたのですが、行けなくて困っていたのです」
美女が、温泉が載っている写真を見せてと言ったので、香那はその写真を彼女に見せました。
「あら。これは、ひだにゃんが行った温泉ね」
「ひだまりのねこ様のことをご存じなのですか?」
「ええ。とても仲の良い友達なの」
「ひだまりのねこ様と友達なんて羨ましい!」
まさか、ひだまりのねこ様と友人である方とこんなところで出くわすなんて夢でも見ているのではないかと思いましたが、寒さによりガタガタと体を震わせていることが現実だと突きつけます。
そのため、香那は彼女のことを羨望の目で見つめてしまいました。
そんな彼女は、香那の様子に微笑んでおります。
「本当に彼女のことが好きなのね」
「勿論です。だからこそ、その温泉に行きたいのです」
「その意気込み、ちゃんと聞き入れたわ。ならば私、魔女・香月が香那ちゃんを温泉に行けるよう手伝ってあげましょう」
「本当ですか? 香月魔女様、ありがとうございます」
香那は、彼女の姿から魔女であることを疑わずに、そのまま90度しっかり腰を曲げてお礼を言いました。
その様子に彼女は素直な妖精さんねと微笑みます。
「香那ちゃん、貴方は一体どんな姿に変身したい? 妖精は寒いの苦手だから、寒さに強い動物に変わったほうが良いと思うのよね」
「ならオオカミが良いです。ネコになるのは恐れ多いので、寒さに強いオオカミになりたいです。あと、髪の色は青色にしてくださると嬉しいです。ピンクも好きなのですが、折角のこんな素敵な機会をいただけるのであれば、イメチェンしたいので。あと目も青色でお願いします」
「なるほど。可愛らしい要望ね。ならば叶えてあげましょう。ビビディ・バビディ・ブー」
香月様がお馴染みの呪文を唱えると、香那が要望通りの青いロングストレート、青い目をしたオオカミに変身していました。
それだけでなく、身に纏っていたのは、綺麗な青色の中華風ワンピースと素敵な衣装でテンションが上がります。
また、先ほどは少し寒気を感じていたのに、オオカミの体に変身したことにより今は寒さを感じることはありません。
香那は、嬉しくなって外に出てみました。
やはり、外を出ても寒さを感じず、むしろ気持ち良いぐらいです。
「こらこら、勝手に動かないの。まだ準備することがあるのよ。このまま温泉に向かったら間違いなく風邪をひくわ」
香那を追いかけてきた香月様は、もう一度杖を一振りして、呪文を唱えました。
すると、大きな帽子に、分厚いコート、そして箒を身に着けていました。
ただでさえ、モフモフの毛で気持ちよくて温かいのに、さらなる防寒着でその気持ちよさと温かさはアップしました。
「案内は、その蝶型の機械がしてくれるから大丈夫よ。自分1人でしっかりと楽しんできなさいな」
「香月魔女様、ここまで親切にしてくださり本当にありがとうございます。精一杯楽しんで参ります」
その言葉を聞いた香月様は、じゃあねと言って、そのまま去っていきました。
香那は、これから案内に従って温泉に向かうことになったのです。
温泉に向かっているうちに、雪の量は多くなり、風も強くなっていました。
確かにあのままでは、香月様の言う通り、風邪をひいていたことでしょう。
この帽子とコートを着ていて良かったと思いました。
また、箒に乗るのは初めてなので、少し不安でしたが、魔法のおかげなのか全然危険なこともなく、スイスイと移動することが出来ました。
長い間移動していると日も暮れて、また疲れも溜まってきたので、近くにあった旅館に泊まって休憩することにしました。
外は雪国で、自分が普段住んでいるところには違って圧倒されます。
本当に今温泉に向かっているのだと実感したのでした。
次の日。
香那は、再び温泉へと移動していきます。
箒に乗って数時間経った頃、前に湯気が見えてきました。
あれは間違いなく温泉です。
そこにそのまま向かうと、とても大きな温泉がありました。
ようやくここまで来たのねと、自然とテンションが上がっていきます。
香那は、すぐさまに準備をして、いざ温泉に入りました。
「あ~、気持ちいいガウ」
思わずオオカミ語が出てしまいます。
いつもの入浴とは次元が違って、格別でした。
気持ち良くてついつい長湯をしてしまいます。
ただこのままだとのぼせてしまいそうなので、本当に名残り惜しいですが、そろそろ出なければいけないなと温泉から出ます。
そしてありがとうと言う言葉を残して、その温泉とはおさらばしました。
また数時間移動して、日が暮れたので、その日は違う旅館に泊まって、思いにふけておりました。
さらに次の日、また数時間移動して香月様に会った場所まで戻ってきました。
すると、突如目の前に香月様が香那の前に現れて声をかけてきたのです。
「香那ちゃん、楽しかった?」
「はい。もう最高でした」
香月様はその言葉に相槌を打ち、笑みを浮かべます。
そして彼女は魔法を解除し、香那は元の姿に戻りました。
勿論、元の姿も大好きですが、先ほどの姿も好きだったので、もうあの姿は見れないのだと思うと、少し寂しくなってしまいました。
「はい。これ記念にどうぞ。香那ちゃん特製の12月可憐だーよ」
なんと、渡されたのは、温泉に入って楽しんでいるオオカミ姿の香那が載ったカレンダーでした。
どうやら、あの機械は写真の役割も果たしていたようです。
「ただでさえ温泉まで連れて行ってくださったのにも関わらず、さらに素敵なお土産まで……。最高のお土産ありがとうございました」
「香那ちゃんが楽しんでくれて良かったわ」
香月様は、最初の時と同様にじゃあねと手を振って、あっという間に去っていきました。
彼女の姿が見えなくなると、今までのは夢だったのではないかと思いましたが、貰ったカレンダーが今まで現実であったことを示していました。
「ただいまー」
「「「「おかえりー」」」」
みんなが一斉に香那の帰りを迎え入れてくれました。
サッちゃん「大丈夫だった?」
みーちゃん「コタツに入らにゃくて良いのかにゃー?」
ねこまろ「迷子ににゃらかったのかにゃー?」
くろねこまる「寒くにゃかったかにゃー?」
どうやらみんな香那のことを心配してくれたようです。
これはしっかりこれまでのお土産話を聞かせて安心させないと、今までの出来事を語り始めました。
「実はね……」
妖精香那:ひだまりのねこ様
サっちゃんとみーちゃん:アホリアSS様
ねこまろとくろねこまろ:歌川 詩季様
オオカミ香那:四月咲 香月様
を使用させていただきました。