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ある朝の風景

作者: ハルト

「ふぁー」



 朝6時・起床



「まだ寝てたい……」


 学校までは電車を使って20分。

 近からず遠からず。でも起床時間から考えると短いものだ。



「寝る寝る、まだ寝る!」



 深夜番組見ていたから、あんまり睡眠時間は確保できてないし。

 それに、いまは春。あったかくて、ぽっかぽかの、春!



 で、も―――――――――




「いつまでねてんだよ。だらけてんじゃねぇぞ」




 わたしに目覚ましなんていらない。だって、目覚ましがいつも朝きてくれるから。



「うう……今日だけ、今日だけだからッ」


「それ、何度目の『今日』だよ。起きる気がないなら俺が身ぐるみはがしてやってもいいんだぜ」


「なっ、ななにを!?ばっ…、あんた、なんちゅーことを……」


「お前の身体なんて興味ねーよ。だいたい、お前、鏡の前でもう一度自分を見直したほうがいいんじゃねぇの?」


 失礼なことを言う「男」はごく自然にわたしの部屋に入ってきて、平然とした様子でオンナノコに対して失礼なことを言う。ぜったい、クラスメイトの女子に嫌われてるに違いない!



 いきなりお腹の辺りに冷たい感触がした。


「ひィ!?」


 慌ててそこを見ると、やつの指がそこに……って、ちょっとぉぉぉぉ!???



「お前さー、やっぱ、春休みに太った?」



 親指と人差し指で挟まれるわたしのお腹のお肉……

 ぷにぷにとしたそれは、休み中のわたしの堕落の証だった。



「だってだって!受験ストレスから解放されたらケーキバイキングとか行きたくなるでしょ!?」


「そーか?俺、あんま甘いもん好きじゃないし」


「ああ、もう!なんでもいいよ、いいから部屋から出て行って!」


 彼の背中を押して無理やり扉の外に出そうとするのだが、やつときたら「あーあ、折角のお前が言う『高校デヴュー』とやらは夢だったようだな」と嫌味なことを言ってくる。


 そこまでいわれて引き下がれますか!


「そうでもないのよねー。これでも?クラスメイトの小倉君とか、C組の飯田君とかに一緒に休み出かけないかって誘われてるのよねぇ」



 ふふん、とわたしは得意顔をつくる。

 まぁ、実際は彼らの目当てはわたしじゃなくて、わたしの友達なんだけどね。トホホ…


 わたしの言葉を聞いたやつは綺麗に片方の眉をあげると、探るように見つめてきた。

 ……見つめられるとか、なんかはずいんだけど……。



「そいつらって入学して初めて会ったやつらだろ?出会って一ヶ月もしないのにそんな様子じゃ、どーせ遊びだろ。いくら男運がないからって、早まらない方がいいんじゃないでしょうかねー」


「は、はぁぁぁ!?わたしのどこが男運ないって!?……あ、そっかー。司くん、君ね、自分が女の子と縁がないから、わたしのことを妬んでるんだね?あらやだー、可哀相」



 口元に手をあててプッと噴出してやる。大方、言ってることは相違ないでしょ。



 司といえば……結構本気で睨まれた。普段からよく睨まれるんだけど、当社比4割増しって感じ?




「…………悪いけどな、俺は好きな女と毎日会っている。残念ながら、縁はあるんだろうな」


「へぇ――――…………って、あんたに好きな女の子とかいるのッ!!???」



 うそだー!エイプリルフールはもうとっくに終わったぞ!?


 だって奥さん、司ってば歳の割りになんかちょっと達観してるところあるし、妙に老けてるし、恋愛とか興味ねぇよみたいな人なんですよ?彼が会社員だったら絶対恋人よりも仕事をとるタイプですよ?


 だけど司の不機嫌そうな顔を見ると嘘とは思えない。


「へ、へぇ――。そ、それは、ぜひ恋がかなうといいわね……」


「てめぇには言われたくないけどな。ま、とにかく……」


 司は壁にかけてあるまだぴかぴかの制服をわたしに突きつけると、



「とっとと着替えろ、 あねき 」




 言葉の響きが耳慣れないものだったので一瞬眉を顰めてしまった。


 あねき。

 変換すると、

 姉貴?



「うわ、呼ばれなれないって気持ち悪いね!」


「そこまで言うかよ、ひでぇな」


「……司は姉貴って呼ぶの嫌なんでしょう?」


「嫌味だ、嫌味。もう二度と言うかよ」



 なんだか冗談でホットケーキの中に胡椒をまぜてみたのを食べさせた時と同じような顔だった。



「早くしろよ、 りな 」



 ……うん。こっちのほうが、いいな。






「しっかしなー、小学生に呼び捨てとは舐められてる気がするわねー」


「中学だ、中学。もう小学とか卒業したわ、ボケ」













連載にしたいんですがいつになることやら。


こいつらは多分義姉弟。

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