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 ビートルを走らせ、一旦白虎会へ。スーツを替えた雲雀君を乗せ、改めて首都リビドへ出発だ。

 停車中にCDを入れ替え、カーステレオのスイッチを押す。流れ始めた高揚感溢れるホット・ビート。曲名はロックバンド・ジャッカルの最新シングル「The Sun」だ。

 ベースの弾き語りによる間奏後、激しいシャウトで迎えるラストのサビパート。ボーカルのB・G君と素晴らしいハモりを披露しているのは、最近公式発表された彼の一人娘、リジー・ジーズー嬢だ。余談になるが、彼女が登場するはこの初回特典版のみ。後年プレミアが付くのは確実だ。

 草原一帯の街道を東へひた走る事、凡そ三十分。半開きのカーウィンドウから吹き込む、心地良い薫風。突き抜けるような青空を時折舞うのは鳶の群れか。陽気も手伝って絶好のドライブ日和だ。

 行程の半分に差し掛かった所で、そう言えば、眠気覚ましに頬を抓っていた僕はふと思い出す。

「リビド市って確か、少し前に殺人事件が無かったっけ?うっすら新聞で読んだ記憶があるよ。確かええと、強盗殺人だったような……」

「こんな田舎の星で、か?そいつは物騒だな」

 真後ろの座席で脚を組むキム君が、若者らしい暢気な感想を述べる。一方、彼の隣に両膝揃えで腰掛けた純君は、記憶を探るように暫し沈黙。尤も、結局回答権を得たのは雲雀君だったが。

「ああ、二日程一面に載ってた奴でしょう?主婦が昼間、自宅で刺されたってヤマ。続報無しって事は、犯人はまだお縄になってねえ筈っすよ」

 何処の警察も無能で困りやすぜ、流れるように愚痴を零す。でも、塞き止めたのは純君だ。

「リビドの事件なら、朱鷺姉も捜査に当たっているんじゃないのか?要さんの一周忌の時も、終わったと同時に蜻蛉帰りした位だし」

「え?朱鷺さん、刑事だったの?」

 彼女の顔は一年前、東堂さんの葬儀の時正式に知った。活発な女性に見えたが、まさか警察関係者だったとは。

「ええ、とんだ跳ねっ返り娘ですよあいつは。ま、それでもヤクザ者よりはまだマシですけどね」

 身内の話題が出て恥ずかしいのか、自虐気味にボソリ。そんな保護者に対し、そうだ雲雀兄、聡い子が早速閃いたらしい。

「もし病院で手掛かりが見つからなかったら、ついでに警察署に相談に行くのはどうだ?何せ実家が事件現場だ、協力を仰いで損は無い」

 いよいよ手詰まりになったらな。露骨に憮然を浮かべ、雲雀君は口をへの字に曲げた。




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