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51.寮

お越しくださりありがとうございます。

今日から入寮です。


 おおきな荷物は学園で働く方たちに任せ、私たちは階段を上り始めた。

 名だたる貴族のご子息が一点に集まっているのです。警備だけでなく、学園の造りも襲撃に備えてかなり厳重です。

 敵が襲いにくいように、入口からすぐ階段なんでしょうけど……、きつい。

 バルドは私の荷物も持って、ひょいひょい登って行きます。

「お姫様抱っこしてやろうか?」

「結構よ」

 サラ=アンもかなり余裕そうです。

 リッカ、サラ=アンに抱っこされていないで、自分で歩きなさいよ。

 八つ当たりしながらもどうにか上まで登れた。

「はあ、ちょっと休憩!」

 私は登ってきた場所を見下ろす。

「かなり高いわね。これが俗にいう【ご令嬢の最初の試練】ね」

 甘やかされ、運動もせず過ごしていたご令嬢が、これから親元を離れて暮らしていく。そこには様々なカルチャーショックが待ち構えている。

 この階段がその1つです。

 先ほどバルドがお姫様抱っこのこと言っていたけれど、実際お嬢様の中には、この階段の上り下りを3年間お姫様抱っこしてもらって乗り切った強者もいるとか。

 裏手の学園内の街から入るルートには階段はない代わりに、延々となだらかな坂が続いており、ここも歩きでしか通れない。とことん外部の干渉を排除した造りになっている。

 もう一度学園の外を見渡した。

 見渡す限り平坦に続く畑だけ。

「学園から逃げ出しても、すぐに見つかるわね」

「え、お嬢さま?」

 いけない。前世のどこかで見た、2キロ先まで逃げても丸見えっていうr田舎の学生エピソードをついポロっと言ってしまったわ。

「もちろんそんな事しないわよ。さあ、呼吸も落ち着いたし、行きましょう」

 私たちは学園の中に入って行く。

 石造りの学園はひんやりとしていて、この時期はまだ寒い。今は短期体験入学機関も終わり、授業も社交クラブもない。学園内に歩いている学生は、私達みたいに今日入寮してきた者くらいでしょう。

 それでも、働いている人たちはいるはずなのですが、生徒がいないとどこか静寂な空気が漂っています。

「うっわぁ広いねぇ」

 リッカはすっかり観光気分です。

 まあ、気持ちは分かる。前世でお城ツアー行った時、私も写真撮りまくってずーっとキョロキョロしてたわ。

「あ、あれなにぃ」

「あ、リッカ様お待ちになってください」

 リッカが何かに気を取られ走って行ってしまいました。

 それをサラ=アンが慌てて追いかけようとしています。

「サラ=アン、いいわ放っておいて。先に行きましょう」

「ですが……」

「大丈夫だから。ね」

 私は意味深にウィンクします。リッカは私の魔力を追って来られるので、放っておいても大丈夫でしょう。

 野良猫に間違われて、学園の結界の外に放り出されなければ、ですが。この学園ではペットは禁止されていませんし、確認も無く放り出されることはないでしょう。

「あ、そうですね。参りましょう」

 まだバルドに話してないものね。バルドには機会を見て早めに話した方がいいわね。

「バルド、今度時間作ってくれる? 話したいことがあるの」

「今じゃダメなのか?」

「あまり人がいないところでお願い」

 バルドは肩をすくめて再び歩き始めた。バルドなりの了解の意味だ。

 私もバルドと並んで歩き始めた。


 学園内を横切り、庭を横切る屋根付き渡り廊下を歩いていくと、4棟の3階建ての建物が見えてきた。中庭を囲む形で東西南北に建っている。建物の造りはほぼ同じだけれど、屋根の色がそれぞれ違っていた。

 私の立っている場所に一番近い西棟の建物から時計回りにそれぞれ、「西棟赤 フェニックス」、「北棟緑 サラマンダー」、「東棟青 ドラゴン」、「南棟オレンジ イフリート」と名前が付いている。

 ちなみに学校からの渡り廊下は2つあり、それぞれ西棟、東棟に繋がっている。

 寮分けはしゃべる帽子が行っている……訳はなく、寄付金ならびに派閥に100%忖度した配置だ。

 私達の寮は「北棟 サラマンダー」。

 一番学園から遠い。今学期は王族が2人もいるから、渡り廊下と続きになっている「西棟 フェニックス」には今年入園する第二王子が、「東棟 ドラゴン」には今年3学年になる第一王子が在寮している。

 「南棟 イフリート」には、1年先輩に公爵家の息子さんがいるから、必然的に次に高位貴族のレンとレンの婚約者である私が北棟になった。

 学園には一番遠いけど、街には一番近いもの。お買い物とか楽しそうよね。

 私は街に出かける想像をし、少し楽しくなりながら中庭を横切った。

 あら、噴水の近くに四阿があるのね。天気が良い日にはここでランチも良さそうね。

 中庭には色とりどりの花が咲いており毎日見ても飽きなさそうだ。


 これからの寮での生活に思いをはせながら歩いていると、生垣から抜けた眼前に寮の入り口が見えてきた。

お読みくださりありがとうございます。


今日まで毎日投稿してきたのですが、ストーリーが変わってきたため、以降の手直しが必要となりました。

次回より数日おき不定期の投稿となります。


続けて読んでいただければ嬉しいです。

よろしくお願いいたします。

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セリーヌが生まれる前のサラ=アンの物語を不定期で連載しています。こちらもどうぞ!

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