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いきなりお姫様!~VRMMOの世界で一人だけ悪役令嬢NPCに擬態して政略ゲーに勤しむことになりました!~  作者: 杞憂
アバター奪還編

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20話 いきなりステータスポイント振り!

 「大変なクエストだったな~

 まさか他の国の【お姫様】たちに会えるなんて思って無かったけど、みんな可愛かったよ!

 私もあんな風に格好良く可愛くなれるように頑張らないとね!」


 【ツヴァイ】伯爵による集まりが終わり、ファートス王国の城に戻ってきた【ドロップ】は自分に割り当てられている寝室で独り言を呟いていた。

 【ドロップ】が自ら発したクエストの最中には常に周りに他のプレイヤーやNPCたちがいたため、気の休まるタイミングがほとんどなかった。

 しかし、【ファートス王国】の【お姫様】である【ドロップ】の個室に入ってこられる人物など限られているため寛げているのだ。


 そのため独り言が増えているのは仕方ないだろう。


 「移動の途中とかにスキルもいっぱい使ったし、レベルも上がったからステータスの割り振りとかもしたいよね!

 スキルは【拡声】と【威圧】しか使ってなかったけど、そろそろサポート役じゃなくて自分でも直接モンスターを倒したいな~

 そのためにも今のステータスを見直そう!

 うん、そうしよう!」


 少し興奮気味に喋る【ドロップ】。

 腕をブンブンと振り回しながらモンスターを倒すための動作を実演している、気分は立派な女冒険者のつもり……だろうが、端から見るとただをこねている少女にしか見えない。



 そんな【ドロップ】が目を煌めかせながらステータスを開こうとしている。

 それもそのはず、周りに人がいる状態ではプレイヤーであるということがバレないようにステータス画面を開けなかったからなのである。

 変に怪しまれて【ドロップ】が本当の【お姫様】でないとバレてしまうと立場が危うくなるからだ。


 「いくよ!

 ステータスオープン!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



キャラクター名:ドロップ



●性別:女性


●種族:ヒューマン


●ジョブ:お姫様


●レベル:10


●ステータス(残りステータスポイント:28)


筋力:2


防御:3


知力:10


精神:10


敏捷:3


器用:10



●スキル


【拡声ーLV3】


【威圧ーLV7】


【機装展開ーLV1】



●ジョブスキル


【プリンセスドミネイト】


【姫のわがまま】



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「やっぱり基本ステータス低いよね……

 【お姫様】のジョブのステータス補正って戦闘向けじゃないよ~!

 知力、精神、器用が上がってもどうやって戦ったらいいのか分からないね……」


 そう、【お姫様】はそもそも戦闘をするための【ジョブ】ではない。

 内政や見映えを重視した動きであれば器用さで補えるであろうが、基本的に攻撃力や防御力、そして素早さはかなり抑えられているためステータスの割り振り無しでは一人で戦闘を行うことは難しいであろう。

 

 そもそも、【お姫様】が一人で戦うような場面があってはいけないのだが、【ドロップ】はそのことに気がついていないようだ。

 


 「うーん、やっぱり戦えるようにするためには筋力や防御、敏捷を上げたいけど長所の知力、精神、器用を伸ばした方が今後のためになりそうだし……

 うーん、悩ましいね!?

 うぅぅぅぅぅ、どうしよ~!!」


 頭を捻りながらうめき声を上げている【ドロップ】。

 とても知性的とは思えない声を上げている様子を見れば、他の人物は何事かと案ずるに違いない。

 【ツヴァイ】伯爵のところで自慢のポーカーフェイスをフル稼働しながら大立ち回りしていた者と同じ人物にはとても思えないからである。

 しかし何を隠そう、この姿こそが【ドロップ】の素の姿なのだ!

 


 「悩んだときには均等に振り分ける方がいいのかな?

 たしか均等に振り分けることを名古屋振りって言うって聞いたことがあるけど、私名古屋人じゃないし……

 やめた方がいいのかな?

 いや、でも悪くないとは思うんだよね……」


 近くで聞いている人がいれば色々とツッコミたくなるような呟きであるが、均等にステータスを振り分けること自体は悪い発想ではない。

 全体的に強くなるということは無難であり、得意不得意の格差は残るものの長所と短所を同時に鍛え上げられる。

 後々自分に足りないと思ったステータスも事前に多少上げていれば、補うことがやりやすいのだ。

 アイテムしかり、ステータスポイントを追加で使うなり、スキルを使うなり……と方法は様々であるがマイナス分をゼロ地点まで押し上げることは可能となる。


 ゲームに熟練した者であれば多少ステータスに偏りを持たせるのだが、慣れていない場合は均等に割り振っても問題ないであろう。

 



 しかし、【ドロップ】はその時自分がこのゲームを始める時に何をやりたかったのか思い出した。


 「そうだよ!

 私は【ジョブ】は【魔術師】だったはずだし、魔法も【氷魔法】と【光魔法】を選んでこのゲームを始める予定だったんだ!

 魔法は使えないけど……ステータスはいつ魔法を覚えても良いようにしておきたいよね!

 えーっと、【魔術師】に必要なステータスは……」


 【ドロップ】にしては珍しく掲示板を開いた。

 そして、ステータスについて調べていき……



ーーーーーーーーーーーーー


12:つっきー

魔法を使うには【知力】が重要だよ()

やっぱりこれを上げないと話にならないよ()


ーーーーーーーーーーーーー



 「あっ、これだわ!

 ……魔法を使うには【知力】が重要なんだ!

 それなら全部【知力】にステータスを振っちゃお!

 こういう時は思いっきりが大切だからね~!」


 なんと、【ドロップ】は何をトチ狂ってしまったのか先程までの均等振りとは真逆のステータス【知力】全振りをすぐさま実行してしまったのである。


 そうして変化したステータスは……



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



キャラクター名:ドロップ



●性別:女性


●種族:ヒューマン


●ジョブ:お姫様


●レベル:10


●ステータス(残りステータスポイント:0)


筋力:2


防御:3


知力:38


精神:10


敏捷:3


器用:10



●スキル


【拡声ーLV3】


【威圧ーLV7】


【機装展開ーLV1】



●ジョブスキル


【プリンセスドミネイト】


【姫のわがまま】


【姫の謀略】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 「ふっふっふっ、何だか賢くなった気がするよ!

 知力38!

 筋力の19倍もあるからもしかして今の私は天才になっちゃったのでは!?

 これで学校のテストも満点間違いなしだよっ!」



 そんなことはあり得ない。

 あくまでも知力のステータスはスキルの取得や威力などに関わってくるステータスであり、プレイヤー本人を賢くするものでないからである。


 しかし、ノリで知力を上げたばかりでテンションの高い【ドロップ】は自分が賢くなったと信じてやまないため、さらに上機嫌になり鼻歌まで歌っている様子だ。

 

 また、知力のステータスが重要だと書いていた掲示板では、他にも色々な意見が交わされていたため【ドロップ】が見た意見だけが正しいわけではなかったのだが、それを【ドロップ】本人が知ることはなかったのである……




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