表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いきなりお姫様!~VRMMOの世界で一人だけ悪役令嬢NPCに擬態して政略ゲーに勤しむことになりました!~  作者: 杞憂
強くてニューゲーム編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/48

40話 いきなり瞬殺!

 (というわけで、メインアバターを【魔術師】の方に切り替えて私……【ドロップ】も参加しちゃうよ!

 【アバター同時操作】っていうスキルも使いなれてきたから、【お姫様】の方は手を振らせたりして誤魔化してるから違和感はない……はずだよ!)


 

 そう、【ドロップ】はプレイヤーキラーの【アイ】を倒して取り戻したアバターを使ってこのイベントに自ら参戦しているのだ。

 【アバター同時操作】は本来使用していると表情や動きに違和感がかなり出てしまうスキルなのだが、【ドロップ】には神懸かった特技ポーカーフェイスがある。

 それで表面上は何事もないように振る舞っているのだ!



 「おい、あのプレイヤーキラーも参戦してやがるぞ?」

 「こりゃリンチ確定だな!」

 「あの時の恨み……ここで晴らさせてもらおう」

 「お姉ちゃんを目の前でキルしたのは一生忘れないからね……覚悟しててよ」

 「くっくぁくぅ……」


 

 そんな意気込んでいた【ドロップ】を今にもキルしようと言わんがばかりの殺意を向けるプレイヤーたちがいた。

 このプレイヤーたちは、かつて【アイ】が操作する【魔術師】アバターによってキルされた経歴のある者たちである。

 そんな因縁のある相手が近くにいれば当然敵視してしまうのも無理はないことなのだが、今回の場合は操作するプレイヤー……つまり中身が違うので完全にお門違いとなってしまっている。


 つまり事情を知らない者たちにとっても、【ドロップ】にとっても誰の……何のメリットにもならない最悪な状況とも言えるのだ!



 (ううっ、全方向から睨まれてる気がするよ……

 やっぱりこの視線には慣れられないね!

 どうして【アイ】さんはわざわざ恨まれるようなことばっかりやってたんだろう?)


 多くのプレイヤーに睨まれて【ドロップ】は萎縮してしまっているが、それでも持ち前のポーカーフェイスで外にその様子を出していないのは流石だろう。

 続々とバトルフィールドに集まってくるプレイヤーたちにもその様子を気取られないように、不敵な笑みを顔に貼り付けながら【ドロップ】は【アイ】について考えていた。


 【ドロップ】にはプレイヤーキラーという存在がいまいち理解できておらず、どうしてそんなことをしていたのかの背景を想像することも出来ていない。

 つまり、ロールプレイをするにあたって大元の【アイ】が操作していた【魔術師】アバターの時と振る舞いに差異が出てくるわけで……



 「みんなで楽しく戦おう!

 血肉沸き立つ死合いって楽しいよね!」


 

 プレイヤーキラーというよりはバトルジャンキーのような形となり、【ドロップ】の中で仕上がってしまったのだ。

 どちらにしても狂気を感じるので周囲のプレイヤーたちは違和感を覚えつつも、やはり敵対すべき相手だと再認識したようである。

 無邪気な殺戮者ほど恐ろしいものはないとは言ったもので、自分が理解できない存在である【魔術師】を排斥しようとしているのだ!




 そして、その中でも特に異彩を放つプレイヤーが二人固まって話しているようだ。



 「うわっ、プレイヤーキラーが同じブロックにいるのかよw

 嫌すぎるw」


 「これは協力して真っ先に倒さないとな。

 【ドロップ】ちゃんにあいつを近づけるのは悪影響過ぎるから最優先排除安定だ!

 【タロスケ】……やるぞ!」


 「了解w

 ロリ巨乳姫様はワイが守るwww」



 【ドロップ】と同じブロックには先の防衛戦線で東にいたのは、このブレイクドリームオンラインの掲示板を眺めたことがある者なら誰でも知っていると噂の【掲示板ガチ勢兄貴】とその仲間の【タロスケ】である。


 【タロスケ】は軽薄な喋り方をしているが修道服に杖という神官系のスタイルで手堅く戦っている。

 【掲示板ガチ勢兄貴】は大斧を使い戦場に風穴を空けていく豪快な戦い方で、お互いがお互いを補い合ういいコンビであると言えるだろう。



 「ほらほらどうした!

 大斧がそんなに怖いのか!

 これですぐに退場してくれ【ぶんまわしーLV15】!」


 「それならワイは……【祝福ーLV6】!」


 【掲示板ガチ勢兄貴】はスキルのアシストを受けて大斧を振り回しながら【ドロップ】へと迫ってきていた。

 その背後では目立っている【掲示板ガチ勢兄貴】へのちょっかいでダメージが蓄積しているのを補うため、【タロスケ】が回復スキルにて【掲示板ガチ勢兄貴】を万全の状態で【ドロップ】の元へと送り届けることに成功したようである。



 (……さて、ここからが本格的な戦いだよね!

 えっと……使えそうなスキルは……これだね!)



 「血気盛んで私を楽しませてくれそうな人だね!

 そういう人と戦っていれば私の血が滾りそうだね!

 でも、勝つのは私だよ!

 【アイスフレアーLV28】!」


 【ドロップ】が生み出したのは氷の放射攻撃である。

 【ドロップ】の装備していた杖から放たれた力の奔流が迫り来る【掲示板ガチ勢兄貴】に衝突し、そのまま氷漬けにしてしまったようだ。



 「ガッ……!?!?!?!?!?」



 (あ、あれ……?

 このスキルってこんなに強かったの!?

 ツンツン……あっ)


 氷漬けになってしまった【掲示板ガチ勢兄貴】を杖でつついているとそのままパキンと氷が割れてしまい、そのまま氷の中にいた【掲示板ガチ勢兄貴】はバトルフィールドから消え去ってしまったのだった。



 「【掲示板ガチ勢兄貴】www

 唐突な死で草www」


 「笑ってる君も凍るんだけどね!

 その賑やかな口を閉じちゃえ!

 もう一発【アイスフレアーLV28】!」


 「ンヒョァァァァwww」



 後ろで【掲示板ガチ勢兄貴】の死を笑っていた【タロスケ】も再び放たれた【アイスフレアーLV28】によって氷と化しそのまま悲鳴をあげながらバトルフィールドから退場していったようである。








 ……ちなみに補足だが、【魔術師】の【ドロップ】のアバターのレベルは39である。

 そして【掲示板ガチ勢兄貴】は21、【タロスケ】は18だ。

 これだけレベル差があれば瞬殺されてしまうのも頷ける話なのだが、この二人のレベルが特段低いというわけではない。

 【わがままお姫様】イベントで名を馳せる最前線組の【ペンネドラゴ】ですら26レベルなのだから充分な強さはあったのだ。

 南無……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ