37話 いきなり方針決定!
「さ~て、私兵団を作るって決めたけど今のところメンバーは【ペンネドラゴン】さんと【魔術師】の私だけなんだよね……
NPCが多いとボロが出ちゃいそうだしプレイヤーで固めたい……かな?」
【サンマー=ジュージカン】との会話を終えて私兵団を手元に作ることを決めた【ドロップ】。
しかし【わがままお姫様】というロールプレイを維持して利用していくと決めた以上、ボロを出すことを恐れていた。
そのため、ファートス王国の事情に詳しいNPCではなくある程度のことなら『そういうものなんだろう』と受け流してくれそうなプレイヤーを多めでメンバーを構成したいらしい。
【ドロップ】にしては珍しく理性的だが、それにはある問題点を孕んでいた。
「どうやって指名手配犯を組み入れる理由を決めようかな……
あ~ん、難しいよ!! もっと【サンマー=ジュージカン】さんに聞いておけば良かった……」
そこから先が思い浮かばずベッドの上で足をバタバタさせながら身悶えさせていたのだ!
これまで【ドロップ】はかなりの無茶をしながら物事を動かしてきたが、流れに流されるまま動いてきた節がある。
そのため、流れのない今どのように動いたらいいのか迷走中……というわけだ。
つまり、この後【ドロップ】が考えるのはその流れを作り出すことで……?
「あっ、そうだ!
【プリンセスドミネイト】の内容見てみようかな!
そろそろ新しいクエストが追加されててもおかしくないもんね……」
そうしてウインドウ画面を呼び出しスキル詳細を確認し始めた【ドロップ】。
そこに記されていたのは【ドロップ】が予想したように新たな公式イベントの候補であった!
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【プリンセスドミネイト】
●プレイヤー全体にイベントを発生させるスキル
国内での自身の権力の影響力によって開催できるイベントが変化する。このスキルで開催されたイベントは国内情勢を変化させます。
現在開催できるイベント
【わがまま姫様の腕自慢募集】
戦闘職優遇イベント
ファートス王国の【お姫様】である【ドロップ】が何やら腕っぷしに自信のある冒険者を集めている様子……?
腕っぷしに自信のあるプレイヤーは【ドロップ】の計画に組み込まれることがあります。
影響……戦闘職のファートス王国での扱いが成果によって変化します。
王国での【ドロップ】の権力が成果によって変化します。
【わがまま姫様の職人募集】
生産職優遇イベント
ファートス王国の【お姫様】である【ドロップ】が何やら技術力に自信のある冒険者を集めている様子……?
技術力に自信のあるプレイヤーは【ドロップ】の計画に組み込まれることがあります。
影響……生産職のファートス王国での扱いが変化します。
王国での【ドロップ】の権力が成果によって変化します。
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「そういえば前の【プリンセスドミネイト】では騎士団結成のイベントがあったっけ……?
結局【姫の謀略】選択肢の【わがまま姫様の魔獣防衛戦線】を選んだから開催出来なかったけど、前に出来なかったから今回も似たような選択肢が出てきたのかな?
ラッキーだね!」
【ドロップ】が戦闘職系の公式イベントを開催し続けているためそちらは【ドロップ】の意図に近いものが提示されやすくなっているのだが、一方で一度も選ばれていない生産職系の公式イベントは戦闘職系のものに沿う形で変化し続けている。
本当はそのような仕組みとなっているのだが【ドロップ】本人はただ運が良かったとしか認識していないようである。
深く考えないことが不幸に繋がることもあれば幸運なこともある。
【ドロップ】の場合はただ幸運に傾いている、それだけなのだ。
「とりあえずこれで私兵団のメンバーを募集すればなんとかなるかな?
指名手配犯のリストは……プレイヤーキラー隊とか作ってそこに配属するためってことにしようかな!
人が集まればグループ分け出来そうだし!
……でも、【サンマー=ジュージカン】さんが『人数を抑えた方がいい』って言ってたから厳しく審査しないとね!」
【ドロップ】は方針を決めたようである。
そして、事前に【サンマー=ジュージカン】からアドバイスをもらっていたため人数を絞ることを決意したようだ。
中年大臣の儚い抵抗はここで意味を成したのだ!
「どれくらい人が集まるか分からないけど、せっかくだし派手に演出したいよね!
【わがままお姫様】のことなら多少無理でも聞いてくれそうだし……そうだ! 闘技場とか借りちゃおうかな!
後で【サンマー=ジュージカン】さんにお願いしちゃお!」
なお、再び中年大臣に降りかかる悪夢。
【カノン】といい、【サンマー=ジュージカン】といい【ドロップ】に振り回され続けるのは災難であるが、それが仕事であるため逃れられないのである……




