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天災 志操堅固  作者: 蒼蕣
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本当の自分

「んじゃ」

湊はふと、白いレースのカーテン越しに見えた夕日を眺めた。

「ご飯食べてかなくていいの?」

「ああ。もう帰るわ」

そう言って湊が帰るのを芽衣は引き止めた。

「ねえ、どっかデートに行かない?」

「言っただろ、来週テストがあんだって」

「いいじゃない、一日ぐらい。優等生なんでしょ」

「その優等生ぶりをキープするのに勉強するんだよ」

湊は再び歩き始めた。

「あっそ。じゃあいいわよ」

芽衣はふてくされていた。

湊は小さなため息をつくと、その場に留まった。

「テストが終わったらな」

「うん。楽しみにしてるね」

芽衣はにっこりと笑って、去っていく湊を見送った。


「お帰りなさい。またみんなで勉強してたの?」

湊が静かに家に帰り、リビングに続く扉を開けると、母親が夕飯の仕込みをしていた。

「ああ」

湊は芽衣と付き合っていることをまだ親には話しておらず、芽衣の家に寄る時はいつも友達(男)と学校で居残り勉強をしているのだと嘘をついていた。

家族にも自分の本心を切り出せない。誰にも頼れない寂しい感情に見舞われる日々、それを芽衣が壊してくれた。

いつかは腹を割って話そうと何度思ったことか。しかしいざ切り出そうとすると、緊張からか恥ずかしさからか口を噤んでしまう。クラスの人たちにも自分たちの関係はあまり知られていない。よく、私彼と付き合ったんだなんて雑談をよく耳にする。その度にいいなぁ、私も欲しいななんて羨ましがれたり、おめでとうと言われて祝福を受ける。他人から羨ましく見られるのは、いい気がするが、それ以上にお熱いね、お二人さんなどと男子から冷やかされることが目に見えている。母親も同様だろう。そういうことに関しては無邪気な子供のようにとことん追求してくる。それは嫌だ。だからむやみに他人に言えなかった。

「母さん明日おばあちゃんのお見舞いに行って、月曜日に帰って来るから。だからこの週末一人だからね」

「ああ」

湊のおばあさんは鳥取の病院に入院しており、月に一回湊の母親がお見舞いに行っているのであった。

湊の父親は長期の海外出張で、今週末は湊一人で過ごすことになった。

せっかくだったらこの機に芽衣とデートをすればよかったと悔やんだ。

「何か作り置きしておいた方がいい?」

「いや、自分でも簡単なの作れるし、いいよ」

何より芽衣を週末に呼べば、言わなくてもご飯を作ってくれるのを湊は知っていた。

「そ、じゃあお留守番よろしくね」

「はいはい」

湊はそう言うと静かに自室のベッドに飛び込んだ。

「疲れてるはずなのに…」

湊はふと芽衣の笑顔を思い浮かべた。

すると湊の顔も緩んだ。

「ご飯できてるわよ」

母親の声で正気(クールな自分)を取り戻した。

「はーい」

しかし湊は上機嫌が完全に抜け切らない状態で母親の作った和風ハンバーグが待つ、リビングダイニングへ向かった。

みなさん、十月に入りましたね。今だにコロナが収束しないこのご時世どうお過ごしですか。コロナによって変えられた生活、人との接触をなるべく避ける生活には慣れましたか。私としてはやはり人と直接接触しないと人との関係性を持てないと思っているので、このご時世になってからはより一層孤独を噛み締めています。物書きは学校が始まったのでやめていますが、一週間に一回の投稿、そしてそれを毎週読んでくれてる皆さんが多少私の孤独を解放してくれますが、正直まだまだ寂しいです。もっと皆さんとお話ししたいんです。私も自己顕示欲が満たされていません。そこで、新たな企画を発足しようと思います。企画といってもそんな大層なものではなく、新しい物語を投稿しようと思います。いわゆる動画配信サービスのサブチャンネル的な役割で、私の経歴や自慢話、みなさんからいただいた質問に対し自伝のような形でただ自分を見せびらかすという企画です。投稿は十二月ごろを予定しています。興味のある方はお楽しみにどうぞ。

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