表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/62

30.おやすみの後で

お越しくださりありがとうございます。

楽しんでいただけましたら何よりです。

「お嬢様、そろそろ就寝のお時間です」

 実験が終わるころには、月もかなり上の方へ移動していました。

 もう少し一緒にいたい。

 貴族の子女として、そういったわがままは許されませんわね……。

 二人で顔を見合わせ、無言で立ち上がると、サラ=アンの後に続いてゆっくり並んで歩きました。

 たくさん話したいことがあるような、いざ言葉にしようとすると出てこないような、もどかしい気持ちでいっぱいです。

 レンも何も話してきませんでした。


 ああ、部屋に着いてしまったわ。

 ドアの前で向かい合って立ち止まりました。

「……」

「……」

 無言の時間が続きます。サラ=アンはいつの間にかいなくなっていました。


 先に沈黙を破ったのはレンでした。

「あー……、じゃあ、ね。僕は行くよ。いい夢を」

 頭に手を乗せ、ぽんぽんと優しく叩いてくれました。

「ゆっくりお休み、セリーヌ」

「レンも、今日はお疲れ様。ゆっくり休んでね」

「……」

「……」

 クスッ。ついお互い笑ってしまいます。

「これではいつまでたっても離れられませんわね」

「その通りだね」 

 レンは首の後ろを掻きながら目線をそらせました。

「えーっと……セリーヌが中に入ったのを見届けてから僕も帰るよ」

「はい。おやすみなさいレン」

「おやすみ、セリーヌ」

 部屋に入り、ドアの前で立っていると、しばらくしてレンの足音が遠ざかって行きました。


 ベッドに入っても目が冴えて全く眠れそうにありません。

 改めて、送受信用魔法石を眺めます。

 送信用が私の瞳の色のエメラルド、受信用がレンの瞳の色のアクアマリン。

 レンったらロマンチストですわね。

 二つ並べていると、二人で寄り添っているようです。

 見ていたら、受信用のアクアマリンが光りました。

 こんな時間にレンからメッセージ?

 ドキドキしながら受信用魔法陣を右手の親指で押しました。

「セリーヌ=マクライン」

 呪文を唱えます。

「オキテル(起きてる?)」

 早速返信します。

「オキテルレンモネレナ(起きてる。レンも寝れないの?)」

 文字を超過してしまいました。

 慌てて追加して「イノ」を送信します。

「いけない! 前のメッセージ聞く前に次の送ったら消えちゃうのだったわ」

 どうしようとワタワタしていると、レンから次のメッセージが来ました。

「ホクモネムレナイ(僕も眠れない)」

 良かったです。ちゃんと聞いた後だったようです。

「ナニシテイルノ(何しているの?)」

「セリーヌノコトオモテル(セリーヌの事思ってる)」

 顔が見えないのに、電子音なのに、目の前でレンが言ってくれているようで照れてしまいます。

 しばらくやり取りしていたら、気づけば眠ってしまったようでした。

 起きるとアクアマリンが点滅していました。

「セリーヌ=マクライン」

 合言葉を唱えます。

「アイシテルセリーヌ(愛してるセリーヌ)」

 あ、朝から聞くには少々私には刺激が強いですわ。

「失礼します。あらお嬢様顔が赤いですが、お熱でもあるのですか?」

 入ってきたサラ=アンにとても心配されてしまいました。


 トン、トン。

 ちょうど支度が終わるころ、ドアがノックされました。

 サラ=アンが扉を開くと、レンが立っていました。

「ムカエニイク(迎えに行く)」

 と連絡を貰っていたので、自然と迎えられました。

「おはよう、レン」

「おはよう、セリーヌ。よく眠れた?」

「ええ、ぐっすりよ。レンは?」

「ああ。僕も良く寝られたよ」

 その割には、目の下のクマが昨日よりも濃くなっている気がします。

 そのことを指摘したら、首の後ろを掻き始めました。

「実は、君の最後のメッセージを何10回とリピートしていたらあまり眠れなくって。はは」

「最後に私なんて送りましたの?」

 最後の方、何と送ったのか全く記憶にありません。


 最後の記憶のメッセージを思い返します。

「アシタトオルモリ」

「セリーヌスキナミアル」

 多分、帰りに通る予定の道に、私の好きな果物がなる森があると、言っているのだと思いますが……。


「最後のメッセージで「サミシイレン」で送ってくれたよ」

 それの返しで「アイシテルセリーヌ」でしたのね!


 無意識のセリーヌ、かなり大胆なようです。

お越しくださりありがとうございます。

気に入っていただけましたら、評価お願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セリーヌが生まれる前のサラ=アンの物語を不定期で連載しています。こちらもどうぞ!

お嬢様の幸せはカルダン家にかかってる -お嬢様のお相手は、乙女ゲームで「選ばれなかった」攻略対象者のようです-

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ