15.もしかしてヤンデレ枠ですの?
お越しくださりありがとうございます。
本日ものんびりまったり悪役令嬢(仮)進行中です。
不思議ですわ。前世ではパックの紅茶をマグカップに入れて飲むか、ファミレスのドリンクバーくらいしか飲んだことがないのに、今世の私、紅茶の味の違いが分かります。
ちなみに、いつもサラ=アンの淹れてくれる紅茶は少し渋みがありますわね。
そんなことも分かるこの体、凄いです。自分なのに自分に感心してしまいます。
ちなみに紅茶パックは、沸騰したお湯をカップに注いだ後に入れると、美味しい紅茶ができますわ。
前世の豆知識ですの。
なんて少々現実逃避中、セリーヌ=マクラインです。
「セリーヌと離れたくない」
先ほどの甘い雰囲気は一瞬で溶解し、かれこれ1時間ほどこの調子です。
「2週間後には王都に移るそうなので、王都でお会いしましょう」
「浮気しちゃだめだよ。やっぱり心配だから王都に行くまで残ろう」
「大事なお仕事が待っていらっしゃるんでしょう。私なら、屋敷から一歩も出ないのですから、浮気のしようがありませんわ」
「う~、しかし……」
馬から落下前の私ならいざ知らず、今の私はまだそこまでの愛がレンにあるわけではありません。何となく一緒にいるとときめくかも、くらいでしょうか。
でも、レンからすれば私の態度が突然変わったのですから、不安で離れたくないですわよね……。
気持ちは分かります。分かりますが……。
少しずつですが、前世は前世の記憶として整理し、今のセリーヌ=マクラインとして順応してきてはいます。
でも、言っても、目覚めてからまださほど経っていません。感覚的には「世界的イケメンが今日からあなたのラブラブな彼氏です。仲良くしてくださいね」と言われたようなものです。前世での年齢=彼氏いない歴の私にすぐに受け入れろというのは難しいです。
だからこそ、できればこういうやり取りよりも、もっとレンを知っていくことに時間を使いたいのですが。
もう明日は去ってしまうのに……。
決してそろそろ面倒くさくなってきたわけではありませんわ。
「セリーヌはそんなに僕と離れたいの?」
そろそろレンがすねてきました。
……すみません。嘘つきました。ちょっと面倒くさいです。本当にすこーしですが。
「もちろんそんなわけありませんわ。レンには立派な公爵になって欲しいんですの。そのための大事な時なのではなくて?」
まだ「でも」「だって」と未練たっぷりにおっしゃっています。
セリーヌ、我慢ですわ。
「毎日レンに手紙を書きますわ」
あれ、そういえば私、字は読めますけど、書けるのかしら? まあ、今はそういう場合ではないですね。書ける前提で話します。
「でも、毎日書いてくれてもまとめて2週間後くらいに届くから、それだと僕も王都に旅立っていて、セリーヌの手紙が読めないよ。やっぱりこのまま残るべ……」
「そんなにかかりますの? 私が倒れた時は5日ほどでレンの元に知らせが届いたと伺いましたが?」
「ああ、そうか。セリーヌは覚えてないか。あの時は早馬で知らせてくれたからね。早馬は1通の特定の郵便物だけを専門で運ぶから早いんだ。でも通常の郵便物だとある程度まとまってから、その上あちこち経由してくるから大分遅くなってしまうんだよ」
そんな仕組みなんですのね。確かに流通手段が限られているこの世界では、手紙一枚出すのも大変そうです。
「この春休み期間中、毎日セリーヌに僕の思いを届けたくて公爵家の早馬を毎日セリーヌの元へ送っていたら、公爵家の早馬を全てマクライン家に送ってしまったらしくてね。商談に支障が出てしまい、早馬は緊急時以外禁止されてしまったんだ」
レンってば、もしかして攻略対象者ではないかもしれませんわ。そこはかとなく残念感が……。
でもそういうところも可愛いと思っている自分がいます。少々面倒くさい所もございますが、最後には全て許してしまいそうです。男性に対してこんな気持ちを持つのは前世合わせても始めでした。
きっとこれは前世が戻る前のセリーヌの気持ちなのですね。セリーヌは本当にレンの事を愛していたのですね。
もやっ。
また胸がもやります。後でサラ=アンに胃薬を貰いましょう。
「やはりまだ記憶の戻っていないセリーヌは体調が万全ではない。ここはやはり私が残らねば!」
そうね。以前のセリーヌの為にも、もっとレンの事知るため、やっぱりここに残ってもらう方がいいのかしら……。
「そうして、セリーヌが僕を思い出すまで休みの間ずっと部屋から出さず、僕だけを見て過ごせば……」
……っは!
いけませんわ。思わずレンの滞在を許すところでしたわ。
レンのヤンデレ発言で我に返ることができました。
なんかもうどんな説得をしようとも、結論は「滞在する」しかない気がしますわ。
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ついついご飯作るの面倒だと鍋にしてしまいますが、そろそろ暑さがきつくなってきました。
熱中症にお気を付けください。




