プロローグ 2
「こ、ここは……どこだ?」
視界を開く。
するとそこは見たこともない荒野のど真ん中だった。
(……どういうことだ?)
俺のスーパーコンピューターにも勝るとも劣らない頭脳の中で、必死にその回答を探し求める。
数秒の間の後――俺の頭から出た結論は、俺が異世界に飛ばされたかもしれないというものだった。
(これが俗にいう異世界トリップってやつか……?)
バカバカしい。
そんな非科学的なものを信じるのは文系のアホどもだけで十分だ。
俺は理系。すなわちものごとは科学的に考えねばならない。
「はぁ……やれやれ」
不意に大きなため息がこぼれた。
これからどうしようか。そもそも、ここはどこなのか――そんなことを色々と考えている途中で、
ぶにょ――ぶにょ――ぶにょ――ぶにょっ!
四体のスライムと思しきモンスターと遭遇した。
そしてあろうことかそのスライムたちは――
「うおっ!?」
――この理系の俺に襲い掛かってきたのである。
(こうなったら戦うしかあるまい……!)
俺は古武術の構えをとった。
「ふんっ!」
「■■■■ーーーー!!!」
四体のスライムと殴り合う。
産まれて初めて、祖父から古武術を習っておいてよかったと思った。
「くらえ! 奥義――微分積分パンチぃいいい!!」
「■■■■!?!?!?」
俺の拳に打ち砕かれ、スライムの残骸が周囲に飛び散る。
どうやら俺はこの戦闘に勝利したようだった。
わが軍の勝利である。
――と俺がスライムたちの残骸を眺めながら一息ついていると――
「ひゅ~っ。やるじゃんキミ」
おっぱい丸出しの(……いや、いちおうビキニアーマー? ってのは着ているが)いかにも頭の悪そうな女が俺の方に寄ってきた。
――これが俺、山本太郎丸と女、ルーゼリアとの初めての出会いだった。