ワイマンVSバーバラ
真夜中の路地裏にて幕を開けたワイマンさんとバーバラさんの対決。二人はかつての仲間同士でありながらも、己の意志を通すために剣戟による火花を散らしていた!
「へぇ、ずいぶんとやるようになったわねワイマン! どうやら私が引退した後も真面目に稽古には励んでいたみたいね!」
「当然だ! こちとらテメエをいつか負かしてやりたいと思って、毎日必死こいて鍛えていたんだ!!」
「ハハハ、私を負かす? そんないつかが本気で来ると思ってるのかい!」
「ああ、思ってるさ……それも今すぐにな!!」
そう力強く願望を口にして剣を振り回しまくるワイマンさん。ただ、その一撃一撃は威力が申し分なくみえても、動きは単調で大振り……なので百戦錬磨のバーバラさんには難なく躱され……いや、違う! あれはワイマンさんが相手の躱す先を予測して攻めてるんだ。その証拠にバーバラさんは徐々に逃げ場を失い、ついには建物の壁を背にする形で追い詰められてしまう!
「どうだ赤鬼? いよいよあとがなくなったぜ?」
こうふてぶてしいセリフを吐き出すワイマンさんだが、彼は何故か追撃を仕掛けないままその場に留まる。
「あら、どうしたの? ここまで追い込んだというのに止めを刺しに来ないのかしら?」
その一方、不利であるバーバラさんは無防備に両腕を広げて攻撃を誘ってくる。
「ちっ、やっぱり油断ならねぇ女だな。この期に及んでも何かを企んでやがるな?」
「企む? ここまで追い込まれてる私が?」
言葉巧みな駆け引きをする彼女。その表情には素人のオレでも理解できるくらいに余裕があることが窺える。よって、そんな彼女を警戒するワイマンさんの次なる一手は?
「こうなったら、やるしかねぇか」
何かを思いついたらしく、腰を低く落として剣を横向きに引いて構えをとった。
「ふ~ん、薙ぎ払う気ね……だけど、そんな見え透いた技で私を倒せるのかしら?」
「倒すさ。そうなるように……鍛えたからな!!」
自身の技を相手に予想されてるのを承知で、ワイマンさんは覚悟を決めて前へ踏み込む!
「うおらぁぁぁぁぁぁーーーー!!」
しかし渾身の一振を放つが、その間合いは明らかに遠い。
「バカね。この期及んで距離を見誤るなんて!」
相手のミスを一笑するバーバラさん。だが、次の瞬間には!?
「くらえぇぇぇーーーー!!」
薙ぎ払いと思っていたはずの剣は不運にもスッぽ抜け、彼女の真横を通り過ぎて背後の壁に突き刺さる!
「なっ、技を失敗した!?」
飛んでいった剣に気を取られた直後、ワイマンさんはその隙を見逃さずに猛烈な体当たりを仕掛かる!
「オラッ! よそ見してる暇はねぇぜ、赤鬼さんよぉ!!」
「くっ、アンタにこんな駆け引きが出来るなんて!」
目の前に迫る圧力に焦りかけるバーバラさん。でも、すぐに冷静さを取り戻しては突き刺さった剣の柄を足場に宙へ跳んで難を逃れ……!?
「かかったな! 空中ではさすがのオメエも自由に身動きが取れねぇはず!!」
ワイマンさんは彼女が罠にかかったと見るや、素早く壁から自分の剣を引き抜いて構え直すと……
「オイ、バーバラ! 昔のよしみで峰打ちにはしてやるが、アバラの二、三本くらいは我慢しろよ!!」
重力に負けて上空から落ちる目標に照準を合わせ、豪快に剣を振るう!?
「甘い! 私が何の考えもなしにただ跳んだとでも!?」
だが凄まじい斬撃が胴体に当たると思いきや、何と彼女は小太刀を正面で交差して受け止めてみせた!
「しゃ、しゃらくせぇ! ならば、力ずくで吹き飛ばしてやるだけだぜ!!」
振るった剣を止めないワイマンさんは、攻撃を受け止められたままの壁に叩きつけようとする……しかし激突寸前、彼女は身を翻して両足で壁を蹴って反撃に出る!
「な、なに!?」
完全に不意を突かれて驚愕するワイマンさんは急いで防御体勢を整えようとするも間に合わず、逆に二本の小太刀によるバツの字斬撃をまともに胸受けてしまった!
「がっ!」
さらにダメージで膝を着いたところ、今度は追い討ちと言わんばかりに顎を蹴り上げられる!!
「ぐべっ!」
血反吐と共に強制的に夜空を見上げるも、怒涛の攻撃は止まらない!
「まだよ。まだ終わらないわ!」
バーバラさんは見上げたままになっている頭を鷲掴みにすると、流れる動きで後頭部を地面に押さえつけて馬乗りになる。そして、勢いのままに二本の小太刀を左右と頸動脈へ突き刺そうとするが!?
「な、何故、攻撃を止める?」
見下ろされてるにも関わらず、止めを刺さない理由を訊くワイマンさん。これに対する彼女の答えは?
「フンッ!」
「ぶきゃ!」
問答無用の強烈な頭突きを顔面へ食らわせることと……
「昔のよしみで、鼻っ柱をへし折るくらいで勘弁してあげるわ」
直前にされてい気遣いへの“皮肉”だった。
「――――さてと……」
その後、度重なるダメージで動けなくなったワイマンさんの様子を確認し終えた彼女は馬乗りの状態からようやく立ち上がると……
「さぁテルミチ。アナタの両親に会いにいくわよ」
清々しい笑顔でオレに手を伸ばすと、再び自分と行動を共にするよう促すのであった。




