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3.どうやら転生したようです

カタツムリの歩みでゆったりのんびり悪役令嬢生活進んでます。

 起きたら朝でした。


 侍女は目を潤ませ、家族(仮)を呼んでくる→大騒ぎ→家族(仮)追い出される、を再演し、お医者様の診察を終え、今私は優雅にお茶を飲んでいます。


 お茶美味しい。あら、鳥の鳴き声が。ふふっ癒されますねえ。


 ……これからどうしたものでしょう。

 

 手鏡を持ってきてもらい改めて自分の顔を眺めました。

 そこには絶世の美女がいました。

 母(仮)にそっくりな顔に、ぱっちりした目は父(仮)と同じ煌めくエメラルドグリーン。弟(仮)は父(仮)似だけど、髪の色は私や母(仮)と同じ明るい金髪です。因みに父(仮)はダークブロンド。

 もう(仮)を取った方がいいかもしれません。とっても似たもの家族です。


 私の仮説、全て間違っていました。いえ、④に「その他」をいれていたのでぎりぎりセーフです。


 私はいわゆる異世界転生と言うものをしたのでしょう。


 聡、由美は前世の両親で、

 イケオジ、美女が今の両親なのです。


 そう気づいたとたん、昨晩まで感じていたホームシックがすうっと薄れてきました。懐かしさは残っているのですが、前世の記憶が今世の心と体に融合した感覚と言いましょうか。過去の出来事として認識できていました。


 それと同時に、この家の人たちが私にむける優しい眼差しや態度、それは私が享受するのが当然であると素直に思えるようになりました。

 これは、記憶にはないものの、私がセリーヌ=マクラインとして、この世界でずっと生きていた証でしょうか。


 そうだと良いのですが。


 さて、ここで頭を悩ませる問題があります。

 それは、私は本当にセリーヌ=マクラインなのでしょうか?

 という問題です。


 前世には、異世界転生といえば王道のフィクションが2つありました。乙女ゲームとざまぁ系と呼ばれるライトノベル、略してラノベです。

 

 乙女ゲームはその名の通り、主人公である乙女が大抵日本から異世界へ転生して、イケメン攻略対象とラブラブハッピーなイベントをこなしていくゲームです。


 かたやざまぁ系ラノベとは、乙女ゲームで主人公に断罪される側の悪役令嬢に転生し、逆に乙女を断罪ざまぁする物語です。


 進化しまくって、これだけではありませんが、大体王道はこんな感じです(山田花菜の最後の記憶時現在)。


 私は前世両方とも少々たしなんでおりましたの。おほほほ。 


 そんな私が前世好きだった異世界転生物の転生には、【通常転生型】と【憑依転生型】がありました。

 他にも召喚などありますが、その場合は同じ時間軸で違う世界にそのままの見た目で飛ばされてくるので、今回の場合は当てはまらないので省きます。


 通常転生型では、ちゃんとジョセフとミネルバの間から生まれ、突然前世の記憶を思い出すけれど、ちゃんと心も体も二人の子供です。


 では、憑依転生型はというと、

 憑依転生型は、体の元の持ち主や、神様・女神様などの人ならざる者の力によって、違う人の魂が体の中に入ってしまう状態です。

 そうなると、ジョセフとミネルバは他人の子を育てることになってしまいます。

 外見一緒だけど中身別人とは、ホラー以外の何物でもありません。

 私が親でしたら受け入れがたい状況です。


 あんなに良い方々をだましたくありません。


 少し接しただけでも分かりました。セリーヌがとても愛情深く育ててもらっているという事が。


 考えてみます。この体で目覚める前に、神様とか、女神様とか、セリーヌ自身と異空間などで出会ったでしょうか?


 大抵は憑依前に、「人生やり直しのチャンスあげる」とか「私の体と替わって」とか「間違えて殺しちゃったから別の人生やってみない」とかあるはずですから!

 ……思い出せません。でもそれだけで憑依型ではないと言い切れないのが辛いところです。


 聡、由美が前世の両親と認識した後、私はこの世界をすんなり受け入れることができました。

 話し方も前世とは違う、いわゆるお嬢様言葉を使用しているのも、気づいた後も違和感なく使用しています。

 それだけを鑑みると通常転生型のような気もしますが……。


 馬に落ちる前の記憶を思い出したいです。そうしたらちゃんと私はこの家族の一員だって自信をもって言えますから。


 今はどちらなのかはっきりと答えは出せませんが、憑依型だったとしても、この体を使って世界滅亡とかしないことを誓います。


 憑依型だった時のことを考えて、取り敢えずとてもいい子でいましょう。好感度を上げておけば、いざ憑依型だったとしても、「知った時はショックだったけど、君も大変だったよね。短い間だったけど楽しかったよ」と友好的に締めくくれるかもしれません。

 

 記憶を思い出すため、まずは自分ができることから始めましょう。

 簡単にできる所で、色々皆さんからお話を伺う事から始めたいと思います。


 曰く、

 

 今世の私の名前はセリーヌ=マクライン15歳。今度の春から王立エリュカレーヌ学園に入学する予定らしい、です。


 父はジョセフ=マクライン伯爵。領地が海沿いに面しているため、他国との貿易でかなり裕福な家門らしい、です。


 母はミネルダ=マクライン。元王弟殿下で、降格されて公爵になられたユグタフ=クラジオ公爵閣下の娘らしい、です。

 世界との貿易の要である港を抑えたマクライン伯爵を王家派に取り込むための政略結婚だったらしいですが、夫婦仲はめちゃくちゃいいらしい、です。


 弟はロバート=マクライン。私の1歳年下でいい子らしい、です。


 どれもいまいちピンときません。他人事のように、「お金に困ってないのは良い事ですね~」とか「イケメンでいい子の弟って憧れますね~」とぽやっと思う程度です。


 ただ一つ言えることは、私はいろんな面でとても恵まれているようです。

 異世界転生もので恵まれた環境の配役の令嬢って……。


 異世界は乙女ゲームやラノベだけではありませんしね。

 疲れましたし、少し休みましょうか。

お読みくださり、ありがとうございました!

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