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13.朝ですわ

お越しくださりありがとうございます。


今はまだ、まったりのんびり進行中の悪役令嬢(仮)物語です。

 おはようございます。セリーヌ=マクラインです。


  昨夜はしばらく抱きしめ合っていたら(自分でいうのは恥ずかしいですわね)、

  忘れ物をした司書さんが図書室に来て、

  レンのすすり泣く声を聞いて幽霊と勘違いし、

  腰を抜かした時に肘でランプを落とし割ってしまい、

  音を聞きつけたサラ=アンによってさらなる惨劇が起こり……


 と、そこそこ階下が大騒ぎになったので、私とレンの夜の読書会はお開きとなりました。

 階下へ降りた時、手を握り合い、幸せそうなレンと顔の真っ赤な私。

 皆さまの生温かい目がいたたまれなかったですわ。


 部屋までレンに送ってもらった後も、ベッドの上で枕を顔に押し付け見悶えてしまいました。

 だって同年代の男性と抱きしめ合った記憶など、前世を含めてありませんでしたもの。

 まあ、記憶を失くす前のセリーヌはあったかもしれませんが……。

 なんだか過去の自分に負けた気分ですわ。


 そうして、今朝は大食堂で、お母様、レン様と一緒に朝食を食べています。

 朝のメニューは、フルーツヨーグルトと、ハムと卵のガレットです。

 

 レンったらご機嫌ですわね。そんなレンの隣で、意識しまくりな私はなかなか食事が進みません。

 噛んでいる音とかうるさくないかしら。

 今朝お風呂に入るべきだったかしら。

 なんだか色々気になってしまいます。


 少し意識を隣から外さなければ。他のことを考えることにしましょう。


 お父様は領地に行き、ロバートは勉強のためついていきました。

 お二人とも出ていかれる直前まで渋ってらっしゃいましたが、事前に決まっていた視察でスケジュールが調整できなかったみたいです。お父様一人でも良かったらしいのだけど、社会勉強の為と理由を付けて、ロバートを半ば無理やり連れて行きました。

 お父様、一人が嫌だからロバートを道連れにしましたわね。

 なんでしょう。父子で市場に売られていく牛のようでしたわ。


 終わりましたわ。


 他には……、ガレット美味しいです。

 私の知っている料理なら何でもありそうです。他にも、この世界特有の料理などあるのでしょうか? それか、前世の私の食べた事のない料理、例えばガラパゴス諸島の料理とかもあったりするのでしょうか? 実際にガラパゴス諸島の料理が出てきても、私には検証するすべがないので微妙な反応しか出来なさそうですが。

 興味は尽きません。一度厨房を覗いてみることにしましょう。


 そんなことを考えていると、お盆に手紙を乗せた侍従がレンに手紙を持ってきました。

 手紙の封蝋を見ただけで眉間にしわを寄せています。中身を読んだ後は、さらに皺が深くなり、深いため息までつかれました。

 まさか何かトラブルが……!

「レン、大丈夫ですか」

 レンは涙膜を貼った瞳でこちらを見つめてきました。

 あ、これ来ますわね。私の後ろにサラ=アンがスタンバイした気配がします。

「セリーーーヌーーーー」 

「ぐふっ」

 令嬢にあるまじきうめき声は許していただきたいですわ。

 さすが伯爵家の立派な椅子、びくともしませんでしたわ。でも私はレンの重みで横に倒れていくのを、しっかりサラ=アンが受け止めてくれました。いつもありがとう、サラ=アン。


 昨夜のロマンチックな抱擁が霧散していくようですわ。


「レン、落ち着いてくださいな。一体何があったんですの?」

「私の父がセリーヌの容体が良くなったのなら、すぐ領地に戻ってくるようにと言ってきた」

「え? 昨日着いたばかりではありませんか」

「仕事を放ってきてしまったからな……。このタイミングで来たということは、僕が向こうを飛び出てすぐに送ってきたな」

「でもさすがに昨日の今日でお発ちになるのは早すぎるのでは……」

 昨日はゆっくり寝られたと思いますが、その前はほぼ不眠不休で駆け付けてくれたのですから。まだうっすらと目の下にクマがあります。

「父は厳しい人でね。それに学園に入ってしまったら社交活動も始まるし、なかなか領地経営を学べないから。父上としては、ある程度の領地経営を学んでおいて、学園にいる間から少しづつ仕事を任せていきたいんだろう」

「そうですの……それなら仕方が無いですわね」

 昨日の夜、私がレンのことをどう思っていたのか、少し分かった気がしました。もう少し自分の気持ちをしっかり知りたかったのですが、

 寂しい顔をしていたのかもしれません。

「ううう~。セリーヌが可愛い……よし! セリーヌはまだ目覚めていないということにしよう」

 私の手を取ってレンはおっしゃいました。

「あら、タレンツィオ君、セリーヌちゃんが目覚めてすぐにラジヴィオラ公爵に知らせは送ったわよ」

 そういえばお母様いらっしゃいましたね。

 レンがこの世の終わりのようなお顔をされています。

「あと1ヶ月と少しで学園が始まるんだし。その前にあなたもセリーヌも王都のタウンハウスへ移るのでしょう? すぐ会えるわよ」

「では、2日! あと2日ここに滞在してから向かいます」

 レンも粘ります。

「ラジヴィオラ公爵子息、ラジヴィオラ公爵様と我が家も考えは同じ。貴族の役目をおろそかにするような方に我が家の家宝セリーヌは渡せないわねえ」

 お母様も引きません。

 お母様、笑顔が怖いです。

「では、明日戻ります。今日はセリーヌと過ごさせてください」

 お母様が渋い顔になる寸前、レンは畳みかけます。

「我が領地まで4日かかるところ2日で戻ります。そうすれば実際にかかる予定日数よりも早く戻るので、父上も満足されるでしょう」

 そういえばここに来るときも2日で来られましたね。フラフラになりながら。

 またあれをするつもりのようです。お止めした方がいいとは思うのですが……。 

 こういう男性の頑張りは、遠慮するよりも喜んだ方がいいと、前世で誰かがおっしゃっていたような気がいたしますので、実践してみることにしましょうか。

 これもいわゆる前世チートに入るのでしょうか。まあ物は試しです。

「私の為に頑張って時間を作ってくれてありがとうございます。あの……嬉しいでしゅ……」

 噛みました。

「セリーヌ! 大好きだ~」

 成功したようです。

 大人の駆け引きと言うやつですわね。ふふ。


 ……言ってみたかっただけですわ。


「セリーヌちゃん、顔が赤いけど大丈夫?」

 そこは無視してくださいませ、お母様。

お読みくださりありがとうございました。

気に入っていただけましたら、評価お願いいたします。


昨日歯を削りました。なぜか削った歯ではない歯が痛いです。

歯磨き大切です。

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