5.乙女ゲーム的ですわ
ゆったりのんびり悪役令嬢(仮)生活やっています。
引き続き、セリーヌ=マクライン(仮)です。
そうこうしているうちに、卵がゆ完食しました。
美味しゅうございました。
あ、食後に緑茶が出てきました。これは嬉しいですね。ヴェルサイユ宮殿のような屋敷で、金髪美女(私)が湯呑で緑茶飲んでいる。
こういう文化ごちゃまぜなところ、すごく落ち着きます。
だって日本人(元)ですから。
そういえばここはなんていう国なんでしょう。
片付けてくれているサラ=アンに聞いてみます。
「ここはドグラダ大陸の南に位置するブレジール王国です」
ここブレジール王国は大小30か国ほどあるドグラダ大陸で4大国の1つだそうです。各大国がそれぞれ炎、水(氷)、風(雷)、土、を司り、4大国の真ん中に位置する大きな湖に浮かぶ島にある光の神殿を守っているとか。
ちなみに、氷魔法は水魔法から派生し、雷魔法は風魔法から派生したそため、同じ神殿で祀られているそうです。
水から氷は分かりますが、風から雷?
台風と雷的な関係でしょうか。理系ではない私には分かりません。
理系は関係ないかしら。
何はともあれ、乙女ゲーム的ですわ。
「もしかして神殿には聖女様いらっしゃいます?」
「実はかれこれ数十年、聖女様がいらっしゃらない状況が続いています」
乙女ゲーム的ですわ!
「もしかして、最近瘴気が溜まっていたりなんて……」
「よくご存じでいらっしゃいますね。はい。最近は瘴気が溜まりやすく、森に魔物なども出現したと聞きました」
乙女ゲーム的ですわー!!
失礼。興奮してしまいましたわ。これは確定ですわね。乙女ゲームが始まる前の世界で。さあ、主人公の乙女は地球からやってくるのか。既に生まれているのか。転生者か。
お会いするのが楽しみです。
私が断罪されないのであれば、ですが。
さて、やることも特にありませんし、天気もいいですから、テラスでのんびり日向ぼっこでもしましょうか。
マクライン家は高台にあるらしく、眼下に海が見えます。我が家のプライベートビーチらしいので、温かくなったら行ってみたいですわね。
温かくなったら。
……寒いですわ。
今は2月中旬。暖かい地域とはいえまだ肌寒く、海風が容赦ないです。
私は観音開きのテラスに続く扉を開けたまま固まり、外に出ることなくそっと閉めました。
すでに室内にお茶の用意がされています。サラ=アン、分かっていましたのね。
なんだか悔しいですわ。でも一瞬で冷えた体にはとてもありがたいです。
窓辺で日向ぼっこをしながらお茶を頂くことにしましょう。
風がないだけで大分暖かく感じます。
さて、折角たっぷりと時間はありますし、これからのことを考えるにしても、色々考察してみましょうか。
まずは我が家の爵位から。
私の父の爵位は伯爵。
伯爵。微妙です。
いえ、爵位が微妙と言うわけでは決してありません。立派な爵位です。
そういう意味ではなく、立ち位置的にどちらにでもなれるという意味で微妙なのです。
平民、男爵、子爵だと乙女の可能性が高く、
侯爵または公爵だと悪役令嬢の可能性が高い。
子爵と侯爵の間。会社ならば係長。ザ・中間。
伯爵家のお嬢様は、乙女にも、悪役令嬢にも、取り巻きにも、モブにすらなれる、いわばバイプレイヤー。
ただ、ここでプラスされるのが家自体のステイタスです。
その点で行けば、我が家は港を持っていて裕福ですし、母経由で王家とも繋がりがあります。
これは、どちらかというと悪役令嬢に近いステータスですね。
そういえば、私自身のお顔も、モブにするには少々良く出来ています。
ですが、やはり伯爵はネームバリューとしては弱いですし、悪役令嬢だとしても、特定の攻略対象者がターゲットになったときのみ現れる、若干弱めの悪役令嬢でしょうか。
そこまで考えていると、侍女が冷めたお茶を淹れ替えてくれました。
ちなみにお茶請けのお菓子はマドレーヌです。
定番です。
ラノベなどでお嬢様がしょっちゅうお茶を飲むシーンがありますが、大抵お菓子はマドレーヌかフィナンシェかマカロンが一度は必ず出てきます(当社比)。
乙女ゲームでしたら、乙女はクッキーかマフィンを焼きます(当社比)。
ちなみに飲み物は紅茶一択です。コーヒーはあっても不味く、主人公がそれを美味しく改良して流行らせるアイテムになるので、見つけたときは要チェックです(当社比)。
対して緑茶は東方の小さな島国からよく茶器とともに輸入されてきます(当社比)。先ほど出していただいたお茶はどこから来たのか、是非機会があれば聞いてみたいと思います。
少々熱く語り過ぎたようです。
紅茶、美味しいです。
お読みくださり、ありがとうございました。
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