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いきなりお姫様!~VRMMOの世界で一人だけ悪役令嬢NPCに擬態して政略ゲーに勤しむことになりました!~  作者: 杞憂
強くてニューゲーム編

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43話 いきなり憧れの女性!

 【ジュモン】を突破した【ドロップ】は先へと進んでいた。

 その最中にも配信者プレイヤーの【武器子@配信者】や【叢雲ナユタ】という日本刀使いのプレイヤーを戦うこととなったが、(アイによって)鍛えられたその力を存分に発揮し強烈な魔法で次々に突破することが出来たのだ!



 「いや~、操作が覚束なくてもここまで戦えるなんてラッキーだったね!

 どっちのプレイヤーも強そうな感じだったけど、レベルの差でごり押し出来ちゃった!

 憧れの魔法使いになって放つ魔法は最高だよ~!

 本当にこのアバターを取り返せて良かった!」


 

 【ドロップ】は腕を身体の前で組ながらうんうんと首を上下に動かし頷きながら唸っていた。

 突然のハプニングで盗られてしまっていたアバターということもあってか、この身体で動き、戦い、相手を倒せるということは感慨深いものがあるのだろう。



 「これで私も少しは格好いいプレイヤーになれてる……のかな?

 でも、自分では分からないよね?

 それならもっと頑張らなきゃ!

 目指せ優勝だもんね!」



 【ドロップ】はこれまで見てきたプレイヤーたちの勇姿を脳裏に浮かべ、自分がそれに近づくために意気込んでいた。

 格好良さに直結するわけではないが、敵対するプレイヤーたちをなぎ倒していくことで少しずつ自信がついてきたようである。

 


 「あの時、もっと私が格好良く戦えていたら……って考えちゃうとまだまだ理想は高いもんね……

 【ペンネドラゴ】さんと一緒に【アイ】さんと戦ったけど、あの時はほとんど後ろから隠れているだけだったし……

 でも、今の私ならもう少しいける!

 ……って誰か来たみたいだね、ちょっと様子でも窺ってみようかな?」



 【ドロップ】は近寄ってくる足音を聞き、木陰に隠れて顔だけチラリとそちらの方へと出して相手の顔を見ようとした。

 そして、その顔を見た【ドロップ】の表情は珍しくポーカーフェイスを保つことが出来ずに驚きを露にしていた。

 そう、何を隠そうその相手とは……



 (あ、【アルタルソース】さん!?

 とうとう出会っちゃったよ!?

 MPも結構使っちゃったし回復するまでは見つからずにやり過ごせたらいいんだけど……)



 「MPを結構使ったみたいだね~!

 これなら観光系プレイヤーの私でも勝てそうかな~?

 そんなところで隠れてないで出てきなよ快楽殺人プレイヤーさん!

 噂だともう少し派手に魔法で立ち回るってことだったけど、わざわざ私みたいなのから隠れるってことは多分消耗も激しいんだよね~」



 (ば、バレてる!?

 しかもMPが少ないのも看破されちゃったよ!?

 流石【アルタルソース】さん……じゃなくて、どどどどどうしよう!?)



 いつも内心では慌てている【ドロップ】ではあるが、憧れの格好いいプレイヤーである【アルタルソース】と敵対する寸前まで来ていることもあってポーカーフェイスが全く作れておらず、今の【ドロップ】はただ慌てているだけの少女である。

 しかし、隠れているのがバレておりプレイヤーキラーであった【アイ】のアバターがここにいるということまで判別されている以上、はったりではないというのは【ドロップ】にも分かっている。

 なので出ていかざるを得ず……



 「ふふふっ、隠れていた?

 そんなことあるわけないじゃん!

 ここで獲物がかかるのを待っていたんだよ!

 さあさあさあさあっ、私と楽しい死合いをしようよっ!

 あなたは私を楽しませてくれるかな?」



 【ドロップ】は先ほどまでの同様を得意のポーカーフェイスで押し留め、【アルタルソース】へと啖呵を切った。

 内心があそこまで荒れていて、表情も崩れていたのにも関わらずこの短期間で外面だけでも取り繕えられるのは流石である。



 「あ、う~ん?

 やっぱり聞いていた印象と違うかな~?

 ちょっと明るいかな~?

 聞いてたのはもう少しギラギラした眼と雰囲気だったんだけど……まぁ、いいか~!

 実際、敵なのには変わらないからね~!

 【ペンネドラゴ】君にばっかりお姫様の横のポジションを取られ続けるのは嫌だから、立ちはだかるなら倒させてもらうよ~!」



 (やっぱり戦うことになっちゃったよ!?

 こうなったらやれるだけやるしかないよね!

 少しだけ格好よく成長した私の力を【アルタルソース】さんに全力でぶつけて、力を認めてもらいたいのもあるからなおのことだよ……)



 【ドロップ】はインベントリに仕舞っていた杖を取り出し装備し直すと、それを構えて【アルタルソース】を牽制し始めた。

 【魔術師】の間合いは基本的には遠距離。

 相手に距離を詰められないようにするため、攻撃を媒介する杖を向けられたプレイヤーはその間合いをはかりつつ魔法による攻撃も警戒しないといけない。



 (偶然見つけた掲示板に書いてあった【魔術師】の基本的な立ち回り方だけどね!

 でも、基本が一番大事だから私はこれで戦っていくよ!)



 「なるほど~?

 結構素直な構えだね~?

 いや、これで油断させてくるのが極悪非道のプレイヤーキラーが使う常套手段なのかな~?」



 それに対峙する【アルタルソース】は得物である槍を中段に構え、既に臨戦態勢となっていた。

 ここからが勝負の始まりである。

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