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いきなりお姫様!~VRMMOの世界で一人だけ悪役令嬢NPCに擬態して政略ゲーに勤しむことになりました!~  作者: 杞憂
強くてニューゲーム編

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36話 いきなり大臣便乗!

 (あっ、ようやく見つけたよ!

 【サンマー=ジュージカン】さんはっけーん!

 見失う前に話しかけちゃおう!)


 「ご機嫌麗しゅう……お時間よろしくて?」



 執拗に一時間以上かけて見つけたのは城内に潜んでいた【サンマー=ジュージカン】大臣であった。

 その【サンマー=ジュージカン】に声をかけた【ドロップ】であったが、その歓喜の表情を得意のポーカーフェイスで微塵も出さずに……あくまでも冷静な外面で話しかけていた。

 この内面と外面のギャップはもはや天賦の才がないと実現できないであろう。



 「おや、【ドロップ】姫様!

 これはこれはご丁寧に……この【サンマー=ジュージカン】めに何か用事でも?(くっ、見つけられてしまった……まさかここまで探しに来るなんて想定していなかった……)」



 それに対して【サンマー=ジュージカン】は若干顔が引きつりつつも何とか平静を保ちながら【ドロップ】へと挨拶を済ましていた。

 大臣という立場上、外交のため感情を隠して交渉をすることもあるのだがそれでも天性の才能を持つ【ドロップ】のポーカーフェイスと比べると見劣りしてしまうのだ。

 それでも決して【サンマー=ジュージカン】の能力が低いわけではないのであしからず。



 「実はワタクシ指名手配犯のリストをメイドの【カノン】に集めさせているのですわ!

 【サンマー=ジュージカン】様はこれからワタクシがやろうとしていることに察しがつきまして?」


 【ドロップ】はちょっと意地悪な形で【サンマー=ジュージカン】へと質問を投げかけた。

 指名手配犯のリストを取り寄せた理由は【魔術師】のアカウントを自由に動かすためだが、その派生方法が【ドロップ】では思いつかなかったので【サンマー=ジュージカン】に深読みしてもらおうと考えたのだ!

 

 ……どうしてそんな回りくどいことを思い付くのに直接的な方法が思いつかないのか疑問が残るところだが、それはおそらく【ドロップ】の向き不向きなのだろう。

 人を使うことだけはなんとかなるようだ!



  「(指名手配犯のリストだと……!?

 何故そのような物騒なものを取り寄せたのだ、この【わがままお姫様】は……

 一つ考えられるのは指名手配犯の一掃だろうが【わがままお姫様】が自分の手元に利益が残らないもののために基本的には動かないはず。

 流石に前の魔獣戦線の時は動いてくれていたが国の危機は例外だ。

 それなら……)

 ……指名手配犯を集めて私兵団をお作りになられるのでしょうか?」



 【サンマー=ジュージカン】はしばらく逡巡した後にそのような結論を導きだし【ドロップ】へと解答した。

 


 「何故そのように思いまして?

 一国に仕える大臣として【サンマー=ジュージカン】様が出した結論をどのように導きだしたのか興味がありましてよ!」


 「(くっ、我らが【わがままお姫様】は結論だけでは満足してくれないか。

 なんとも欲張りな【お姫様】だが素直に答えるべきだろうか……多少カマをかけつつ様子を見てみるべきだな)

 まずは異郷の冒険者の中から【騎士】を選定したところから始まります。

 そこから正義に燃える者を選び徴用することによって、誰でも【ドロップ】様に仕えることが出来るのを見せたのでしょう。

 そして指名手配犯たちをその【騎士】に統率させつつ手綱を握らせて、国の治安を良好にさせながら自ら動かしやすい私兵団を構築するというものでありましょうか?」


 

 (私兵団! 面白いじゃん!

 このオジサンやっぱり役立つよね~!

 そんなアイディアが出てくるのは頭が柔らかいってことだもんね!

 ……まぁ私は何も考えてなかったから完全に的外れな予想なんだけど、その路線で【魔術師】のアバターを私の私兵にしちゃおう!)


 「流石はファートス王国が誇る名大臣【サンマー=ジュージカン】様ですわ!

 ワタクシの考えをお見通しておりましたのは慧眼でしてよ!」



 そんな【サンマー=ジュージカン】の考えを乗っ取るかのごとく、【ドロップ】は便乗して肯定していった。

 あたかも自分もそのように考えていたのように振る舞いだした【ドロップ】は完全に調子に乗っていた。

 内心と表情を切り離して表現できる【ドロップ】であるが今回はあえて一致させていくことで【サンマー=ジュージカン】を労っているのだ!



 「ふむ……それであれば事前にある程度規模や選定基準を決めておくといいでしょう。

 【ドロップ】様は経験がないと思いますが兵というのは人が増えれば増えるほど迷走していくものなので、私兵ということであればなおのこと少数精鋭で確実に自分の意図通りに動かせる程度がいいですな」


 立場上兵を動かす機会が多い【サンマー=ジュージカン】は実感が籠ったようにそう呟いて【ドロップ】へとアドバイスをしていった。

 その中には自分の経験を語りたかったというのもあるだろうが、【ドロップ】が私兵団に加える人数や人選をむちゃくにしてしまうのを防ぎたかったのだろう。

 【サンマー=ジュージカン】は【ドロップ】の面倒を見る任についているので、後々自分が後処理で困らないようにしたかったという意図もあるはずだ。




 中年大臣の淡い抵抗なのだった……

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