表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いきなりお姫様!~VRMMOの世界で一人だけ悪役令嬢NPCに擬態して政略ゲーに勤しむことになりました!~  作者: 杞憂
アバター奪還編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/48

31話 いきなり譲歩交渉!

 「それで私のアバターを奪った貴女がどうして今さら出てきたの?

 出来ればそのアバター返して欲しいんだけど!」


    

 【ドロップ】は若干怒気を含ませた言葉を謎の女性プレイヤーに投げかけていく。

 質問も兼ねているのだろうが、それよりも【ドロップ】は自分が丹精込めて作り上げたアバターの返却を優先して要求している。


 それに対して謎の女性プレイヤーは口を尖らせながら【ドロップ】に言葉を返していく。



 「大方やるべきことも終えたし別に返してもいいんだが……ただ返すだけじゃ面白くないよな?

 俺の雇い主も相応の『面白い』パフォーマンスを求めてきてるから、ここで『はいどうぞ』と返すのはある意味契約違反になるし尚更な!

 ……あっ、あと一々貴女って言われるのも癪だから俺のことは……そうだな【アイ】とでも呼んでくれ」


 「むっ、その【アイ】さんはどうしたらその身体を返してくれるの?

 雇い主とか契約とかよく分からないけど、元々は私のものなんだからねっ!」



 【アイ】と名乗るプレイヤーはあくまでも事情があってしたことであるのを強調しつつ、【ドロップ】の感情の矛先を散らそうとしている。

 


 「さて……そうだな……

 この壁の向こうにお前の騎士がいるだろ?

 あいつと組んで俺を倒してみろよ、それが出来たらこの身体を返すことも考えてやってもいいかもな。

 それに、今回のイベントの首謀者は俺だ!

 俺を倒せば魔物の襲撃は止まるし一石二鳥だろ?」


 【アイ】は自身を倒す名目を【ドロップ】にこれでもかと与えてきた。

 そんな【アイ】に対して【ドロップ】は何処か違和感を覚えたようで……?



 (この人、私から盗んだアバターに全く執着してないよね?

 何か企んでいるのかな……?

 むしろ何だか私に返す口実をわざわざ作ってくれたようにも思えるけど……いやいや、それでも私のアバターを盗んだ人には変わらないし【ペンネドラゴ】さんと一緒に倒すしかないよねっ!)



 「その表情……俺の提案を受け入れるって形で問題ないな?

 だが俺が負けたときの条件はつけたのに俺が勝ったときのメリットって何もないよな……

 ……そうだ、このゲーム引退してくれよ!

 それくらいの覚悟を見せてくれないと俺がその勝負を受けるだけの理由付けが出来ないからな!

 うんうん、いい条件だな~」


 「えぇっ!?

 いっ、引退!?

 それはいくらなんでも横暴だよっ!

 私被害者なのに私の方がペナルティが重すぎるよ……」


 

 【ドロップ】の言うように【アイ】との勝負のペナルティは【ドロップ】の方に比重が重くなっており、一見すると【ドロップ】に不利なように思える。

 だがしかし……



 「そりゃそうだろ!

 俺が提案したのは【ドロップ】とその騎士のペアVS俺……【アイ】一人っていう俺が人数的に不利な戦いだからな!

 ……ペナルティを同じにしてお前単体で俺に挑んできてもいいけど、流石にお前のレベルで俺に勝てるとは思えないが。

 どうする?」


 「うっ、たしかに……

 何で私のレベルを知っているのか分からないけど、さっき【アイ】さんは30レベルの魔法を使っていたしレベル差が酷いよね。

 うぅ~ん、悔しいけど言う通りにするしかないじゃん!」


 「お前に付き合わせる騎士にペナルティを課すわけじゃないんだ、最大限の譲歩だと思ってくれよ。

 これ以上は俺も引き下がれないからな!」



 【アイ】による譲歩は【ペンネドラゴ】と【ドロップ】のペアと【アイ】一人による二対一の戦いを許可するというものだった。

 レベルが少なく見積もっても20ほど差がある【アイ】と【ドロップ】ではまともな戦いにすらならず平等な賭けにもならないため、そこに【ドロップ】の従者である【ペンネドラゴ】が加わることがいいバランスになると判断してのことである。


 スキル構成的に攻撃に移る手段に乏しい【ドロップ】にとっては渡りに船であると言えるだろう。

 だが、いくらレベル差があるとはいえ人数の差で不利になってしまう【アイ】であるが、その顔に不安な表情は一切浮かび上がっていなかった。

 【ドロップ】のようにポーカーフェイスが異様に上手いというわけでなければ、自分が負ける可能性を一切考えていないほど自信があるという証明にもなる。



 「さーて、そろそろ【アイスプリズンーLV30】【ライトプリズンーLV30】のスキルチェインで生み出した防壁の時間が切れるころだ。

 これが切れたらお前の騎士が俺に切りかかってくるだろうから、その時が戦いの開始だ。

 お前がご丁寧にNPCのロールプレイをしながらこれまで過ごしてきたことは知っているから、それに話を合わせてやるよ。

 テキトーに俺と戦う理由をでっち上げてくれたら俺もやりやすいし。

 それに、お前の騎士はトッププレイヤーだ。

 俺はプレイヤーキラーだからな、どうせなら弱いやつよりも強いやつと心置きなくやり合いたいってのもある。

 この辺の利害の一致があるからお前に譲歩してやってるんだから俺に感謝しろよ?」





 「……いや、しないけどねっ!」


 【ドロップ】がそう叫んだ直後、氷と光の防壁が崩れ落ちていき戦いの火蓋が切って落とされたのだった!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ