表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いきなりお姫様!~VRMMOの世界で一人だけ悪役令嬢NPCに擬態して政略ゲーに勤しむことになりました!~  作者: 杞憂
強くてニューゲーム編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/48

39話 いきなり開会式!

 ここは熱気に包まれたファートス王国闘技場。

 そこには大勢の観客とプレイヤー闘士たちが戦いの始まりを今か今かと待ちわびているところだ。


 そんな熱気をものともせず高所にある観覧席から手を振るのは頭の横でピンク色の髪を束ねた少女……この国の【お姫様】である【ドロップ】だ。

 手に持った扇を優雅に扇ぎながら人々を眺めており、その様子に王国民たちは感心と羨望の眼差しを向けていた。

 そんな余裕綽々な表情の【ドロップ】だが内心は……


 

 (うわわわわわっ!?

 こんなにいっぱい集まっちゃったよ!?

 正直この闘技場のスペースがガラガラになるかな~とか思ってたけど、むしろキュンキュンになっちゃったね……

 どうしてこんなに集まっちゃったの!?!?!?)



 【ドロップ】が想定した以上の人が集まり、高所にいるのにも関わらず伝わってくる熱気や歓声に戸惑いを隠せないようだ。

 ……とは言うものの、隠せていないのは自分の内心だけのことで外面には一ミリもその様子を出していないのは相変わらず神憑りしたポーカーフェイスである。



 「……コホン、【ドロップ】姫様そろそろ開会の挨拶をお願いします。

 王国の民たちや異郷の冒険者たちが【ドロップ】姫様のお言葉を待ちわびているおりますよ。

 (くっ、ただの【わがままお姫様】の戯れに付き合うだけのつもりが……まさかここまで大がかりな催しになってしまうとは……! これは胃が痛い)」



 ファートス王国のお姫様である【ドロップ】に付き添うのは王様から【ドロップ】のお目付け役として期待されている大臣の【サンマー=ジュージカン】である。

 相変わらずお腹の辺りを擦りながら自分を労っている様子だ。

 その後ろにも【ドロップ】と【サンマー=ジュージカン】の護衛が何人かおり、ほとんどがこの【サンマー=ジュージカン】が統括する兵士たちである。

 その中に一人だけ【ドロップ】管轄の者がいた。

 金属鎧を装備した国宝【聖鞘ファートス】を持つ【ドロップ】の騎士……【ペンネドラゴ】だ。


 ただ、この場での発言を許されているのは公的地位の高いお姫様の【ドロップ】と大臣の【サンマー=ジュージカン】だけであり、後ろで控えているだけとなっている。



 (……それでも【ドロップ】姫様を守れるなら本望!

 プレイヤーでこの場に立てているのは俺だけだからこそ、代表として気を引き締めないと!)


 内心と外面が一致しない【ドロップ】とは異なり、【ペンネドラゴ】はその緊張感とやる気が全身から溢れ出てきており周囲の護衛たちの士気も自然と高まっているらしい。


 そんな空気の中、これまで沈黙を保っていた今回の主催者である【ドロップ】がとうとう口を開き言葉を漏らした。



 「偉大なるワタクシたちのファートス王国の民たちよ、今日はよく集まってくださいましたわ!

 この国の姫であるワタクシ【ドロップ】が募る栄誉ある私兵団へと参加権利をかけた戦いを見られることに感謝するといいですわよ!

 高貴なる戦いは本来高貴なる者のみが参加し、観戦できるもの……ですがワタクシ【わがまま】ですので、それを気にせず皆様に見せてしまいますわよ!

 泣いてワタクシに感謝することですわ!

 おーほっほっほっ!」


 (【わがままお姫様】……ってこれでいいかな?

 中々役に入り込むのは難しいけど、何だか最近は楽しくなってきたからもっとクオリティをあげたいよね!

 それでみんなを振り回しちゃうのも悪くないもんね!)


 

 観客も多く視線を感じて困惑しつつも、一方で昂っていた【ドロップ】は目一杯の【わがままお姫様】を演じ、開会の言葉を伝え終えることが出来たようだ。

 その言葉を聞いた参加者や観客たちの反応はというと……




 「うおおおおお姫様!!!!!」

 「ありがとうございます!ありがとうございます!」

 「小悪魔っぽい感じがいいよね~」

 「絶対優勝する絶対優勝する!!」

 「ロリ巨乳姫様最高だぁぁぁぁぁ」

 「おれ、このイベントで優勝したら告白する予定なんだ……」

 「この半分見下した感じのセリフ……いいよねっ!」

 「「「「「わかる」」」」」



 会場のボルテージが開催前から最高潮に達していたため、【ドロップ】の【わがままお姫様】っぷりも大盛況の中受け入れられたようである。

 NPCとしてプレイヤーたちから認識されているというのもあって、そのキャラクター付けが通常よりも受け入れられやすくなっていたということも幸いしている。


 

 「コホン、これからは私……ファートス王国の大臣を務めている【サンマー=ジュージカン】から今回の選抜方法について説明させてもらおう。

 ルールとしては予選ブロック、決勝ラウンド共にバトルロワイヤル形式で執り行う。

 選抜基準に身分やこれまでの罪状など全て問わないという【ドロップ】姫様からの要望のため、純粋な力で栄えある【ドロップ】姫様の私兵団加入の座を勝ち取るといいだろう!

 ちなみにだが、私は軍事にも少し明るいのでここで【ドロップ】姫様からの選抜に漏れてしまった場合であっても、私の目に止まる活躍をした者については別途【ドロップ】姫様に口添えしておくので最後まで諦めず闘志と強さを誇示するのだ!

 さあ、予選第一ブロックの参加者は中央へ集結し、戦いの準備を開始せよ!」


 その【サンマー=ジュージカン】による説明が終わると、予選第一ブロックの参加者以外は強制的に控え室へと転送され残されたのはこれから戦うものたちだけとなっていた。








 (……そろそろ私も準備をしないとね!

 今からワクワクドキドキだよ、ちゃんとやれるか不安だけどここで頑張らないと折角の機会が無駄になっちゃうから全力でいかないとね!

 やるぞ~!)


 そして、観覧席から見下ろす【ドロップ】も何やら怪しい動きを始めるのであった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ