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18.この世界は現実です

お越しくださりありがとうございます。


ゆっくりですが、少しずつストーリーが進んで行っています。

のんびり隙間時間にでもお読みいただければ幸いです。

 今度は魔法陣を調べるため、図書室へ向かいました。


 受付に座っていたのは、昨晩驚かせてしまった司書さんです。

 私は少し気まずくてもじもじしてしまいます。

 この人には、私がレンと夜中に二人きりで図書室にいた事知られているのですよね。

 もちろん! 決して! 疚しい事をしていたわけではございませんが! 

「これはセ、セリーにゅお嬢様、ラジヴィオラ公爵子ちょく……、さ、昨夜は大変失礼いたしましゅた!」

 なぜか司書さんの方が、私以上に動揺されているようですわ。

 司書さん、噛みまくりです。どこか顔色も悪いようですし。大丈夫でしょうか。

 相手が焦っていると冷静になれるって本当ですのね。どぎまぎが薄れ状況がよく分かります。

「いや、こちらこそ驚かせて悪かったね」

 何かありましたか? とでもいうようにレンは堂々とした態度です。

 さすがですわ。

「ひいっ!」

 司書さんますます青白くなっていきます。

 先ほどから司書さん何をそんなにおびえているのでしょう。


 レンが泣いているのを目撃したから罰せられるとでも思っているのかしら。

 レンは優しい人だから、そんなこと気にしないでしょうに。

「と、とんでもございましぇん!」

 また噛まれましたわ。

 それとも私たちの密会を見た事を焦っているのかしら。

 いいえ! 何度も言いますが、決して私たち、疚しいことなどしておりませんから!

 「そうですわよね」の意味も込めてレンへ振り返ると……。

「ん? どうしたんだいセリーヌ?」

 レンが優しい顔で私に微笑みかけました。

「……」

 レンが一瞬すごくどす黒いオーラを放っていたように見えたのですが……、

 

 気のせいですわよね。


「魔法陣に関する本でございますね。ではご案内いたします」

 まだ青白さは残るものの、大分落ち着いた司書さんが目的の本のある場所まで案内してくれました。

 さすがプロですわ。

「さあ行こうかセリーヌ」

 レンがそっと私の手を取り、司書さんの後に続き階段を上がります。

「2階のこのフロア全て魔法に関する書籍になります。魔法陣に関する書籍はこちらです」

 司書さんについていきながら、目についた本の背表紙を見ていきます。

 基礎魔法学、魔物図鑑、魔薬学、魔術法典……。

 あらゆる分野の魔法に関する本が並んでいました。

 あら、「胎教で学ぶ魔法」なんてものもあります。

 

 この本一冊一冊に作者がいるわけで。 

 この本を出版するまでにも沢山の人が携わっているわけで。


 当たり前のことですが、この世界は現実なのですよね。

 ゲームなら1冊か2冊ヒントが書かれた本のみ閲覧が可能です。ゲームによってはただの背景です。

 ここに並んでいる本は、ボロボロになっていたり、それを修復した痕があったりと全て一度は人の手に触れた、本物の本なのです。


 この世界はゲームやラノベの中の世界なのかもしれません。

 でもこの世界の人たちは当然ですが、自分の人生の為に生きているのですよね。

 私の生まれる何百年、何千年も前からこの世界は続いていて、ゲームを動かすために存在しているわけではないのですわ。

 歴史を感じさせる膨大な量の蔵書に囲まれ、改めて実感しました。


 そこら辺の意識が欠如している女子が多数出没するのが、ざまぁ系ノベルです。

 なぜかざまぁ系ノベルでは、「この世界は私のための世界」と勘違いした、いわゆる痛い系乙女がよく登場します。

 彼女たちはゲームの通りに進めると全て上手くいくと信じ、少しのイレギュラーにも対応できません。そこをつかれ、悪役令嬢に立場を逆転されてしまうのです。

 ゲームの内容や難しい登場人物の名前を暗記する能力はあるけれど、対応力は低いようです。「臨機応変」という言葉を辞書に加えるべきですわね。

 そういえば、以前の学校の授業は暗記にばかり頼り過ぎたため、発想力が低い生徒が増えてきたそうです。そのためもっと柔軟な発想力を伸ばそうと……


「……リーヌ、セリーヌ!」

 いけません。考えに没頭してしまいました。

 レンが心配そうに私の肩を揺すっています。

「セリーヌ、大丈夫? やっぱりまだ体調が万全ではないのかな。目覚めて以来ボーっとしている事が多くなった気がするよ」

 レンに心配されてしまいました。気を付けなければなりませんわね。

 前世の知識で、今世を考察するのに忙しくて……なんて言えるわけもなく、

「いえ、そんなことは……」

 なんて適当にごまかそうとしたのがいけませんでしたわね。

「歩くのが早かったんじゃないか」

 レンが司書さんの方に顔を向けます。私の方からは表情はうかがえないのですが……。

「ひいいいいいいっ!」


 ……本当にもっと気を付けますわ。


 司書さんのためにも。

お読みくださりありがとうございます。

気に入っていただけましたら、評価よろしくお願いいたします。


今日もお疲れ様です。

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