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50.王立エリュカレーヌ学園

お越しくださりありがとうございます。

やっとこれから学園生活が始まります。

「セリーヌお嬢様、忘れ物はありませんか?」

「大丈夫よ。忘れてもどうせ近いのだし、すぐに帰ってこられるわ」

「そうそう。早く行こうよぉ」

 今日は入寮の日です。

 入園の2週間前から前日までの間に入寮手続きを済ませておかなければなりません。

 期間を長く設けているのは、遠くから来る生徒に配慮して。でも私は王都のタウンハウスからなので、馬車で1時間ほどの距離だ。

 貴族には私みたいに通える距離の子は多いのだけれど、全寮制にしているには訳があった。

 王立学園に通う子供のほとんどは魔力持ちかお金持ち。平民でも同じ。そのため、誘拐に備え、登下校の度に各生徒にそれぞれ何人か護衛を付けなければならない。実際何十年か前に誘拐騒ぎがあったようです。

 各家庭の人件費を抑え、子供の安全面を考慮し、かつ街の渋滞を緩和する、寮生活。なかなかいいことづくめだ。


 外に出ると、すでに馬車の用意がされており、バルドが立っていた。

「おはようバルド」

「おはようございますセリーヌお嬢様」

 今日はバルドも寮へ帰るので、いつもの護衛服ではなく、私服だ。

「バルドの私服姿久しぶりに見るわね」

「ああ。俺も久しぶりに見た」

 軽口を言い合っていると、子供の頃に戻った気分です。今日は護衛ではなく、生徒として一緒に馬車に乗って学園まで向かう。

「がっくえん、がっくえぇん♪」

 リッカは楽しそうに窓に手をかけお尻をフリフリしていた。

「なあ、お前のその猫……」

 バルドの声でリッカがはっとしたように振り向き、慌てて前足で顔を洗っている。

 だからそれがわざとらしいんですってば。

「リッカ、いらっしゃい。この子が何か?」

「いや……いつから飼い始めてるんだ?」

 心なしか引き気味にバルドが聞いてくる。

「領地にいた時に、屋敷に迷い込んできたのよ、あ、リッカ」

 リッカは私の手から離れると、バルドの横に飛び降りた。

「このかわいいボディを愛でたいのぉ? いいよおぉ」

「うわっ」

 リッカが太ももに前足を乗せたとたん、バルドが飛び上がった。

「バルド、猫が苦手なんですの? ワイバーン討伐にも行っているのに?」

「ワイバーンは踏んでも死なないだろう」

「何で踏む前提なんです?」

「いや、触ったら折れてしまいそうで……もういいから、セリーヌ、こいつをどけてくれ」

「僕なら大丈夫なのにぃ。ほら、可愛いよぉ。触ってみなよぉ」

「おい、セリーヌ!」

「ほらリッカ、こっちおいで」

「ちぇぇ」

 リッカ、かなり面白がっているわね。

 それにしても、バルドの意外な弱点を発見しました。


 そうこうしていると、30分ほどで街並みを抜け、田園地帯に入ってきた。のどかな景色をのんびり眺めること30分。突如として外壁が張り巡らされた巨大な岩山のような物が眼前に迫ってきた。

「ふわあぁぁ」

 珍しくリッカが驚きの声を上げている。

 私は見学で訪れたことがあったので驚かないけれど、初めて訪れた時は、間違えて要塞に連れてこられたのかと思いました。

 ここがこれから通う王立エリュカレーヌ学園です。

 15歳から18歳の全生徒が住んでいるのです。当然彼ら彼女らが生活するために、城壁内には学園施設、寮以外にも休日に楽しむ娯楽施設や商業施設などもあり、1つの街を形成している。


 馬車が門の前で止まると、衛兵が近づいてきた。

「許可証はありますか?」

「はい。どうぞ」

 御者が、予め学園から送られた私とバルドの許可証を提示する。

 ちなみにサラ=アンは、私の侍女として許可証に記載済みだ。

 衛兵が近づいてきた。

「失礼します。中をあらためさせていただいてよろしいでしょうか」

「はい。よろしくお願いします」

 バルドが扉を開け、にょっと顔を出した衛兵が許可証の姿絵と私たちをそれぞれ見比べ始めた。

 ここでは入る時と出る時に必ず行為った確認を取る必要がある。

 もし馬車通学だったら、出入りの度に大渋滞ね。

「ありがとうございます。確認が取れました。どうぞお入りください」

 衛兵は礼をすると、きびきびと元の位置に帰って行った。

 

 重い両開きの扉がゆっくりと開き、その中を馬車は進んで行く。

 防壁の中に兵たちの駐屯地や倉庫等もろもろあるらしく、奥行きがあり、中に入るための扉や階段があった。

 出口に近づくと、大量の光が一気に目に飛び込んできて一瞬何も見えなくなった。

 眩しさに目を閉じ、開けると、そこには何もないだだっぴろい円形広場と石垣が見えた。

 殺風景としか言いようがありません。

「何にもないじゃないかぁ。つまんなぁい」

「リッカ、上を見て」

「上ぇ?」

 石垣の両端に階段があります。

 目線で上にたどっていくと……、

「うわぁ」

 リッカは口をあんぐり開けて固まってしまいました。

 岸壁の上には、城と呼んでも差し支えない、石造りの荘厳な学園が鎮座していました。


「さあ、ここが私たちが今日から住む王立エリュカレーヌ学園よ」

お読みくださりありがとうございました。

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セリーヌが生まれる前のサラ=アンの物語を不定期で連載しています。こちらもどうぞ!

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