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なんだここは!?

モバイル・データ・オンライン、通称MDOは遊びでプレイしてはいけない。

そう、ここは正真正銘、生き残りを賭けた戦場なのだ。


〜〜〜


「おい! アズナ!! そこにいるオークを殺せ! 」


俺の前に現れた細身の男は、全身黒づくめの格好をしており、両手の剣も真っ黒に染まっていると思いきや、激しい闘いが続いたせいか、黒のコートの一部色が禿げて灰色っぽくなっている所が多々ある。


「わかった! キルト君」


全体が白に所々赤い線が入っている装備を身に纏った美しい女の子も、激戦の末か傷や汚れが目立ち、ドレスの露出度も高くなっていた。しかも女の子が使っているレイピアは先がねじ曲がっていたため、扱い方がおかしく見える。


「はあー!!」


「キシュユユシュシュシュシュ!!!」


見たことの無い巨大なトンボは胸を真っ二つに切り裂かれ光のベールを帯びて絶命した。


「えい!!」


「グェェエエエエエ!!!」


続いて豚の頭を持った、肥満の目立つ怪物は顔面を抉られ、雄叫びを上げた後、絶命した。


「すげぇ……」


思わず声が漏れる。


「これが最新の3D映像? それよりここどこ?」


周りを見渡すと大草原が広がっている。


「確かここに来る前、俺は家でスマホのアプリゲーム〝MDO〟をインストールしたんだよな…」


「すみません、聞きたいことがあるのですが……」


「新人さんか?」


黒づくめの男は闘いの手を休めること無く、俺に問い掛ける。連れの女の子も闘いながら俺の方を見ている。


「新人さん? どういうことですか?」


焦りをアピールするかのように、俺は戸惑った表情を浮かべた。

「これはドッキリか何かか…それなら、このぐらいのリアクションを取っておけば大丈夫だろう…」


そんな俺に向かって女の子は口を開ける。


「えっとね! 多分だけど君は吸い込まれたんだよ…。この悪夢のゲームに!!」


女の子は先の曲がるレイピアを巧みに扱いながら、周りにいる怪物を殲滅していく。


「え?」


俺が思っているほど痛い企画だ。


「これをTVで放送するのか?最近、TVのバラエティーも面白く無いと感じていたが、ここまでのものとは……」


「まあ、混乱することも無理は無いよなっ! 俺達が案内してやるよ」


次々とそこらにいる怪物を斬り捨てる黒コートの男にも余裕が無さそうだ。


「……そうですか」


「え!? ちょっと、キルト君! 攻略組のミーティングはどうするの? 」


一度も闘いの手を休めなかった女の子がその手を止め、呆れ顔で男に尋ねた。

男は二本の剣を鞘に収めると、女の子に微笑みながら言った。


「俺は目の前にいる困っている人を助けたいんだ。悪いけど約束は断っておくよ」


さっきまで険悪だった女の子も、しばらく口元に手を当てた後、男の方を見て微笑み返した。


「そうね、そうだよね。キルト君はそういう人だもんね。私はキルト君のそういう所、好きだよ」


「アズナ…」


「キルト君……」


「何か始まっちゃったよ…てか、本人の了承無しに案内するの!? おかしいよね、絶対おかしいよね?」


「ん、どうかしたかい?」


「いや、いいですよ。ミーティングあるんじゃ無いんですか?」


「ああ、いいよ。後でキャンセル入れとくから」


「軽くない? 約束破るんだったらもうちょっと申し訳無さそうにしようよ! それよりこの茶番劇はいつまでやるんだよ…」


男が俺の背中を軽く叩きながら言う。


「じゃあ行くか! クリクリ君」


「は、はあ….って! 何で俺のnameを!?」


「ん? それは誰だってわかるよ。君の頭上に表示してあるから」


「え? あっ……何だこれ!?」


上を向いみると確かに俺がMDOで付けた名前と三つのゲージ、51という数字か表示されてあった。


「クリクリ君は本当に何も知らないのか? って君! 今思えば何だい!? その格好は」


「いやいやお前らのことだろ!禿げてるコートに、ビリビリに破けたドレス、矛盾してるだろ」


二人とも俺の言葉に耳を貸そうとせず、なかったかのように話し出す。


「クリクリ君のバッグの中に装備欄、ステータス欄があるはずだよ。一回表示してみて」


「バッグなんて持ってないわ! 見たらわかるだろ?」


バッグに装備欄やステータス欄、それに表示ときた。まるでゲームの世界観のようだ。


「そんなはずはないだろ?」


男は俺の腕を掴むみ左右に動かす。

すると、俺の指先から何も無い空中に、一本光の線が描かれた。


「うわあ!!」


自分の手に触感が伝わる。俺が創り出したものだと直ぐにわかった。

確信する、これはCGでも3Dでも最先端技術でもない。

俺は本当にゲームの世界にいるのか。

それと禿げた服を着ている男の上にキルトと表示してある。

露出度の高い女の子はアズナという名前だ。

まあ、さっきまでの二人のやりとりを聞くだけで名前は分かることなのだが。


「何やってんだよ、バッグ開け! って念じろよ?」


「はい。なんで俺が怒られなきゃ…」


俺はキルトに腕を掴まれたまま、指で円を描く。すると、何もなかった場所から画面が映し出された。

バッグに入っているのは回復ポーション〈全て可〉×10、冒険者クリクリ様用の防具、錆びた槍×2だった。

え、回復ポーションって他になにに使うんだよ…しかも槍錆びてるし」


「キルトくん、クリクリ君のスキル、ユニークスキルだよ!」


「ユニークスキル? なんですかそれ! そんな凄いものなんですか!?」


「おう、珍しいぞ。俺もアズナもユニークスキルをもっている」


「えーお前らも持ってんのかよ」


俺は誰が見てもわかるくらいの嫌味をこぼした。

二人は愚痴に気が付かず、俺のバッグを無言で弄っていた。

つくづく察しの悪い連中だ。


「まあ、一旦エレキの店で片手槍を安値で売ってもらうか」


「エレキさん?」


俺はキルトに尋ねる。


「エレキは」


「エレキさんはエレキ商店っていう店を出してるキルト君の友達だよ」


キルトが説明のモーションに入る前に、アズナが割って喋りだした。キルトは不満気な表情を浮かべながら、捕捉を付け加える。


「まあ、気前のいい商売人だよ。俺の紹介だし無料で売ってくれるんじゃねーかもな」


「よーし! そうと決まればエレキさんの所へ向かおう!」


アズナがバッグから拳サイズの蒼い結晶を取り出す。

その蒼い結晶は突然光を発すると共に三人を取り囲んだ。

ゲームでよくある転送結晶か何かだろう。

ふと、頭上の数字を見ると50に減っていた。キルトは38、アズナは36だ。

少し不思議だが気にはしなかった。

そのまま俺とキルト、アズナの三人はエレキという男がいる場所へと向かったのだった。



これ絶対パクってるよね? と思う方、一応自分で考えたのでおなしゃーす。

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