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いきなりお姫様!~VRMMOの世界で一人だけ悪役令嬢NPCに擬態して政略ゲーに勤しむことになりました!~  作者: 杞憂
強くてニューゲーム編

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45話 いきなり登用!?

 (さ~て、負けちゃったのは本当に悔しいけどあそこまで戦えたのは良かったよね!

 とりあえずの目的は達成できたし、【アルタルソース】さんにあそこで当たれたのは運が良かったのかも!)



 魔術師のアバターで負けてしまった【ドロップ】はアバターを切り替えて、今はお姫様のアバターに切り替えていた。

 最終的に負けてしまったものの、どこか満足げな【ドロップ】であるがこれにはわけがある。

 接戦をしたというのもあるがそれ以外でもその条件を満たしているからであるからだ。



 そしてそんな満足げな表情を浮かべながら【ドロップ】がプレイヤーたちを観覧席で見下ろしていると、最終的な決着を告げる鐘が鳴り響き全ての行程が終了したのであった。

 その鐘の音を聞いた【サンマー=ジュージカン】は【ドロップ】の横から前に出て冒険者たちに言葉を投げかけていった。



 「冒険者たちよ、見事な戦いぶりであった。

 この戦いを踏まえて【ドロップ】姫様から私兵団への登用が決まった者の宣言をしていただく。

 皆のもの、心して傾聴するように」



 そう告げた【サンマー=ジュージカン】は再び【ドロップ】の側に控えるようにして下がっていくと、代わりに【ドロップ】が立ち上がり前に歩み出てきた。

 そして口を開き高らかに声を張り上げていくのであった。



 「王国の民たちの奮闘はこの目でしっかりと見届けさせていただきましたわ!

 ワタクシとしても目移りするような激戦が数多くあり、どなたを登用するのか頭を悩ませておりました。

 ですが悩み続けて行動が止まってしまうのは生産性がありませんわ!

 なので気に入った冒険者の方はまとめて登用させていただきましてよ!

 ワタクシ、わがままですので!」


 「なっ、【ドロップ】姫様!?」



 事前の打ち合わせに無かった大胆な発言に思わず側で控えていた【サンマー=ジュージカン】は口を挟んでしまった。

 本来、このような公式な催しで王族が話している最中にそれを遮ってしまうのは何よりも忌避されるべき行動として知れ渡っており、当然【サンマー=ジュージカン】もそのことを知っていたのであるがその上で思わず声が出てしまうほどの驚きがあったというわけである。



 「というわけで本選に進むことが出来たプレイヤー全てをワタクシの私兵として雇わせていただきますわ!

 登用の対象となった冒険者の方々は光栄にお思いになってよろしくてよ!

 おーほっほっほっ!」



 【ドロップ】はそんな【サンマー=ジュージカン】の動揺と言葉を見て見ぬふりをしてそのまま言葉を紡いでいき高笑いをしながら、本選に進んだ冒険者たちという大雑把なくくりで纏めて登用してしまったのだ!

 これには【サンマー=ジュージカン】も頭が痛かったようでそのまま失神し、地面に突っ伏してしまったようである。

 ……なお、そのまま【ドロップ】の横で寝かせておくのは良くないと思った【ペンネドラゴ】が気を利かせて隣の部屋へいそいそと運び込むという一部始終があったのだが、下から上を仰ぎ見る冒険者たちからはちょうど見えない角度であったため不幸中の幸いとも言えるかもしれない。



 (これで【魔術師】のアバターも無事に私兵団に入れられたね!

 いっぱいプレイヤーたちを倒した私のもう1つのアバターが最後に倒されたから、結果的にみんな強かったって曖昧な感じに出来たのは良かったよね!

 ……偶然が重なった結果だけど、発想の転換もたまには必要だし!

 それに、【アルタルソース】さんも一緒に私の私兵団に入れられるなら本当に心強いし、頼りになるからありがたいよ~!

 嬉しくて飛び跳ねちゃいそう!)



 先の一見で【アルタルソース】の格好良さに魅せられた【ドロップ】は完全にファンになりかけていたが、なんとかとび跳ねるのとにやけそうな表情をお得意のポーカーフェイスで無理矢理押さえつけて冒険者たちの前で威厳を保っていた。

 水面下では荒波のようにコロコロと変わり続ける感情をこうも上手く隠し通せる技術は何度見ても異様なものである。

 とはいえ、【ドロップ】本人がそれを完全に自覚していないため直ることも変化することも当分無いはずだ。



 「今回、登用の対象となった冒険者たちは後日ワタクシのいる王城の門前で待機してくださいまし!

 何名か集まり次第私兵団の活動やルールについて詳細な説明を大臣の【サンマー=ジュージカン】から皆様方へしていただきますわ!

 ワタクシが欲しいものを手に入れるために粉骨砕身していただきましてよ!

 そして、このワタクシに仕えるということはこのファートス王国に仕えるということ……それを忘れることなくワタクシのわがままに付き合ってくださいまし!

 おーほっほっほっ!」



 「「「【ドロップ】姫様万歳!!!」」」

 「ロリ巨乳姫様最高!」

 「俺を踏んでくれ!!!」

 「うおおおおおお! 昂ってきた!!!」



 【ドロップ】は最後に高笑いをしながらそう言い残し、建物の中へと姿を消していったのであった!

 そして、【ドロップ】の【わがままお姫様】像として謎の高笑いが定着化しつつあるのがよく分かる演説であったのだった……

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