17.リサイクルは大切ですわ
お越しくださりありがとうございます。
ゆっくりのんびり悪役令嬢(仮)物語続いていきます。
物は試しと風魔法石を使って手紙を送ってみることにしました。
早速サラ=アンに、我が家の魔法石がある所へ連れて行ってもらいます。
今回は温室から直接室内に入ります。
廊下をまっすぐ進み、エントランスホールへ出ると、右へ。
正面のダンスホールに入る5m手前を左に。
両脇に騎士の訓練場や洗濯場等を見ながら突き当りでストップ。
「こちらが備品室となります」
「え、ここ?」
そこには、大きな魔法陣の描かれた、凹凸の無いシンプルな壁しかありません。
サラ=アンは当然のように壁に近づくと、魔法陣に左手を当てました。すると、ただの壁にうっすらと切れ目が入り、横にスライドして扉が開きました。
「まあ……」
これはあれですね。「ここを押してください」を押したら開く形式の自動ドア。
「登録されている者の手に反応して開くようになっています。お嬢様も登録されておりますよ」
これはコンビニなどでよく見かける自動ドアではなく、映画やドラマなどでよく出てくる、秘密の研究機関のセキュリティドアですわね。この世界のセキュリティ、最新過ぎますわ。
サラ=アンの後に続いて中に入ると、真っ白い空間に最新のコンピュータ機器が並び、壁一面モニタが……、ということも無く、普通の木棚が並んでいるふつうの備品室でした。
まあ、備品室の奥が見えないほど広大という時点で普通ではないかもしれませんね。
それよりも、
「凄い……」
何が凄いって、備品の管理体制です。
棚ごとに種類わけがきちんとされており、在庫管理も完璧。適当に突っ込むことなく、購入が古いものから手前に並べるよう徹底されています。
購入品目、数、金額、購入業者、受取人等の記録も完璧でした。しかもそれを複数の責任者で管理することにより、横領等の不正も未然に防げるような完璧な管理体制。
なんと! 年に一回棚卸しまでされていますわ。
棚卸しの記録も20年ほど前からしっかり残っていました。
種別の空調や日光管理もぬかりありませんわね。
これ、絶対総務の転生者いましたわ!
20年前の転生者は総務の力で無双したのですね。
いつか是非20年前に備品管理システムを構築した人を調べてみましょう。
20年前でしたら、まだご存命かもしれませんしね。お話を伺ってみるのもいいかもしれません。
20年前、どこかでこのキーワード出ていた気が……
そうですわ! 20年前に赤い鳥の精霊と契約した方がいらっしゃったはずですわ。
もしかしたらこの方なのではないでしょうか。
この線からたどっていくのも有りな気がしますわね。
その間にも、ずんずん備品室の奥まで進んでいきます。サラ=アンったら歩きに迷いが無いですわね。随分来慣れているようです。
「お嬢様、こちらになります」
まあ、こちらの棚は特に素晴らしい!
魔法石の属性ごと、大きさごとに種類分けされ、一つ一つ購入年月日と個別番号がラベリングされています。また、持ち出し表には持ち出した人の名前、魔法石の個別番号、用途および持ち出した人のサイン及び受理した責任者のサインを記載する欄があります。
完璧ですわ。きっと総務転生者さんは、さぞや名のある企業の敏腕総務さんだったに違いありませんわ。
早速整理された風魔法石の中から一番小さく、手紙にも入れやすいよう、なるだけ平たいものを2つ選びました。
持ち出し表に必要事項を記入して、備品管理責任者へ許可を貰いに行きます。
「ほうほう。『風魔法石を使用した、遠距離への高速郵送実験のため』ですか」
責任者のおじさま、なんだかしたり顔で私とレンの顔を見てきます。居心地悪いですわ。レン、なぜあなたは嬉しそうなのです?
「それはとても重要ですね。許可しましょう」
ニヤニヤ顔はしゃくですが、簡単に許可を貰えてほっと一息です。
「では使い終わりましたら、まだ魔力が残っている魔法石はこちらの緑の箱、もう魔力が残っていない魔石は赤い箱に入れておいてください」
ちなみに、魔力が入った魔石を「魔法石」といい、空の魔石とは区別されています。
「もう魔力が残っていない魔石はどうなりますの?」
「各属性の神殿へ持って行き魔力を注入し、市場に再度出回ります。このブレジール国は炎の神殿があるんで、炎を魔石に注力していますね」
おお、リサイクルペットボトルですわ!
そうなんですのね。魔石自体に魔力があるわけではなく、魔力を閉じ込めて置ける容器という役割なんですのね。
「それにしても、我が国でいえば炎魔法石以外は他国からの輸入に頼っているとなれば、炎以外の魔法石はとても高価なのではないかしら。実験に使ってしまっても大丈夫でしょうか?」
「4大国に関しては問題ないよ。お互いに必要なものだから、協定で4国間は一定量を同価格で取引する盟約を交わしているから。大変なのはその他の国々だろうね」
「神殿以外で魔石に魔力を注入することはできないのですか?」
「普通の魔力持ちでも注入はできるよ。大貴族となると個人的に雇っている貴族もいる。僕の家のラジヴィオラでも、このマクラインにもいるんじゃなかったかな」
「はい。現在6名おります」
「では欠乏する心配はないのですね」
「ん~どうかな。効果にばらつきはあるし、神殿で注入したもののように強力ではないから。普段は神殿からの物を購入しているよ。どちらかというと有事の時の備え的役割が大きいかもね」
自家発電……はっ! いけませんわ。人を電池呼ばわりしては……。
「それでも4国以外にとっては貴重な魔法石に違いからね。重宝されている」
なんでしょう。この革命がくすぶっていそうな仕組みは。
それに、神殿に魔法石が集中してしまっているのも気になりますわね。もしかして王宮と神殿のパワーバランスが片方に偏り過ぎているなんてこと……。
いけませんわ。なんだかすべてがゲームの中のイベントの種に見えてしまって。
この世界の事、私の知らないことがたくさんありますもの。偉い大人の方たちが、私でも考えられるような事を考えていないなんて事、無いですわよね。
きっと気のせいですわ。
本日もお読みくださりありがとうございます。
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今日のランチはうどんにするか回鍋肉にするかで悩んでいます。




