表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/62

44.希望

お読みくださりありがとうございます。

本日は短めです。

初めてレン視点で書きました。

【レン視点】

 マクライン邸に背を向け、馬車に乗り込んだ。

 馬車はゆっくりと走り出す。

 窓から外に目をやると、マクライン家の者たちが直立不動の姿勢で見送っていた。

 みんなから一歩引いた場所で悲し気にたたずむ、エメラルドグリーンの瞳を持った少女。

 

 君は誰だ。


 皆が、私の従者達さえ、口々に彼女は私の婚約者たという。

 とても仲の良いカップルだったという。

 全く思い出せない。

 そもそも婚約者がいた記憶がない。

 なのに、なぜ私は彼女の屋敷で目覚めたのだろう。

 確か、王立学園に入る前に領地経営を学ぶため、ラジヴィオラ公爵領に戻っていたはずだ。

「うっ!」

 思い出そうとすると、霞がかっらように輪郭がぼやけていき、激しい頭痛に襲われる。

 急いで、お守り代わりに持ち歩いている、心をいやす魔法陣の描かれた魔法石を取り出した。

「ん?」

 巾着袋がちがう。

 普段入れていたのは、ラジヴィオラ家の紋章の入った巾着袋だ。

「これは、なんだ?」

 ひどく不格好な刺繍が施されていた。

 カエルのような……花にも見えるか?

 一つ見知った文様を見つけた。

「魔法陣か」

 よく見ると、心をいやす魔法陣だった。

「ふっ。下手くそだな」

 でも見ていると心が癒される。 

「ん?」

 魔法石が一つしか入っていないはずなのに、複数の感触があった。

 開けてみると、見慣れている魔法石の他に2つ入っていた。

「何だこれは?」

 アクアマリンの宝石を中心に、円周に突起物がある丸い魔法石と、エメラルドのはまった長方形の魔法石。長方形の方は、宝石が光っている。

「見たことのない魔法陣だな」

 あちこち押してみたが反応が無い。

「オベリナント」

 公爵家で使用されている、魔法解除の呪文を唱えてみる。

「なんの反応も無い、か」

 戻ったら調べてみるか。

「はて……」

 確か私は、魔法陣の研究は父上から反対され諦めていたのでは?

 なぜ今自然と魔法陣の研究をしようとしているのだ?

 何かが頭に引っかかる。

 この光るエメラルドもそうだ。

 彼女の瞳もエメラルドのようだった。

 この宝石は彼女の瞳を模したものなのだろうか。

 自信は無かった。

 でも、なんとなく彼女の寂しげな瞳がなかなか瞼の裏から消えなかった。


 レンの一番大切な物「セリーヌ=マクライン」の記憶を代償に命が助かったレン。

 すべての記憶が奪われたかと思えたけれど、実は一握りだけセリーヌの記憶がレンの中に残った。

 契約遂行の際、セリーヌが最後の力を振り絞ってリッカに送った魔力が、全て奪う一歩手前で踏みとどまらせたのだった。

 レンも、セリーヌも、多分契約を行使したリッカさえ知らない事実。

 それは、記憶と呼べるほど大きくはない。いわば、可能性を秘めた「希望」。

 希望が膨らむか、そのまま塵となって消えるか……。

 それはセリーヌとレン二人次第。

 

 そのことに二人はまだ気づいていない。

お越しくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セリーヌが生まれる前のサラ=アンの物語を不定期で連載しています。こちらもどうぞ!

お嬢様の幸せはカルダン家にかかってる -お嬢様のお相手は、乙女ゲームで「選ばれなかった」攻略対象者のようです-

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ