表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/20

私がみつけたもの

少しだけ改稿(4/21)



□□□□□□□□□□




 蒼い、青い月の夜。僕は彼女と出会った。


 どれだけ時が経とうが、この出会いは、生涯、忘れることはないだろう。



 そして、僕が生き続ける限り、この昔話を語り継がせる予定だ。


 誰にも信じられずとも、何度も救ってくれた彼女のために。




□□□□□□□□□□




 話に入る前に、予め伝えて置くべき事がある。この物語は実際にあったことだ。



 けど、全部が全部、本当に起きた話なのかと問われると躊躇ってしまう。何故ならば、彼の身に起きた出来事は、信じ難いほどに不思議な出来事だらけだ。こうして筆を執っている私自身でさえ、ソレを偶然見つけるまで法螺話だと思っていた彼の昔話だ。

 詳しく聞こうにも彼はいない。少し前に旅立たれてしまった。

 こうなる前に真面目に聞いとけば良かったと後悔している。

 私が見つけたソレは、それほどの物だった。



 そのソレと言うのが、沢山の古い日記である。



 読んで見ると、曽祖父が、丁度、私ぐらいの歳に書き記したものだった。

 その頃の曽祖父はとても几帳面な性格だったのだろうか、それとも、それぐらいしかやる事が無かったのだろうか、その日にあった出来事を毎日のように書いてある。朝食の献立、よく通う大衆酒場の様子、そこで出会った友人との会話の内容、その時の心境とか仕草とか、どうでもいいことまで含めて詳細に書いてある。

 それだけでも、昔の庶民がどのように暮らしていたかが分かる貴重な文献だ。

 が、曽祖父はそれ以上のものを残していた。



 幼い頃の私に言い聞かせた曽祖父の昔話。


 曽祖父がミス・ヴァンパイアと、その友人達と共に解決した数々の冒険奇譚だ。



 ミス・ヴァンパイア。

 彼女の名前を見つけた瞬間、胸が早鐘のように踊った。黒いパイプ煙草と黒い杖を肌身離さず持ち歩き、御伽噺に現れる吸血鬼のように血液を好むミステリアスな彼女は、曽祖父を助けたり、導いたり、裏から手を回したりと、ほぼ全ての話に関わっている。

 そのページに書かれていた彼女も凄まじい。

 曽祖父が巨大な敵に苦戦している最中、何処からとも無く颯爽と現れ、瞬く間に倒してしまうのだ。

 その滅茶苦茶な活躍っぷりが法螺話だと思っていた一因だけど、この日記には聞いた通りの姿が書いてあった。



 勿論、彼女だけではない。友人達の活躍も残してある。


 ガンスリンガーの猫人。


 無口だけど心優しい機械人形。


 知らない事がないと豪語する妖精の子供。


 毒術に長けた女王の双子の弟。


 従者であり秘書でもある犬人。


 その友人達はミス・ヴァンパイアほどではないけど、不思議な技術を持っていた。



 気付けば、私は日記を通して、曽祖父達の跡を追っていた。


 もっと、ミス・ヴァンパイアのことが知りたい。


 もっと、その友人達のことを知りたい。


 もっと、曽祖父のことが知りたい。



 そんな気持ちが私を動かす。

 年数が書いていないため、どの日記が一番古いのか新しいのか分からない。何故か日本語ではなく古い英語で書かれてあるページが多いため、何と書いてあるのか分からない。不可解な用語があって分からない。

 分からないことだらけでも、この日記は私を突き動かす。



 これから投稿して行く物は、現時点で私が調査と翻訳が終わっている一部だ。

 誤字脱字、意味不明な言葉は多々あるだろう。きっと、矛盾している言葉もあるだろう。無い筈が無い。推敲してから投稿すると言っても、今まで小説とか書いたことがない私が、日記通りの展開で書いたり、昔話を思い出しながら書いているのだ。

 そう思うと恥かしくなる。



 でも、自己満足で終わらせるには勿体無い。

 他の人にも知って貰いたい。



 投稿することにより、彼女達の子孫に出会えるかも知れない。


 ひょっとしたら、私が知らない曽祖父達の話を聞くことが出来るかも知れない。




 そうなることを私は心から願っている。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ