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27.素敵な私の家族ですわ

お越しくださりありがとうございます。

しばらくセリーヌとレンだけで家族が放置されていたので、今日は家族とのだんらんを少し書きました。

 なにはともあれ(音声が、二度と聞きたくないほど不気味であれ)、いくら私の前世知識があったとはいえ、元々この世界に無かったものを、これだけ短時間で作り出したのは驚きです。

 私の婚約者様、ハイスペック過ぎます。


 その後も色々実験してみました。

 雷魔法は風魔法と違い、ガラスなど透明な物だと通り抜けましたし、壁なども少しでも隙間があれば通り抜けられることが判明しました。

「雷魔法石、優秀ですわ」

「セリーヌ良く思いついたね」

「私の些細な思い付きを形にしたのはレンですわ。レンが凄いんです」

 私のはただの前世チートです。

「じゃあ二人のお手柄だね」

 レンが嬉しそうですし、違うと我を通すこともありませんわね。

「そうですわね。レンと私二人だから出来たんですわ」

 レンが魔法石にキスをします。そのしぐさが様になっていて、なんだか落ち着きません。

「わ、私も送る練習してみていいですか?」

「そうだね使えなかったら困るものね。はい」

 レンに渡された送信用魔法石に、頭にあいうえお表を思い浮かべながら打ち込みます。

「お、や、す、み、れ……あら? 「ん」はどうやって打ちますの?」

「そこはまだ対応できていないんだ。あと、濁点、半濁点、拗音、促音なんかも使えない。まだまだ修正点は多いな」

「でもこんな短時間でここまでの物を作るなんてさすがですわ。レンの名前を呼べないのは残念ですが……」

「それは必ず! 明日までにどうにかするよ!」

 食い気味ですわね。

「む、無理はしないでくださいね」


 しばらくして夕飯の用意ができたとサラ=アンが呼びに来ました。

「レン、作業の手を止め……」

 レンは作業に夢中で全く気づいていません。

「サラ=アン、行きましょう」

 私は小声でサラ=アンを促しました。

「タレンツィオ様はよろしいのですか?」

「楽しそうですもの。このままそうっとして差し上げましょう」

「かしこまりました」

「後で何かつまめるものを持ってきて差し上げましょう」

「では厨房に申し付けておきます」

「ありがとう」

 私とサラ=アンは邪魔をしないように、そおっとその場を離れ……。

 ガンッ!

 ……やはり絨毯を引いていないところは響きますわね。

 私は慌てて人差し指を口に当て、サラ=アンはひたすら無言で頭を垂れました。


 そうっと伺うと、レンは夢中で気づいていませんでした。

 

 今晩の夕食は、8人掛けくらいの長テーブルにマクライン家の4名だけの食事です。

 前菜に始まり、冷製スープ、メインは子羊と香草のグリルでした。

 お父様とロバートは終始ご機嫌です。

「そうか。今日はタレンツィオ君はいないのか。家族水入らずだね」

 お父様は、侍従のサーバーを断り、3杯目のワインを自らグラスに注いています。

「お姉さま聞いてください。今日はここから3時間ほどのところにある村の視察に行って、領民の声を色々聞いてきたんですが……」

 ロバートは今日あった事を話してくれています。

 レンはまだ図書室で作業中かな。

 ずっとレンのことが頭から離れなくて、ついつい会話も上の空です。

 目覚めてから初めての家族だけの食事で、お父様もロバートも楽しそうなのに申し訳ないですわ。

 食後の柑橘系シャーベットが出されました。

 同時にサラ=アンがバスケットを持って来てくれました。

「ありがとう」

 受け取ると、急いでシャーベットを食べます。お残しなんて許しません。

「ん? セリーヌ、それは何だい?」

「レンが今作業中ですので、お食事を持って行ってあげようと思いまして」

 最後の一口を食べ終わりました。

「ごちそうさまでした」

「えぇ~、お姉さま、もう少し話しましょう。あれには後で使用人に食事を持って行ってもらえばいいですよ」

 『あれ』って。公爵子息様ですし、将来の義兄なんですけれど。

「そうだな。今日領地で美味しそうなフルーツを見つけたんだ。まだ入るだろう? 一緒に食べよう。先ほどのフルーツを持ってきてくれ」

 最後のセリフは近くにいた使用人に向けて言いました。

「お父様、申し訳ございません。もうお腹いっぱいですわ」

「では、お姉さま、僕とチェスをしましょう。馬から落ちる前対戦していたゲームがまだ続きです」

「それはいい。私も見学させてもらおうかな」

 お父様もロバートも引き留めようと必死です。

 愛が重いですわ。

「あなた。ロバートも。タレンツィオ君は明日帰ってしまうのよ。今日くらい二人の時間をあげなさい」 

 出ました。鶴の一声です。

「セリーヌ、タレンツィオ君のところへ行ってらっしゃい」

 しゅんとしていますが、もうお父様もロバートも何も言いませんでした。

「ありがとうございます。お母様」

「でも、明日からは私たちと過ごしましょうね」

「お姉さま、明日は僕とチェスですからね」

「フルーツも取っておくよ」

「はい! 楽しみにしております」

 本当にいい家族です。記憶が無くても、自分は彼らの家族だと自信を持って言えます。


 明日から一杯家族との時間を取りましょう。お父様やお母様、ロバートの事、もっと思い出していきましょう。


 そう決意し、バスケットを持って、食堂を後にしました。

お読みくださりありがとうございます。


気に入っていただけましたら、評価の方お願いいたします。


暑くなってきましたね。クーラーをつけるべきかどうか悩んでいます。

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セリーヌが生まれる前のサラ=アンの物語を不定期で連載しています。こちらもどうぞ!

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