表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/67

2



「せ、先生!?」


 黒は黒でも神父服を纏う若頭は、いや、その……、悪戯が見つかった子供みたいに頭を掻く。胸元のロザリオ、純君と同一デザインの聖具の錆も風格も、一朝一夕に顕れた物ではない。

「雲雀、君?どうしたの、その格好」

「あー、ええと……実は俺、生家が教会なんすよ。親父の援助で、一応神学校も出てて」

 くしゃくしゃっ。聖水を振り掛けたのか、幾分湿った純君の前髪を撫でる。

「今朝はこいつが久々に魘されてたんで、説法と儀式を一寸。起こしちまいやしたか?」

 否定すると、目が泳いでるっすよ先生、一瞬で見抜かれた。 

「やっぱ変ですよね。俺みたいなヤクザ者がこんな格好」

「そ、そんな事無いよ!凄く良く似合ってる。本職に引けを取らない、いや。有資格者なら本物か」

 兎に角、取り繕いつつ口端を上げる。

「雲雀君の意外な一面が見られて、今日は幸先良いよ。きっと調査も捗る」

「!?あぁ、はは、勿論今日こそ犯人をフン捕まえてやりやすよ。あ、けど……」

 僅かに俯き、聖職者は数秒思案。雲雀兄?隣に移動した純君も上目遣いに窺う。

「済まねえ先生、坊主。個人的な用向きで悪ぃが、午前中は俺に付き合ってくれねえか」

「別に構わないけど、急にどうしたの?」

 昨夜の夕食後の相談会では、特に予定変更の提案は出なかった筈だが。

「実は寝る直前にシド、喫茶店で会った朱鷺の相方っすね、奴から連絡がありやして。あいつには内緒で相談事がある。しかも出来れば、先生方にも同席願いてえ、と」

 あの精悍な刑事さんが?警察官が初対面の、しかも余所の街の民間人に何用だろうか。思い当たる節を訊くと、全然、首を横へ。

「そもそも番号交換しているとは言え、シドが直接俺に電話なんざこれが初めてです。あいつはマル暴担当でもねえし、朱鷺の奴も最近は『安定』してんだ。俺に用事なんざ」

「『安定』?」

 どうも地雷だったらしい。いや、こっちの話っす。はぐらかして足早に屋敷へ戻り始める。

「ほら、純!女将が朝飯の支度を始めてる頃だ。手伝いに行くぞ」

「あ、うん」

 先行する義兄を軽く一瞥後、御免な先生、溜息混じりに肩を竦める少年。

「下手は下手なりに自覚して、誤魔化さず説明しろっての。別に隠すような事でもないだろうに」

「無視すんな、糞餓鬼!!」

「はいはい、今行く。―――ま、気になるなら今度朱鷺姉に訊いてくれ。心配性拗らせ兄貴と違って自慢にしているからさ、当の本人は」

 小声で献言し、分かってるって!三度目の召集寸前、脱兎の如く坂道を駆け下った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ