白猫くんは撫でられたい
僕はシロ。よくわからないけど頭を撫でてくれるおっきなのがそう呼んでた。僕はいつものように遊びに行く。この時間帯ならあの子がいるはずだし、頭を撫でてくれるかも!
るんるんるーん!
るんるんるーん!
今日は遊んでくれるかな。
あ、そうだ! 何かお土産を持っていこ!
でもこの前チューチューを持っていったらすっごい声を上げられたな。逃げちゃったし、もしかしたら嫌いだったかも。
あ、じゃあチュンチョンを捕まえよ! チューチューは美味しいけど、ちょっと見た目があれだし。同じぐらい美味しいチュンチョンなら喜ぶかも!
ふふふーんっ!
ふふふーんっ!
ふふふー……んっ!?
「んっ?」
んなっ! なんでこんな所に、ヨボヨボがいるんだよ!
こいつ、僕を見た途端に怒鳴って横腹を蹴ってくる奴だし!
や、やばい。これは逃げなきゃ。逃げなきゃ蹴られる。で、でもあの子がこの先にいるし、頭撫でられたいし。
くっ、こうなれば──
「シャー!」
「あぁ? やる気か?」
お前を殺してでも通ってやるー!
あっ、でもヨボヨボの急所ってどこだろ?
とにかく攻撃だ! 引っかけばなんか倒せると思う。
「シャー!」
「うおっ! 何しやがるクソ猫!」
「キシャー!」
あの子に会うんだ!
頭を撫で撫でしてもらうんだ!
僕は、僕は、褒めてもらうんだー!
「っせぇ!」
うぎゃあ!
い、一体何が起きたんだ?
すっごい力を込めて飛んだのに、とんでもないところから足が伸びた。なんだよこのヨボヨボ、こんなに足が長かったのか。というかこいつヨボヨボだよね。なんでこんなに強く蹴れるんだよー!
うぅっ、痛い。痛すぎて立てない。足がガクガクする。
「くくくっ、年貢の納め時だな」
やられる!
く、くそー。せっかくここまで来たのに。ああ、ごめんよ。チュンチョンをあげようと思ったのに。
くそ、くそ、くそー!
「じいちゃーん、ご飯ができたよー」
「ん? お、そうかー。すぐ行くぞー」
ヨボヨボがどっかに行く。あれ、僕助かったのか?
「あ、いたいた。ダメだよ、じいちゃんに勝負を挑んじゃ」
誰かが声をかけてきた。そこにはなんと、いつも頭を撫で撫でしてくれるあの子だ。
ああ、いつものように優しく笑ってる。そうだよ、この笑顔を僕は見たかったんだよ。でもチュンチョンを用意できなかった。くそ、これも全部ヨボヨボのせいだ。あいつがいなかったらー!
「早く帰るんだよ。あ、ちゃんと身体を休めてね」
そう言って僕の頭を撫で撫でしてくれた。
ああ、くすぐったい。でもいい感じに気持ちいいし、でもムズムズもする。
そこそこ、そこがいいんだ。いいんだよー!
「じゃあね!」
あ、終わり?
もう終わりなの?
帰っちゃうの。もっと撫でてよー。
「にゃー」
帰っちゃった。
今日はもうないのか。うーん、残念。
まあ、仕方ないかな。撫でてくれただけでもよかったかも。
よーし、次はチュンチョンを捕まえて持ってくるぞー! 今度はもっと長く撫で撫でしてもらうぞー!
やってやるぞー!