表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/62

2.実家へ帰りましょう

初投稿作品です。のんびり投稿していきます。

 目覚めるとそこは、1K風呂トイレ付の我が家でした。


 と言うことも無く、あいかわらずゴージャスなベッドに寝ていました。


 夢落ちじゃなかったか~。


 部屋の中は暗く、カーテンの隙間から漏れる月明かりがほんのり部屋の中を照らしています。どうやら夜中のようです。部屋には私以外誰もいません。

 二度寝したおかげか、大分気分だけは落ち着いていました。


 せっかくなので少し状況を整理してみましょう。

 先ごろ、イケオジ、美女、イケメン3人組が私の家族だと言っていました。という事は、私が両親だと思っている聡(50)と由美(49)は何者でしょう。


  仮説① 幻の家族

  仮説② 壮大なドッキリ

  仮説③ 聡、由美と引き離され、洗脳して他人と家族を構成させるため、闇組織で拉致監禁中なう。

  仮説④ その他


 なんとなく②の壮大なドッキリのような気もします。

 私を眠らせて、洋館に連れてきて、エキストラさん雇って……

 

 誰得??


 そんな壮大なドッキリ仕掛けられても、素敵なリアクションできませんし、ましてや視聴率撮れるほどの知名度もありません。


 考えれば考えるほど、私に壮大なドッキリを仕掛けたかもと思うだけでもおこがましいように思えてきました。


 ②はないですね。ないです。一番可能性あるなんて思ってしまってすみません。


 ③だと……嫌ですね。


 部屋の調度品も洋服も凄く高価ですし、私も「お嬢様」と呼ばれておりましたし、③ではない気がします。まあ「教祖」として崇め奉れている可能性も、まだあるにはありますが、私には宇宙からの神秘も地底からの声も受け取ることはできないので、大丈夫だと思います。


 では、①の実の親だと思っていた聡と由美は、私が気を失っていた時に夢の中で作り上げた幻で、今この状況が現実なのでしょうか。


 26年分の記憶……一番最初の記憶が2歳の、保育園でおもちゃを舐めて叱られている記憶なので、実質24年分でしょうか。とにかく24年分の記憶を、夢で見るには長すぎますし、リアルすぎます。

 夢の中で夢も見ていますし……。


 それに、昨日電話で話しました。あ、二日間寝ていたので三日前でしょうか。

「ちゃんと栄養のあるもの食べてるの?」「次いつ帰ってくるの?」

 いつもお母さんが言うことは同じです。

「分かってる。分かってる。電車が来るから切るよ」

 なんて適当に答えて切ってしまいました。


 お母さん、お父さんに会いたいな。

 

 実家へ帰りましょう。


 聡、由美が幻のはずがありません。


 聡は無口です。だまってその場にいるだけで威圧感半端ないです。でもとても優しいんです。私が実家へ帰ると、いつも新聞読みながら私と母の会話に入る隙を伺ってるんです。


 由美は口うるさいです。いつもなにかしら小言を言っています。毎回スルーしていますが凝りません。なんだかんだ「しょうがないわね」なんて言って許してくれるんです。私の好きなおかず一品追加してくれるんです。


 なぜ私がこんな状況になっているのか分かりませんが、とにかく逃げましょう。

 ここがどこだかは分かりませんが、パスポートを持ってない私はまだ国内にいるはず……です。きっと人を密入国させるのって難しいですし。日本国内だったら、どんな山奥でも少し歩けばきっと民家があるはずです。こう見えて私、中学の時陸上部でしたから。短距離走でしたが。


 誰もいないようですし、ゆっくりベッドから降り……ようとして、足に力が入らず床に倒れ込んでしまいました。

 そういえば二日間眠っていたのでしたっけ。


 帰りたい。這ってでも帰りたい。

 

 這いつくばったまま扉に向かいます。と、横に人の気配を感じ固まってしまいました。

 そろそろ見てみると、あったのは大きな姿見です。

「姿見ですか」

 ほっとする間もなく、よく見れば、そこには金髪の髪を後ろでまとめた、緑色の目のきれいな女の子が映っていました。


「ひいっ! 幽霊」


 私は腰を抜かし、そのまま後ずさってしまいました。

 すると、どうしたことでしょう。鏡の中の幽霊も私と同じポーズをして後ずさって行きます。


 そういえば、人の真似をする妖怪がいるって小学校の時図書館で借りたトイレの花子さんに載っていた気がします。

 確か対応を間違えると鏡の中に引きずられるはず……。

 どうするのが正解なんでしょう??


 怖すぎて動けません。向こうも動きません。


 どのくらいそうしていたでしょう、私はあることに気が付きました。

 そういえば、この鏡、私が映っていません!

 ひい! 私すでに鏡に取り込まれているのでしょうか? 思わず口に右手をやってはたと気づきました。

 あら? 私の手、なんだかすごくつるすべです。心なしか肌のトーンも白い気がします。

 どういうことでしょう?


 私はそっと左手の甲にあるはずのほくろを確認しました。

 ……ありません。

 鏡の中の女の子も手を見ています。


 もしや……。

 私は自分の後ろ髪を房ごと前に持ってきました。

 金髪! 私、金髪です!

 という事は、鏡に映っている女の子は……私??


 私はまた意識を手放したのでした。

お読みくださり、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セリーヌが生まれる前のサラ=アンの物語を不定期で連載しています。こちらもどうぞ!

お嬢様の幸せはカルダン家にかかってる -お嬢様のお相手は、乙女ゲームで「選ばれなかった」攻略対象者のようです-

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ