24.やっと実験開始ですわ
お越しくださりありがとうございます。
のんびりまったりセリーヌとレンの一日が進んでいきます。
すみません。タイトルに実感入れてしまいました。
もっとさくさく進むつもりが、すごくかかってしまいました。
ここからは結構さくさく進んでいくかと思います。
魔法陣を描くときのコツは、一番外の円に少し隙間を作っておくことです。
隙間が無いと、完成した途端魔法が発動してしまいますから。
レンは2つの魔法石に、円定規のサイズを変えながら上手に魔法陣を描いていきました。
「よしできた。後は真ん中に識別記号を描くだけだ」
小さな魔石なので、描ける場所は5㎜四方もありません。
「これでは個別識別番号は書けませんわね」
「個別識別番号は悪用されると困るから、人に見られるような場所には書かないよ。識別できる印は別に個別識別番号じゃなくていいんだ。例えば名前のイニシャルとか、イラストとかでも大丈夫だよ」
なるほど。要は契約書の最後に書くサインみたいなものですわね。
レンは魔法陣の真ん中に自分のイニシャルを書きました。
「じゃあ試してみよう。はい。セリーヌはこっち持ってて」
渡された魔法石を持って立っていると、レンの手から魔法石がぷかぷか浮かび、こちらにゆっくりと近づいてきました。
「おお~!」
前世の記憶が戻ってから初めての魔法体験です。
私の持っている魔法石に近づくと、軽くスピードを上げそのままコツンとくっつきました。
「か、カワイイ……」
魔法石とは言え、見た目ただの灰色の石なのに、なんだか小動物のようでキュンとします。
「成功したね。じゃあ今度は遠い所から、封筒に入れて試してみようか。セリーヌはまた待っていて」
「レンばかり悪いですわ。今度は私が……」
「僕がやりたいんだ。だから僕のためにそこに待っていてくれる?」
言い方がきざですわね。でもそれがとても似合っています。
14歳の手腕とは思えませんわ。
レンは私の頭をポンとなでると、1階へ降りていきました。
私の婚約者様、イケメン過ぎます。
レンは1階で、異様に腰の低い司書さんから封筒を受け取り魔法石を入れています。
私が見ていると気づくと、両手で大きく手を振ってきました。
なんだかブンブン揺れる尻尾の幻覚が見えるようですわ。
その姿がなんだか愛おしくて、自然と顔がほころんでしまいます。
口の動きで「行くよ」と言っているようです。私はOKの意味を込め、魔法石を振って合図しました。
レンは封筒から手を離すと、先ほどよりもたつきながら、こちらに向かってきます。
封筒は上昇しようとしては少し落下しを繰り返し、壁に並ぶ書棚まで来てしまいました。
番の魔法石に会うため、壁を必死によじ登ろうとする姿は封筒ながら涙を誘います。
頑張れ! 頑張れ!
あ、レンに回収されました。
ピチピチ動いている封筒を持って、レンが戻ってきました。
「やっぱり上は難しかったね」
レンが封筒から魔法石を取り出し手を離すと、私の持っている魔法石に一直線に飛んできました。
なんだか嬉しそうです。会えて良かったですね。
「これだと手紙のやり取りは無理だな」
レンは、魔法陣の円の一部を消し魔法石の動きを止めました。
「重すぎますわね」
もう他に方法は無いのでしょうか。
レンは私の頭に手を置き、そのまま頬をそっと撫でてくれました。
私は無意識にその手に頬をすり寄せます。
「手紙のやり取りをできないのは残念だけど、その分今日たっぷりセリーヌを補充していくよ」
レンはもう「残る」とは言いませんで。
本当はレンも分かってる、残れないことを。
婚約を認めてもらうために、これまでお互い頑張ってきたのですものね(正直私は覚えていませんが)。
寂しいな。
自然とそう思えました。
ゆっくり2人で過ごそうと、図書室の2階へ向かいました。
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